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塾ブログ 林間教育通信

2016/06/20

中高一貫校上位男子校諸君、勉強は競争ではない!

せっかく御三家または御三家クラスの上位校に入学できたのに、中学に入ってしばらくすると、なんとなく(本当は何となくではないかもしれないのですが)やる気を失ってしまい、そのまま成績も下降線をたどる、というお子さんは少なからずいらっしゃると思います。

 

彼らは中学受験勉強の数年間で、勉強やテストというゲームで人に勝つ心地よさを覚えました。たとえ本当の一番ではないとしても常にトップグループに所属しているという快感はさぞかし気持ちの良いものだろうと想像します。しかしそれは、思いがけないビョーキの原因ともなり得ますので、本当は非常に注意が必要です。どういったビョーキになるかといいますと、「人との競争がなければなかなかやる気が出ない」→「勝てないとわかった時点で完全にやる気を失ってしまう」というビョーキです。

 

上位中高一貫校に合格なさったお子さんたち、つまり、中学受験時代、塾や公開模試のテストで常に勝ちグループだったお子さんたちには、中学入学後、今までよりも熾烈な新たな競争が始まります。当然、勝ち組ばかりのなかでの新たな負け組が出現します。勝つことしか経験しなかったお子さんが、「負ける」というショッキングな出来事を経験するわけです。分かりやすく言えば、今まで「すごくできる子」グループだったのに、突然「できない子」グループに入ってしまうわけです。

 

今まで勝ち続けてきたお子さんにとって、負けグループに入ってしまうというのは、非常に屈辱的なことかもしれません。それをきっかけに一気に、あるいは徐々にやる気を失っていくケースがよくあるようです。

 

もちろん、それを真正面から「屈辱」と受け止められれば事態はすぐに好転する可能性も大いにあるわけで、むしろ歓迎すべき反応です。「屈辱」を素直に認められるということは、そこから必ず脱するぞ!という次のステップにつながり得るからです。

 

深刻なのは「屈辱」と受け止めることすらできない、いえ、敢えてそうしないー「屈辱」と認めれば余計に自分が惨めになり、傷つくからーこういう場合です。傷口を敢えて見ないようにして、そんなのないふりをして、平気な顔をしてそのまま流されていく、そういう状態が一番危険です。

 

保護者の方々、教えてあげてください。勉強というのは、競争のためにするものではありません。もちろん、受験というのはある意味で競争だという言い方もできるでしょう。また、ある程度ライバルとの競争意識というのは勉強の動機づけとして利用できるものでもあるでしょう。しかし、それはメインにおくべきことではありません。あくまで副次的な要素でしかありません。

 

 

若干話が変わりますが、本当のトップ層が勉強へと突き動かされる原動力は、おそらく「知的好奇心」からなのではないでしょうか。本人たちが意識しているかどうかは別として、知的好奇心が育まれたお子さんはどうしても自然にその視点でものを見てしまうのです。

 

知的好奇心とは「なんでそうなるの?」「こうしたらどうなるの?」といちいち疑問を持つこと。そして、「へえそうなんだ、おもしろ~い」と、いちいち新しい発見に感動できるセンスです。そういったセンスのあるお子さんにとって「勉強すること」=「新しいことを発見すること」ですから、楽しくて仕方がない遊びの延長です。だからいくら勉強しても疲れません。上位校でも常に上位でいられるお子さんたちの多くは、そういうタイプが多いのではないでしょうか。そういう人達に、ただ「勝ちたい」という一心で上っ面のがり勉ばかりしても、恐らくなかなか勝ち目はないでしょう。

 

 

だから、勝ち負けという意識はもう捨てるべきです。人との競争、比較はもう不要です。「勉強する」ことの目的は人との競争に勝つことにあるのではありません。自分を今より豊かにするところにあるのです。どうぞ、新しいことを知ることを楽しむというところに意義を覚えてください。どうしてもそういう境地になれないタイプの人は、ただひたすらやるべき課題をこなしていく、自分を高めていく、そのことに意識を集中させてください。それが出来たとき、きっと道は開けます。

 

 

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シリウス英語個別指導塾 by 東大式個別ゼミ
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2016/06/13

英検の改革ー英作文(ライティング)重視へと舵を切った!

