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塾ブログ 林間教育通信

2016/08/11

慶應大学合格の夢を叶えるには?part2

前回のpart1に続いて、ここからが本題です。慶應大学に一般試験で合格するというのは、どういうことなのでしょうか。そして、それが家柄・家系あるいは家族の学歴とどのように関係しているのでしょうか。

 

 

慶應大学の入学試験は、実は他の私立大学とははっきりと異なっています。とても特徴のある試験制度なのです。

 

 

まず、慶應大学には文系であっても国語の試験がありません。国語の代わりに小論文の試験が課されます。もしかすると、これが一般家庭のお子さんには大きな関門かもしれません。

 

もう一つは、私立文系学部でも、他の私立大学とは異なって数学重視の点です。つまり、慶應大学合格のためには、文系受験生であっても、英語・国語・社会という3科目受験を選択できないのです。

 

逆に言えば、慶應大学に合格するためには、「英語と小論文」または「英語と数学」ができれば良いと言えるのです。少し前に話題になった「ビリギャル」も、「英語と小論文」の2科目受験で慶應に合格したのです。

 

 

このブログでは「数学」についての詳細は省きますが、少しだけ説明しておきましょう。ご家庭親御様による教育力(文化的環境)に自信がない、しかしそれでも慶應に進学させたいという場合はぜひとも数学の力を身につけさせて突破口を開いていきましょう。

 

 

数学は、勉強の性質上、塾や予備校での研鑽と自宅学習によって、その力を伸ばすことが出来るからです。そして、英語と数学が得意でさえあれば、理工学部、薬学部、看護医療学部、経済学部、商学部に合格する可能性が出てきます。特に、看護医療学部と商学部は大いに注目です。(注意:理工学部のみ数ⅢCまで、他の学部は数ⅡBまでです。なお理工学部・薬学部・経済学部については、東大志望者レベルが前提です。

 

 

さて、「英語と小論文」で慶応大学を突破できる素養をどのように養っていくことができるのか、です。結論を先取りしますが、英語も小論文もどちらも、学校や塾にまかせていればOK という訳には決していきません。小論文は国語以上に、個々の受験生の素養が求められています。英語でさえ、慶應レベルのやや高度な英文を読むとなると、塾の力だけではどうしようもないのです。英語の基礎力を身につけることはできても、限界にぶつかってしまうからです。要するに、英語や小論文で合格点をもらうためには、本人の主体的・継続的な読書習慣や文化的活動とそれに基づく一般教養や背景知識があるということが前提条件になってきます。

 

 

残念ながら、我々塾講師側も全面的には助力できないのです。なぜなら、私たちは生徒さんと一緒に毎日を暮らしているわけではないし、暮らせるわけでもないからです。

言い換えると、それだけ日常のご家庭での文化的活動の習慣が重要ということになります。(家庭での文化的活動というキーワードでピンとこない場合は、この道は難しいでしょう。ただし、商学部・看護医療学部ならそれでも可能性はあります。) 

 

 

たとえば東京大学法学部志望を自称する高校生女子に「東大法学部か、すごいなあ、やっぱりアリストテレス(古代ギリシャの非常に著名な哲学者)とか読むの?」と尋ねてみましたがそんなもの読んでもいないし、決して読んでもくれません。むしろ、「嫌み」と思ったのか退塾してしまいました(笑)。(アリストテレス自体は入試に取り上げられていませんが、アリストテレスの政治思想を論じたサンデルの著作は、慶應大学経済学部の小論文や、青山学院法学部の英語問題に出題されました。(いずれにせよ、ラノベレベルの本しか読んでいないのに読書が好きですとか言わないでほしいのです。それで東大や慶應の法科に行くのは無理筋です)。

 

 

他方、今年(2016年)、早稲田大学政治経済学部政治学科に合格した中田君(浅野高校)との間ではアリストテレスのレトリック論(『弁論術』)が話題に出ましたし、彼も自主的にマキャベリ(ルネサンス時代のイタリアの政治哲学者。『君主論』で有名)を読んでいたようです。また、当塾の授業ではNew York Timesのヴァーグナー(19世紀ドイツの代表的オペラ作曲家)のオペラ公演についての評論を原文の英語で読んだり、エドガー・アラン・ポー(アメリカを代表する詩人、作家。探偵小説の創始者としても知られている)の代表作「Raven(カラス)」https://www.youtube.com/watch?v=BefliMlEzZ8 という詩を一緒に聴いたりもしました。

