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塾ブログ 林間教育通信

2016/12/15

英語は早く始めれば有利かーその2

 

前回は、英語力を習得するためにまず必要な文法学習に焦点を絞って、早く始めれば必ずよい結果に結びつくというわけでもない。大事なのは‟タイミング”なのだということを書きました。

 

さて、よい波を見極めてタイミングよく学習し次第に文法力が身についてくると、次はどんどん英文を読んでいく段階に入ります。これもまた、早く始めれば有利か、というご質問に対しては前回と全く同じ答えになるわけです。つまり、‟人によりけり”ということ。もっと言えば、それまでに‟どう生きてきたか”というところに依拠するところが大きいと思います。

 

今回も少し具体例を挙げてみましょう。

 

非常に理解力もよく頭の良いお子さんの場合、本当に順調に文法学習を進めることができます。中2の段階ですでに英語の基本文法は学習済み、さらに大学入試レベルの文法問題が解けるくらいになる場合もあります。

 

ではそういうお子さんは英語長文もどんどん読み進められるかというと、必ずしもそうではないわけです。もちろん、易しい英文でしたらどんどん読めてしまいます。そこで難関高校入試問題に出た英語長文などを読ませてみると、物語系のものはわりと読めますが、自然科学だとか社会科学系のもの、はたまた時事問題に関する英文になると、途端に馬力が落ちてしまうわけです。

 

何が問題なのでしょうか?

 

まず、やはり英文が複雑で、文法問題としての問題は解けても、英語長文の中で論理的に英文を分析しながら読むことはなかなか難しい。こちらの手助けなしでは読めないという点。そして助けられながらなんとか文法的に読み解くことはできても、結局それはどういうことなのか、自分の言葉で説明できるまでには至らない、つまり、本当にはわかっていない、という点。

 

例えば、『デンマークの風力発電』という西大和学園高等学校(奈良県・東大寺学園と並ぶ超難関校)で出題された英文がありますが、ここで必要なのは背景知識。現在の地球規模でのエネルギー問題、環境問題、さらにそれらと各国がどう関わっているのか、といったような背景知識を漠然とでも知っていなければ、いくらこの英文を読んでも単に上っ面をなぞっただけで、実感としてはわかっていないということが、教える私たちには手に取るように伝わってきます。つまり、まだこのレベルの英文を読む準備ができていない、読む段階には至っていない、という判断になるわけです。(もちろん中2ですからそれが非常に大きな問題というわけではありません。ただ文法の出来具合に比して教養学習が不足しているというだけのことです。)

 

 

このように、いくらがむしゃらに文法を勉強して英語長文を読める段階に至ったとしても、やや高度な内容の英文を理解できるだけの準備ができていなければ、やはりそこで足踏みするかまたは、表面をなぞるだけの読み方でごまかすか、ということになります。

 

 

ここで、何年も前にたまたまテレビのニュース番組で取り上げられていた親子のお話をご紹介してみたいと思います。あるお母様が巷の多くのお母様と同じく、ご子息の英語教育に非常に熱心に取り組まれ、幼いうちから英検取得にも励まれていました。ところがある時非常によいことに気づかれました。何級を受検なさる時であったかは忘れてしまったのですが(恐らく2級くらい??)、ご子息が次に受ける英検の英文をお母様がお読みになり「え、これって日本語で読んでうちの息子はわかるのかしら?」と疑問に思われたそうです。そして当然答えはNO。英検でどんどん上の級を受検するためには、英語の勉強以外のことを勉強しないと正当な合格はできないのだということにお気づきになりました。(リスニング問題で稼いで長文は勘とテクニックでなんとかカバーする、的な姑息なやり方は無意味と思われたのでしょう。)そして、英検受検を一時期中断なさり、その分様々な本をたっぷりと読ませたり、博物館などに足を運んだりなさったそうです。

 

 

非常に賢い母上をお持ちのおかげで、そのご子息はその後もちろん英語の勉強もはかどりましたが、その他膨大な数の資格をお取りになったとのことでした。このお母様は、高い英語力を身に着けるためには、ー本当に英文を理解できるようにするためにはー英語以外の勉強をしないとダメなのだ、という本質に気づかれたわけです。

 

 

前回の最後にも書きましたように、「英語学習を早く始めることが有利になるかどうか。それは英語学習以外の要素、生まれてから今までの生活体験・生活習慣に関わってくる問題ではなかろうか」と、いろいろな生徒さんを見ていて実感しています。

 

 

日頃からよく本や新聞を読むお子さんは、いろいろなことをよく知っています。またその延長線上で、必ず「考える」という行為をしています。こういうお子さんは、英語学習(だけでなく様々な学習)において非常に順調に伸びていきます。

 

 

(ただ、欲を言えば、「本や新聞を読む」だけでは足りないでしょう。それではただの頭でっかちの理屈っぽい人間になるだけの可能性もあります。読書習慣にプラスして、実体験というのが本当は非常に大きな要素となるでしょう。身の回りのあらゆる‟本物”に数多く触れ、それらを「身体で実感する」「その美しさ、壮大さに感動したり畏怖の念を持つ」という経験も非常に重要な要素であると強く感じます。もちろん、これも英語学習に限らず他の全ての学習に当てはまることですが、話が複雑になりますので、この話題はまた別の機会に委ねましょう。)

 

 

まとめますと、「理解力・またはそれを補強する努力+読書習慣新聞購読豊富な実体験」のある人ならば、とりたてて早くから英語学習を始めなくても中学からで充分順調に力をつけることができるでしょう。(むしろあまり小さいうちから‟お勉強”の習慣をつけない方が伸びしろが大きいでしょう。)

 

文法学習というのは努力さえできれば誰でもある一定レベルには到達できます。しかしどうしても差が出るのが長文読解力です。そしてこれは、始める時期が早いか遅いかはほとんど関係ありません!生き方(育ち方)が関係してくるのです!(ここでは単に記号選択が合う合わないとか、問題の答えが合う合わないといったレベルのことは問題にしていません。)

 

 

 

※小さなお子さんをお持ちの親御様がもしお読みになっているようでしたら、是非お伝えしておきたいこと。

 

真に子供のためになる早期教育とは、街のおこちゃま英語教室や算数・知能(?)教室などに通わせて‟お勉強”させることでは決してありません。身の回りにある本物、自然、芸術にたっぷりと触れさせておくこと、それこそが本物の早期教育(?)です。その準備をしっかりとしておけば、お子さんはそのうちグングンと柔軟に伸びていきます。

 

 

 

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