2016/06/12は全国的に英検の試験日でしたね。当塾でも何名かが英検準1級や2級に挑戦しました。みんな試験の手応えはどうだったでしょうか、気になるところです。

 

さて、ご存知の方はご存知だと思いますが、2016年度、つまり20166月から、英検の合格判定方法と出題内容が刷新されました。英検主催者のホームページにリンクを貼っておきますから、ご興味のある方は見ておいてください。

 

新しい合否判定方法について (←クリック)

 

 2016年度第1回から英検が変わります! (←クリック)

 

 

英検の変更内容について、受験者の観点からかいつまんで説明すると、①従来よりもライティング(英作文) の難易度が高まり②かつその比重が大きくなった。英検を、国際的な英語検定試験の基準に適用させようとする試みのようです。また、発信型英語(スピーキング、ライティング)を重視し、社会人に人気の TOEICに対する巻き返しを図るものだと考えられています。

 

 

まず英検で求められているライティング能力ですが、かつての英検2級では、単なる並べ替え問題であり、まともなライティング能力など全く不要でした。実を言えば、英検準一級でさえ、求められる英文ライティング能力は、かなり低いレベルのものだったのです。たとえば、英検準1級の場合、少々不自然な E メールに対して、殆ど箇条書きの英文で100字くらいの返事をすれば良いというものでした。英文の構成を考える必要は殆どありませんでした。

 

2016年度からは、ワード数が120語~150語に増えるとともに、三つのパラグラフを作り、論理的に組み立てなければならなくなったのです。つなぎ言葉の使い方とか、英文的なロジック展開(例えば、『抽象的命題→具体的事例』といったような展開の仕方)をマスターする必要があります。

 

英検のホームページのサンプル問題(準一級)によりますと、「小規模経営の商店や企業は、現代社会で生き残ることができるのか」という問いに対し、賛成か反対かを表明して二つ以上の理由を述べる。この際、述べるべき論点として、①経費、②顧客サービス、③経済、④ 伝統的技能のなかから二つ選ぶというものになっています。

 

 

 

さて第二の点は英検の合格基準の変更です。2015年度までは、まともにライティング(英作文)ができなくても合格になる可能性が十分にありました。しかし、そういうことは今後なくなっていくようです。(本当にそうなるとよいなと私共は思っているのですが、どうでしょうか・・・)

  

 

当英語塾では、基本例文の暗唱と瞬時に英文を発話する訓練を重視し、授業の中核に据えています。ですから、今回の英検改革は大歓迎です。

 

我々は今までもずっと、( )の穴埋めや単なる単語の並べ替え問題がいくらできたところで、それは英語の実力とは全く違うものだと生徒たちにも伝え続けてきました。ですから、従来の英検のように実力をほとんど反映しないようなテストには大いに疑問を持ち続けてきました。(生徒たちには単語を覚えさせる機会としてのみ奨励してきました。)ですから、今回のように、英語の実力を真正面から問われるようなテスト形式にどんどんと進化していってくれるというのは願ってもない試みです。大いに歓迎し、今後の状況をしっかりと見守っていきたいと思います。

 

 

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2016/06/11

大学受験ー早慶の看板学部の合否は自由英作文で決まる

早稲田・慶應の文系看板学部、つまり早稲田大学の政治経済学部と慶応大学の経済学部は、英語長文はあまり難しくありません。しかし、もちろんのことですが、だからといって合格答案を仕上げるのが簡単だという意味では決してありません。両大学とも私学では一番難しいと思われる、本格的な自由英作文が課されるからです。

 

自由英作文というのは、与えられたテーマ、たとえば、「大都市に自家用車の乗り入れを禁止する法案についての是非を論じなさい」に対して、自分の意見表明をしたりするような英作文のことです。最近の発信型英語(話す、書く)を反映していて、大変好ましい傾向です。さて、ここで気になるのは、どのような対策を取れば早稲田の政経学部や慶應の経済学部といった看板学部の自由英作文の合格答案を書けるようになるのか、ですね。

 

自由英作文は三つの要素からなっています。①英語を一文一文正確に書く②一文と一文とを英語の論理にしたがって正しく組み合わせ、一貫性のある文章を仕上げる③書くべきことを思いつく、です。

 