 

 

「英語と小論文」の素養を上げていくには、中高生が、自主的にちょっと高級な内容について、新聞、雑誌、本、インターネット、TV番組を読んだり見たりする必要があります。(とくに新聞や新書本を読んでいることは非常に重要)。もちろん、クラシックコンサートやバレエ・または歌舞伎等の古典芸能等にも親しんでいるのは当然といえば当然です。

 

 

ただ、中高生、あるいは小中高生が自主的に学ぶというのは、大半がご家庭の文化的力です。たとえば多くのお子さんは、自分の家に置いてある本や雑誌を読むことから、大人の本の読書を始めるのです。これが家庭に求められている文化的教育力に他ならない訳です。慶應家系とか慶應一族なるものの中核にあるのは、子供たちが大人的なものを学びたい、知りたい、読書したい、と思わせるような家庭の雰囲気が元々構築されているからではないでしょうか。別にお父様やお母様が慶應大学を卒業していたり、慶應一族であったりする必要はないのです。大事なのは、慶應を出ていることではなく、慶應「的」な家族の慣習なのです。ですから、そういう雰囲気を作り出すようにお父様やお母様が努力なさればよいのです。

 

 

具体的にどんな努力が必要でしょうか?

 

先ほどは詳しくは説明しませんでしたが、慶應大学の入試英語は、実は時事的な英語、あるいは出来るビジネスマンが読んでいるような英文が取り扱われることが多いのです。決して専門的内容――早稲田の英語のほうがむしろ大学院的レベルだったり哲学的だったりする傾向があるーーではありません。一流ビジネスマンが教養やら一般的知識を身につけるための英語英文を受験生に読ませると言ったら分かり易いでしょうか。こういう英文を読みこなすためには、狭い意味での受験英語の勉強では不十分です。むしろ、こういった題材について、日本語でよいのである程度の予備知識を持っていると、正しく速く読めるようになります。つまり、大人のビジネスマンの教養的知識を予め身につけておくと、慶應英語克服には大変有利なのです。

 

 

そのためには、ご家庭で新聞購読をしているというのは、あらためて申し上げるまでもないことですが、これに加えて、ビジネス経済誌を購読するのはどうでしょうか。お子さんに読ませるのではありません、お父様、お母様が自ら楽しんでお読みになることです。決して「子供を慶應大学に入れるためよ」と力んで眉間にしわを寄せて読むのではありません!

 

そしてお食事の際などに、ご家族でその話題を共有するのです。そういう日々の積み重ねからお子さんたちが自然にそういったものに興味が湧いてくるのです。お子さんにだけ読め読めといっても逆効果。とりあえず国語塾に行かせるというのもナンセンスです。

 

 

慶應家系、慶應一族に対抗するには、こういう環境から作っていくことが必要です。ここで、お父さまお母さまの力量が問われます。ご両親が楽しめないようでしたら、この道はあきらめしょう。

 

代表的な経済誌・ビジネス誌は『東洋経済』『ダイヤモンド』『エコノミスト』等。『プレジデント』や『日経ビジネス』(定期購読のみ)もあります。あるいは、経済誌とは言えませんが、『日本版ニューズウィーク』や『アエラ』だとか『COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)』(web限定)も見逃せません。もちろん文芸誌(『新潮』『文学界』『すばる』など)や大衆向け科学誌(『日経サイエンス』『Newton』など)といった選択肢も、慶應文系向きとは言いませんが有りうる選択肢でしょう。

 

 

上記の中から一つ選べと言われたら、私ならば『ニューズウィーク』でしょうか。価格が400円前後とお安く手頃だからです。とはいえ、特集のテーマで毎回選ぶのが良いのではないかなとは思います。

 

 

例えば、最近の『ダイヤモンド』では「死生学の勧め」「EU分裂は必然!大経済史」「確率・統計入門」、『東洋経済』では「健康格差」「ビジネスマンのための世界史」などが特集となっています。

 

 

 

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2016/08/11

慶應大学合格者の一例

シリウス英語個別指導塾は小さな個人塾ですので、毎年多くの受験生がいるわけではありませんが、慶應大学にも合格者を出しています。では、どんな子が慶應大学に合格したのかなと、ちょっと振り返ってみました。

 

