title-praivacy

塾ブログ 林間教育通信

2016/05/08

英語学習とは日本語の訓練でもある

生徒たちにはよく「英語を勉強するということは、日本語を改めて勉強し直すということでもあるのだよ」と話します。教えていて、本当にそれを実感するからです。

 

子どもたちを見ていると、日本語力だとか言葉力といったようなものが弱いなあと感じることが多いのです。あまりにも雑に言葉を使いすぎていると感じますし、言葉に対する感性が鈍いといいますか、もっともっと言葉に対して敏感になってほしいと思うことが多いのです。

 

簡単な例を挙げてみましょう。

 

She plays the piano very well.

 

この英文を訳させると、ほぼ9割以上が「彼女はピアノを弾くがうまい」と訳します。大雑把に言ってしまえばこういう訳でも許されるかもしれません。しかし、それは中・上級者になって初めて許される訳文であって、入門・初級段階では決して許されません。そういう訳で理解してしまうと、英語学習そのものを非効率的・非効果的なものにしてしまうのです。

 

この英文の正しい認識(=訳し方)は「彼女はピアノをとても上手に弾く」なのです。

 

初心者にとっては、英語の言葉の並びの規則性=文法をしっかりと理解・定着させる必要があるわけですから、英文を書かれてある通りに、正確に理解していく必要があります。

 

この英文の場合ですと、「主語・動詞・目的語ときて、最後にvery well という副詞がきている」という語順を意識することが最大のポイントです。well の品詞は副詞で、play という動詞を修飾する副詞ですから、当然「上手に弾く」という認識=訳にしなければなりません。(修飾・被修飾の関係がよく理解できていない生徒は、そういう訳が出来ません)。

 

英語学習において、形容詞だとか副詞といった概念を理解することがとても重要になります。当然そこをしっかりと教えていくわけですが、「この場合のwellの品詞は何?」と質問したときに「副詞」と適切に答えられるのに、訳させてみると「彼女はピアノを弾くがとても上手い」となってしまったりすることがあります。これでは、副詞の概念を理解したことになりません。この場合の副詞(well)は、動詞(play)を修飾しているわけですから、動詞にかけた訳し方をしなければならないはずなのです。

 

副詞と思っているのに、動詞にかけずに訳すといったようなミスをする子どもたちの思考回路では、「wellは副詞」ということと、「だから、playにかけて訳すのだ」ということが全くつながっていないわけです。一つ一つ全く別のことを丸暗記しているだけの状態となります。そういう勉強の仕方では大変だろうなあと思います。

 

では、なぜそういった(面倒くさい)ことを理解しなければならないのでしょうか?それは、外国語としての英語の運用力を身につけるために絶対に必要なことだからです。(日本語にも実はあるのですが、母語であるためにそれほど意識せずとも出来てしまっているだけです。)

 

英語の運用力を身につけるとは、同じ意味のことを様々な表現で言い表すことができるようにするということでもあります。(日本語でも同じです。)

例えば、最初に例を挙げた英文のアバウトな和訳、「彼女はピアノを弾くがとても上手い」ということを英語で言い表すとしたら

She plays the piano very well.

She can play the piano very well.

She is very good at playing the piano.

She is a very good pianist.

といったところでしょうか。

 

英語の問題でもこういった言い換え問題はよく出題されます。ではこの文を全部覚えたらよいのでしょうか?「彼女はピアノがとても上手い」という時は・・・

もちろん、覚えるのだとも言えます。ただ、その時に一生懸命丸暗記するのではなく、

 

  • 一般動詞を使って「~を上手に弾く」という言い方
  • canを使って「~を上手に弾くことができる=弾ける」という言い方
  • 「彼女はピアノを弾くのがとても上手い」というbe good at~という言い方
  • be動詞を使って「彼女はピアノのとても上手い奏者だ」という言い方

が出来るのだと日本語で整理することが大切です。なぜなら、表現したいことは無数にあるわけですから、その一つ一つを丸暗記で消化できるわけがないからです。一つ一つのパターンを、その文の構造を意識=区別して理解するということです。それができて初めて「運用力」が身につきます。

 

つまり、英語の運用力を身につけるためには、一つ一つの英文の構造をしっかりと意識する、この英文とこの英文の構造はここが違うのだということをしっかりと認識する習慣をつけることが大切ですから、アバウトな訳をする癖がついてしまうことは、英語力向上の道筋を絶ってしまうことになりうるのです。

 

また、ついつい「彼女はピアノが上手に弾けます」と訳してしまう人の場合は、どうしても自分の感覚で英文を読んでしまっているのです。自分の言葉や思考の癖がどうしても出てしまうのです。しかし、普段勉強している英文は、自分ではなく他人が書いた文章なのですから、自分の感覚ではなく、あくまでもその英文を尊重して、その英文に自分を委ねて、読んでいく必要があります。自分を出してはいけないのです。

 

口うるさいようですが、そういったことを日頃の授業では丁寧に、しつこく、教えています。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
シリウス英語個別指導塾 by東大式個別ゼミ
 中高一貫校専門  大学受験英語塾
https://todaishiki-english.com/
住所:神奈川県相模原市南区東林間4丁目13-3
TEL:042-749-2404
小田急線・江ノ島線・田園都市線沿線
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
お問い合わせ