以前、某私立上位高校の三年生の東大志望の生徒さんが、受験前の秋に来塾されたことがあります。東大英作文対策を希望ということでしたので体験授業をしてみたのですが、一つひとつの英文さえ全然出てこないのでビックリしました。受験が目の前に迫っていて、一つひとつの英文が瞬時に出てこないようでは、東大の英作文の指導はしようがありません。当英語塾で育て上げた塾生では考えられないことでした。(一つ一つの英文を秋の段階で書けない生徒さんは、東大の場合は英作文を捨てるしかないでしょう)。

 

当英語塾で英語の基礎訓練を受けた中高校生ならば、与えられた和文を一文ずつ英訳していくことはほぼ全員可能です。文法的語法的にも正確な英語を書けますか?と問われれば、もちろん100%正確ではありません。しかし、一般の中高生と比べたら、かなり出来ます。これは自信をもって断言できます。

 

 

次いで英語の論理に従って一文一文を正しく組み立てられるかという課題ですが、受験目的に応じた課題をこなすことは当英語塾の訓練で可能です。受験生に課せられているのは、本格的な大人の英文ライティングではなく、あくまでも早慶の看板学部に合格できるくらいの力です。字数も現段階ではせいぜい150字-200字です。早稲田の政経学部ならば、そこで出される課題に即した文の並べ方を勉強すればよいだけなのです。例えば、早稲田の法学部、政経学部受験生は、<譲歩→逆接→主張>というロジックを練習する必要はありません。

 

しかし、問題は3番目のポイントです。出された課題に対して、何を書くべきか思いつくか否かですね。結論的に述べれば、早慶の自由英作文に応答する内容を書く力は、各生徒の資質と家庭環境に左右されますから、純粋な英語力という問題ではなくなってしまうのです。

 

自由英作文関連のHPの文章を見ますと、「「例文暗唱をしなさい」とか、「自由英作文は自由に書く文章ではない、『型』にはめて書かなくてはいけません」といったアドバイスが載っています。それは間違いではありません。しかし、そういったトレーニングをいくらしても、書くべき内容やアイデアが瞬時に浮かんできたりはしないのです。なぜならば、英語力の問題ではないからです。

 

他方、小中学生のころから、親子で世の中の諸問題について話し合ったり、新聞・雑誌・新書本・テレビ・映画を見たり読んだりしながら考える習慣を養っていれば、早稲田の政経の問題などは決して難しくありません。慶應の経済の問題も、中学高校で新書本を読む習慣さえ身につけていれば、至極容易のはずです。

 

どんな問題が出るのでしょうか。最近4年間の早慶の自由英作文の問題を見てみましょう。日本語で自分なりに構想をまとめてください。独創的なアイデアは不要です。凡庸だが、適切な内容であればよいのです。中学2年生以上ならば、出来る子は出来るはずです。ただし、いずれも2-3分以内に仕上げてください。

 

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慶應大学経済学部 

「以下の二つの問いのうち一つの問いを選び、YesまたはNoのいずれかの立場に立って論じなさい。このとき、問題文(英語)の文章を必ず一つ2014年のみ二つ)引用すること」

 

2013

「日本の動物園は廃止されるべきか」

「生物資源に所有権を認められるか」

 

2014年 (この年のみ二つ文章を引用する。他の年は一つのみ)。

「日本政府は社会の不平等を減らすための努力をすべきか」

「日本政府は若者の失業問題解決のために何らかの方策を取るべきか」

 

2015

「日本政府は公共および民間セクターの女性雇用者の数を確保するために割当制を導入すべきか」

「日本政府は外国人が日本に定住するように促すべきか」

 

2016

「日本政府は同性同士の結婚を合法化すべきか」

「日本政府は国民に選挙の投票を義務づけるべきか」

 

 

早稲田大学政経学部

「以下の命題について二つ以上の理由をあげて賛成か反対か論じなさい」。

 

2013年「自動車は近代でもっとも重要な発明である」

 

2014年「もし永遠に生きることができるならば、人類はより幸福になることができる」

 

2015年「選挙できる年齢は18才に引き下げるべきである」

 

2016年「喫煙は我が国では非合法化すべきである」

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如何でしょうか。語るべき内容はまとまりましたか?