するとちょっと意外なことに気が付きました。一般試験で慶應大学に合格した生徒は、全て慶應以外の大学に進学しているということです。古い年度から列挙すれば、東工大東大京大早稲田(政経)です。

 

早稲田に進学した生徒さんの場合は早稲田でも慶應でも良かったわけですが、結局は早稲田となりました。他の生徒さんは、第一志望は当然のことながら東大等の国立大学でした。

 

慶應大学に実際に進学したのは、慶應の附属高校(中学から)出身者と学校(横浜雙葉)推薦の生徒さんです。

 

慶應一族という感じの生徒さんは今のところいませんが、お母様が慶應大学商学部出身の生徒さんの場合、慶應にもそれなりの愛着を感じてはいたようです。ただし最終的には東大に進学したいという気持ちが強くなり、その夢をかなえました。

 

こうして考えてみると、慶應に合格するには東大・東工大のような難関国立大学を志望する者が一番多いのかもしれませんね。あるいは、東大一族から慶應に合格する場合もあるようです。慶應大学を第一志望に目指しているようでは、慶応にはなかなか合格できないという解釈も出来るでしょう。ですからどうしても慶応大学に行かせたいという場合、その王道は、やはり慶應附属から進学する事なのかもしれません。

 

なお、当塾としては、小論文が得意なタイプや、数学が特別にできるわけでもない場合は、東大・一橋ではなくむしろ慶應文系を目指しなさいと強く勧めています。(東大・一橋の文系数学は、かなり難しい)

 

逆に、小論文を書くのがちょっと苦手そうな生徒さんの場合は、慶應ではなく早稲田か上智を目指すように指導します。慶應大学商学部あたりを第一志望にしてしまうと、滑り止めの大学がなくなってしまう危険もあるからです。また、慶應文学部を志望するのはほぼ無理筋だろうからです。

 

慶應大学附属以外から慶應大学を志望する人にこういうデータは参考になったでしょうか。次回はもう少し慶應大学合格対策について詳しく検討していきます。お楽しみに。

 

 

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2016/08/09

慶應大学に進学する夢をかなえるには?part1

最近,生徒さんの間から、慶應大学に進学したいという声をよく聞くようになりました。国立でも、早稲田でもなく、なぜか慶應大学なのです。

 

慶應大学は昔から憧れの的で、親戚一同が慶應出身であるという慶應一家の話もよく聞きます。しかし、だからこそ慶應大学に合格するのは容易ではないのです。普通の人たちが慶應大学に合格するためにはどうしたら良いのか、ちょっと考えてみましょう。

 

まず、慶應大学に進学する人はどんな人でしょうか。大きく分けると、次の様に分類できるでしょう。

 

 

A 東大落ち

B 慶應家系出身者

C 慶應の附属校の出身者

D その他の場合

 

 

Aタイプ、つまり、東大落ちは経済学部や理工学部などでは多数いるはずです。私たちの知り合いにも、日比谷高校→浪人→慶應大学経済学部という人達が何人もいて、一つのパターンではないでしょうか。実際、慶應大学の看板学部である経済学部や医学部では,東大受験生が不利にならないような問題が作成されています。明らかに慶應大学は、東大受験生を欲しがっているのです。

 

 

そういう意味では東大を目指す勉強をすれば慶應大学にも合格できるということになるでしょう。

 

 

B タイプ(慶應家系出身者)は、慶應大学の場合はかなり多いはずです。一族が慶應出身者で固められているという場合も有るでしょう。または、お父さんやお母さん、あるいはお兄さんや親戚のお姉さんが慶應大学だから自分も慶應大学を目指すというのはごく自然なことでしょう。いわゆる逆転合格というのも、実はこのタイプの人が多いのではないでしょうか。

 

 

 

ちょっと意外かもしれませんが、東大や早稲田大学ですら、家族や親戚一同がその大学の出身者であることが多いようです。たとえば、私の知り合いの東大女子の殆ど全員が、お父さんが東大卒です。またその女子にお兄さんや弟がいたら、かなりの確率で東大出身です。(東大男子の場合はそれほどではありません。ただし、やはりお父さんが東大卒で息子も東大である確率は高いようです)。実を言えば、私の母方の親戚は早稲田大学出身者が非常に多いので、どうやら早稲田家系というのもあるようです。という訳で、慶應家系が慶應に合格して進学するケースは、さらに多いのではないでしょうか。

