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塾ブログ 林間教育通信

2017/08/02

国語力・教養力をいかにつけるか。Part2

前回は、国語力を身に着けるための条件である「語彙力」は、家庭や読書によって育まれるということを書きました。そして、親が自分の中高生時代に感銘を受けた本を勧めたり、自分が新聞を楽しみながら読む姿を子どもに見せることで、子どもも自然に読書や新聞など活字に興味を持つようになる、というお話をしました。お互いに共通の話題を持つことで、家族の会話は自然と、社会問題や政治の話題にもなるのだ、というところまででした。

 

 

例えば我が家では、食事をしながら、あるいは、テレビを見ながら、原発問題、沖縄基地問題、安保法制、共謀罪、トランプ米大統領の英語の分かりやすさ(笑)etc…と国内外の様々なニュースについて、語り合います。誤解してほしくないのですが、こういったことは、何かの目的のためにやっているのではなく、そういう問題について、考えたり話したりすることが楽しいから,あるいはやらずにはおれないから、やっている、ということです。

 

もちろん、実益にもつながります。例えば、学校に優秀な社会科の先生がいたりすると、定期テストにおいても、「日本のエネルギー問題についてあなたの意見を書きなさい。」だとか、「TPP問題についてあなたの意見を書きなさい」等、自分の意見を記述させるようなよい問題を出す場合があるようです。多くの生徒が苦手とするこういった問題も、普段から新聞を読み、ニュースを見ながら、家庭内においてあれこれと話をして、自分の意見を持っていれば、全く楽ちんなイタダキ問題となるからです。

 

そういえば、英検の二次面接の練習を生徒の皆さんとすることがありますが、この練習をするときに、ある意味で、生徒の皆さんの日常生活の一端が顕わになりますね。英検の二次面接では、「現在~のようなことが言われているが、その意見についてあなたはどう思いますか?」的な質問がされます。もちろん、簡単な英文で簡単に答えればよいので、ある種のお子さんにとってそれほど難しいことではないはずですが、(←英検の面接の採点は甘いので、ポイントがずれた答えでも適当に何か英語で答えればなんとかなります(笑))、全く固まってしまって、手も足も出ない、というお子さんも時々います。こういうのはまさに、「日常生活でいかに周囲の問題に関心を持ち、自分の意見を持てているか」が問われます。ある意味で、付け刃では対策できないという言い方もできるかもしれません。

 

そういう意味では、家庭内における会話というのは、語彙力を増やすというよりはむしろ、「教養力だとか考える力」を養うことの方に重点があるのかもしれないと思います。

 

多くの方がいまだに、語彙力だとか思考力といったものは、机の上で一生懸命勉強して育むものだ、と誤解しているんですね。多分違うと思いますよ。もちろん、机上の勉強によっても育まれますけれど、日常生活の何気ない習慣から少しずつ蓄積されるものが大きいと思います。だから、「家庭力」「親力」が問われているのです。

 

『お母さんが教える国語』(ダイヤモンド社)という本の著者、早川尚子さんも書かれていますけれど、まさに国語というのは、「その人の生活、生きざまを背負っている、その人の生活そのものを映し出している」のだと思います。

 

ここで一つ、生活の中での「私と新聞とわが子」の関わり方の例を挙げておきます。

 

2年ほど前、東京新聞の読者の投稿欄で見つけた素敵なお話です。何年も続けている新聞の切り抜きファイルの中に眠らせている記事ですが、私の心の中には鮮明に刻まれていて、事あるごとに思い出される、ある親子の「物語」です。まずは、記事をそのまま転記してご紹介しましょう。

 

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「引きこもりをやめた息子」(東京都小金井市 主婦 67歳)

 

 

 

 高校を卒業して15年引きこもっていた息子が、仕事を見つけ働き始めた。父親の死をきっかけに、母親の私の生活を心配し、自分の年齢を考え、NPOの人たちの助言を得て、自らハローワークへ出向いたのだ。

 

 仕事は清掃業務。我が家から十分で行ける某大学の街路樹の落ち葉をかき集めることだと聞いた。人間関係が苦手な息子にとって、自然が相手の仕事は良かったと私は思った。

 

 息子が働き始めて一週間。私用で私は大学に出かけることになった。学生の往来の中、息子は褪せたグリーンの作業着に軍手をはめ、ざわざわとふり落ちる葉を竹箒で懸命にかき集めていた。そばにはリヤカーがあった。集めた落ち葉を積むためだ。

 

 この日は風の強い日で、掃いても掃いても、かき集めてもかき集めても、風は容赦なく葉を撒き散らした。息子は風が少し弱まった時を見計らって、バサバサッと集めた葉を入れると、リヤカーを引いて行ってしまった。息子の背中が今の彼の年齢より、ずっと年取ったように見えて、私は胸に突き上げるものを感じた。

 

 しかし、どんな仕事を選んでも、働くということは、また大きく言えば、生きるということはこういうことだ。今の息子には、そのことを身をもって知ってほしい。リヤカーを引いて行く息子の後ろ姿に、今の時間を、今日だけを考え頑張ってほしいと願った。その積み重ねこそが、明日につながるのだから。

 

 私にできることはおいしい夕飯を作って息子の帰りを待つこと。そう自分に言い聞かせた。

 

(2015.11.19  東京新聞発言欄より)

引きこもりやめた息子(2015年」)

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とても短い文章ですが、皆さんはどうお読みになられましたか?私はまず、「この人、文章がうまいなあ」と思いました。まるで超短編小説を読んでいるような感覚すらあり、ものすごく引き込まれて読みました。ただの活字でしかないはずなのに、その奥に確かな「人間の物語」がある。確かに血の流れている人間が、そこに生きている。

 

箒を手にする息子さんの寡黙な姿。息子さんをからかうように舞い上がる葉っぱ。その様子を黙って見守る、何層にも重なる母親の複雑な思い。そして、「しかし」という接続詞に、たったこの3文字に、母としての感傷を振り切っての、強い決意が、表明されている。

 

私は、この「しかし」という言葉に、ものすごく胸が熱くなります。なぜだかわかりますか?…と余談はここらあたりにして

 

私はこの記事を読んですぐ、わが子にも読ませたいと思いました。そして、質問してみました。

「このお母さんの、この時の思いというのは、大きく三つあると思うのだけれど、どういう思いだと思う?また、どこからそう思う?」

 

(私の想定する答えが「正解」かどうかはわかりません。それはこのお母様にしかわかりえないこと。しかし少なくとも、この文章から読み取れる「母の思い」というのは少なくとも3つあるはずです。恐らく、国語の問題として出されても、それが答えになるだろうと思います。)

 

 

…とまあ、こんなやり取りをして遊んでいます。こういうやり取りが、家族の会話の日常として習慣化していれば、自然と「考える力」「言語力」というのは、ついてくるはずです。

 

学ぶ材料、子どもの思考力を鍛える材料は、身の回りに無数にあります。それに気づくか気づかないか。その違いだと思います。一旦火がつけば、ある種のテレビを見ても、学べることはたくさんあります。よく「うちはテレビを一切見ない」なんてご家庭もあるようですが、「うちは結構テレビも見ます。」「見方」が大事なんだと思います。またおいおいご紹介していきます。

 

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