 

 

 

C は、慶應の附属の小学校・中学校・高等学校からそのまま大学に進学するコースです。慶應ファンは当然のことながら慶應の幼稚舎を目指す訳ですが、ある意味では最も狭き門ですね。

 

 

 

さて、 私達が塾講師として特に興味深く思うのは、Dタイプです。家族や親戚に慶應大学出身者があまりいないけれども、慶應大学に合格できたというケースです。家柄・家系だとか、ご両親の学歴といった点で不利であっても、それを克服できたという場合です。もちろん、慶應大学はご家族の学歴でスクリーニングしたりはしませんから、理論的には充分可能です。つまり、慶應出身者ではないけれども、なんからの意味で慶應家系的な学びを実践してきたから、慶應大学に合格できた筈なのです。いったいどこに秘訣があるのでしょうか?

 

 

 

 

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2016/08/07

書籍紹介:加藤典洋『戦後入門』ーオバマ演説に関連して

オバマの広島スピーチ(2016年5月)は、美しい文学的な表現だったけれども、受け身表現を使うことによって、アメリカが原爆を投下したことをぼやかそうとしているというのは大変面白かったですね。

 

 たしかに、アメリカという国家が核兵器を投下したのに、当のアメリカの大統領がそのことについて曖昧にするというのは、如何なものでしょうか。一般市民がたくさん住んでいる大都市に核兵器を使ったことに対して、反省の弁が全くないのは腑に落ちません。しかし、それ以上に問題視されなくてはならないのは、アメリカの非人道性について批判の声を出す日本人があまりにも少ない点です。

 

 

これとの関連で、是非とも高校生に一読を薦めたい本があります。文芸評論家として著名な加藤典洋が昨年(2015年) 出した、『戦後入門』(ちくま新書)です。というのは、原爆投下についてアメリカを批判・非難してはならぬとヒロシマ関係者が考えている点について,加藤は批判的だからです。加藤は次のように述べています。

 

 

「米国に対して、(中略)原爆投下に対する抗議と、謝罪要求を行うのが良いというのが私の考えです」(491頁) 

 

 

 

加藤はもちろん日米対立を志向しているのではなく、「日本の社会と米国の社会の友好信頼関係」(494頁)を構築するために提案しているのです。とてもまっとうな主張です。しかし現実には、そういった考え方を支持する政治勢力は日本にないわけです。逆に言えば、そこに加藤の著作のユニークさと刺激性があります。せっかくですから、加藤典洋の考え方をもう少しだけ紹介しておきましょう。

 

 

原爆投下などについても日本人がアメリカを批判してはならない雰囲気があるのは、対米従属が空気の様に当たり前になっているからだと加藤は考えています。彼のこの著作の目的の一つは、日本を対米従属から独立させることを模索することに他なりません。

 

 

加藤の日本独立論のエッセンスは、国連中心主義という一種の国際主義に立脚する事により、「徹底的な対米従属志向かそれとも反米独立主義か」という従来のジレンマを避けることにあります。国際主義あるいは国際協調といった概念は、アメリカへの追従を意味しないのだと加藤は強調するのです。「国際社会への協調路線 ≠ 対米追従路線」というわけです。そして、そうする事により、国際社会のなかで誇りある地位を保ちながら、日本の誇りをも同時にうち立てようとします。加藤の国際主義は国連主義ですから、アメリカ社会と対等な関係を築くことは可能です。また、国際社会と対立するような復古的右翼的ナショナリズムからも区別されることになります。

 

 

政治的イデオロギーとしては、復古的な右翼ナショナリズムに回帰するのを防ぐとともに,改憲(=憲法9条改正)と軽武装を提案しており、従来の日本の左翼リベラルからも一線を画しています。左翼にも右翼にも満足できない人には、興味深い一つの選択肢ではないでしょうか。

 

 

新書本にして600頁以上もあるやや分厚い本ですが、平易な日本語で読みやすいと思います。さすがに誰にでも読むことを薦めたりはしませんが、東大・一橋・早慶の政治学、経済学、法学などの文系の難関大学を受験する高校生ならば、ぜひ読んでもらいたいと思います。英語の自由英作文や、慶應の小論文対策にも役立つことでしょう。

 

 

なお、加藤典洋の村上春樹論もなかなか面白いですよ。私自身は、『村上春樹の短編を英語で読む1979~2011』を大変興味深く読みました。現在は、『村上春樹は、むずかしい 』(岩波新書) を読んでいるところです。

 

 

 

別の書き手によるあとがき

 

そういえば、ちょうど昨日(2016年8月6日)もNHKスペシャルで『決断なき原爆投下』と題した番組が放映されていて、わが子と一緒に見ました。

 

当時の原爆開発担当者や軍の思惑と、そしてそこからは少しずれていたトルーマン大統領の当時の心情とが赤裸々に書かれた記録が紹介され、トルーマンという人にも人間的な情の部分が実はあったのかと、今までのイメージと少し変わりました。また、投下場所を決定する際の彼らのやり取りの中で、「京都に落としてしまったら多くの一般市民が犠牲となり、その後の日本人の反米感情を考えると、京都はない」といった場面も非常に興味深かかったです。

 

特筆しておきたいのは、当時の彼らアメリカ人も、戦後の日本人の反米感情を危惧していたのだということです。ところが、あれだけひどいことをされながら、反米感情どころか心の底から慕っている今の日本人に、彼らはきっとほっと安堵しているのでしょうね。めでたしめでたし。

 

 

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2016/08/05

オバマ大統領の広島演説に吠える!

 

 

8月になりました。先日のブログでオバマ大統領の核廃絶に関する演説の一部を取り上げましたので、それに関連して今回は広島でのオバマ大統領の冒頭部分を少し取り上げて、ちょっと公開授業をしてみましょう。生徒は中2のAさん(架空)です。

 

 

 

オバマ大統領広島演説冒頭部分

 

Seventy-one years ago on a bright, cloudless morning, 

death fell from the sky and the world was changed. 

 

A flash of light and a wall of fire destroyed a city, and 

demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself. 

 

非常によく練られた、といいますか、「考えたな」という‟工夫”が感じられる文章ですね~。

 

先生「はいAさん、最初の文にはandがありますが、これはどことどこを等位接続していますか?」

 

Aさん「death fell from the sky とthe world was chagedという節と節を等位接続しています。

 

先生「正解!では訳してみてください。」

Aさん「71年前、明るく雲一つない朝、死が空から落ちてきて、世界は変えられた。」

 

先生「よろしい。で、このdeath(死)とは何を指しているんですか?」

Aさん「原子爆弾のことですよね!?」

 

先生「正解!」

Aさん「でも先生、原子爆弾って勝手に空から落ちてくるんですかぁ?」

 

先生「んなわけないでしょ、あなた。公開授業だからって、んもう、なかなかいい突っ込みするんだからぁ、先生うれしい!」

 

 

 

先生「で、the world was changed.の文の形はなんですか?」

 

Aさん「はい、これは受け身の文です。でも先生、受け身の場合よく後ろの方にby~って、行為主体者が出てきますけど、これにはありません。確か、一般の人々だとか、不特定多数の人々の場合には省略されるって習ったんですけど、この場合もそういうのですか?」

 

先生「どう思う?」

Aさん「・・・。」

 

先生「受け身の文の場合、by~というところを省略すれば、いくらでも犯人、じゃなくて、行為主体者を隠す、という文を作ることができるということですね。自分に非があるけれどそれを隠したい場合=犯人隠しをしたい場合にはどんどん受け身の文を使いましょう!・・・はい、では次の文を訳してください。」

 

Aさん「閃光と炎の壁が、ある一つの都市を破壊し、人類が人類自らを破滅させる手段を手に入れたということを証明した。」

 

先生「よろしい。カンマの後ろのandはどことどこを等位接続してますか?」

Aさん「destroyedとdemonstratedというところ、動詞と動詞を等位接続していま~す。」

 

先生「よろしい。では共通の主語があるということですね、共通の主語は何ですか?」

Aさん「はい、a flash of light and a wall of fire です。」

 

先生「そうですね。」

Aさん「ってことは先生、閃光と炎の壁が、人類を破滅させる手段を手に入れたということを証明した、ということになるんですね?」

 

先生「そういうことになるね。」

Aさん「なんだか文学的な表現というか、比喩的というか・・・、凄く恐ろしいことを美しくまとめたような文章ですね。」

 

先生「あらあなた、なんて鋭いことを言うの。いい感性してるわね。じゃあさらに、同じことを他の言い方もできるという勉強もしてみましょう。

 

ちょっとネットで検索していると、Miami Heraldという新聞の記事の中にこんな表現があったのよ。

 

 

 

Nearly 71 years after the United States dropped the world’s first atomic bomb, President Barack Obama made an unprecedented journey here to offer a solemn tribute to the tens of thousands of victims and to amplify his quest for a world without nuclear weapons.
(Read more here: http://www.miamiherald.com/news/nation-world/world/article80257192.html#storylink=cpy)

 

下線部分に、「アメリカが世界で初めての原子爆弾を落とした約71年後に~」とあるわよ。

 

 

The washington Postにもこんな文があったわよ。

 

President Obama became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima Friday. Nearly 71 years after the U.S. deployed an atomic bomb on the Japanese city, Obama called for an end to nuclear weapons and offered respects to the victims. 

 

deployという単語は「~を配置する、活動させる」といったような意味ですので、まあ、やはり上と同じような表現になっていますね。

 

つまり、(・・・オッホン、ここはあくまでも英語の授業らしく)オバマ大統領の演説では、the U.S.という主語とan atomic bombという目的語を使わない表現を、ーですから当然動詞も自動詞の表現をー(敢えて)なさったということですね。当事者でありながら非常に距離をおいた表現で、巧妙にごまかしています。(しつこいかしら?)

 

しかし当時の日本の新聞等の報道によると、多くの広島市民、そして多くの日本国民はオバマ大統領のあの美しい演説を歓迎し、中には感動の涙を流す人々も少なくなかったとか・・・(一体何に感動したんだろうか?)

 

余談ですが、例えば、キューバの革命家チェ・ゲバラは革命政権成立直後に広島を訪れ、「君たちはアメリカにこんなひどい目に遭わされて、怒らないのか」という言葉を残されたそうです。(はい、日本人はみんな(正確には「多く」が)温和な人種なんです、はい!)

 

 

次は広島ではなく、長崎の被爆者、谷口稜曄(すみてる)さんの数年前の言葉です。(谷口さんは長崎原爆投下で背中に大やけどを負い、その写真は長崎原爆を象徴する代表的なものとなっています。)

 

 

(私にとって)「生きる」とは「苦しみに耐える」ことに他なりませんでした。私たち被爆者は全身に原爆の呪うべきつめ跡を抱えたまま、苦しみに耐えて生きています。 」

 

 

生きるというのは誰にとっても苦しいことがあるのでしょうが、谷口さんのような方が口になさる「苦しみに耐えて生きています」というその言葉の重み・決して癒されることのないその苦しみを思う時、私個人としては、あのオバマ大統領の、美しく整えられた言葉をどうしても受け入れることが出来ません。

 

 

おいテメエこの野郎、ごまかすんじゃねえぞ、とヤジの一つも飛ばしたいくらいです。

 

原爆資料館を見ることもなく、前もって用意されたあんな美しい言葉で延々と核廃絶を訴えられても、虚しいばかりで、怒りも悲しみも全く癒されませんでした。あんな時間があるならば一分でも一秒でも長く原爆資料館に身を置き、オバマ大統領がおっしゃるところの、雲一つない晴れ渡った朝に起こしてしまった、あまりにも非道な、残酷極まりない暗黒の世界に、自らの身を置いて欲しかったです。

 

炎や熱風に襲われて、見る影もないほど真っ黒焦げになってしまった人々、水をくれ助けてくれ、と苦しみ喘ぎながら逝ってしまった人々の無念、今なお原爆の爪痕を背負わされながら生き続けている人々の、筆舌に尽くせぬその人生の苦しみを、少しでもいい、オバマ大統領の心に重ねて、そして傷んでほしかったです。

 

普通の神経を持った人ならば打ちひしがれるはずです。そのオバマ大統領の姿を見せてくださった方がよほど心が(少しは)救われたと思います。

 

 

 

・・・あら、Aさん、ごめんなさい、私熱く語りすぎてしまったわね。ちょっと途中でうっかりお下品な言葉まで出ちゃったけど・・・。でも、世の中の様々な出来事を題材に勉強するってこと、大切よ。それが本当の勉強よ。机の上でばかりベンキョウしていても、薄っぺらい知識しか身につかないのよ。(っていうか、身につくか?)広島長崎の原爆資料館なども是非訪れてみて。あなたの人生観そのものが変わるかもしれないわよ。」

 

Aさん「zzz…」

 

(終わり)

 

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