 

慶應の場合は、このブログ記事からは分かりにくいですが、問題本文(英文)からの適切な引用をするのが難しいですね。早稲田の場合は、理由を二つ思いつくのが大変です。いずれにせよ、わずか2-3分以内で構想をまとめ上げるというのが、一番シビアーな点です。なにしろ、自由英作文の問題に与えられた時間は全部で15分ほどですから、構想にかけられる時間は最大限見積もって3分くらいまでなのです。

 

早稲田慶應の文系の最高峰を本気で目指す人ならば、対策はもちろん有ります。中学生であれば、たとえば、中高生新聞(『朝日中高生新聞』『読売中高生新聞』など)を購読してみましょう。この記事(←クリック)は参考になりますよ。中高生新聞は、大人が読んでも面白い内容です。池上彰のTV番組や新書本なども、薦めています。受験で忙しいかもしれませんが、小学生のころから見ていると良さそうですね。

 

高校生であれば、やはり新書本から政治経済や国際関係のものを毎月何冊か読むようにするのが良いでしょう。一例をあげれば、多少頁数が多いですが、加藤典洋『戦後入門』はどうでしょうか。もちろん、雑誌やテレビでもOKです。『ニューズウィーク(日本語版)』や、新聞の政治面、社会面、国際面、社説などを読むのも良いのです。

 

大事な事は、時事問題や政治経済について、自分から興味を持って情報入手する姿勢を養うことです。義務だとか勉強だとかと思っているようでは、楽しんで学んでいる小中高生には太刀打ちできません。早稲田や慶應の文系看板学部は、そういう人、つまり、勉強すること、本を読むこと、社会についてあれこれと考えあぐねること、が楽しくてしょうがないという学生を求めているのですよね。

 

(なお、念のために付け加えておきますが、全ての大学の自由英作文で時事問題とスピードが重視されている訳ではありません。たとえば、国立の電気通信大学は、かなり長文の自由英作文が要求されますが、時間はたっぷりあります。また、時事問題に詳しい必要はありません。理系大学なのですから、当然のことでしょう)。

 

 

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2016/06/09

大学受験の英語長文―早慶の英語長文の難易度

大学受験の英語長文―早稲田・慶應の英語長文の難易度について

 

英語長文は、原則的に東海・大東亜帝国=>日東駒専=>成蹊・成城・明学=>GMARCH=>早稲田・慶應 と難しくなるのだと前回説明いたしました。しかし、詳細にチェックしてみると、GMARCH・早慶においては、必ずしも大学のランクと英語長文の難易度が一致しているとは限らないのだ、とも説明いたしました。今回は、早稲田や慶應の学部間格差が、大学入試の英語長文の難易度にどのように反映しているのかを説明していきます。

 

すでに皆さんご承知のことと思いますが、早稲田・慶應といっても、看板学部(上位学部)非看板学部(中位学部)、さらには都心から遠いキャンパス(早稲田大学所沢キャンパス、慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC))、国際系あるいは英語重視学部部など分れていおり、当然大学入試問題にも反映しています。さて、ここで重要なことは、英語長文の難易度に着目する限り、看板学部の方が非看板学部よりも英語の長文読解が難しいとは限らないのだということです。また、難しい長文を課すからといって純粋に高い英語力を求めているとも限りません。(たとえば、よくわからなくても力仕事で最後までやりとげる「根性」や「執念」を測っているのかもしれません)。

 

年によって異なるのですが、早稲田・慶應(*)の長文問題の難易度をだいたいの感覚で大雑把に順番を付けてみると、次のようになりました。(異論はあるでしょう)。

 

早大・所沢(スポ、人間科学)<<<早大(教、政経)、慶應(経済)<早稲田(文学、社学、商、理工)、慶應(商、医学部、理工)<早大(法)<慶應(薬、法)

 

*)英語重視の早稲田大学国際教養と慶應大学SFCの学部(環境情報学部、総合政策学部)、および慶應大学看護医療学部と文学部は除きます

 

 

早稲田の所沢キャンパスの2学部(スポーツ科学部、人間科学部)は、試験問題もはっきり言って易しい。とくに人間科学部は、英語長文問題が抜群に短いことで際立っています。両学部は偏差値も低いのですが、それがそのまま反映しているようです(残念ながら、神奈川県からは2時間以上通学時間がかかりそうなので薦めにくい学部です。それをのぞけば、早慶の中でも最も入りやすい学部なので、注目なのですが)。

 

早稲田・慶應の本キャンパスの諸学部は、いずれも英語長文はかなり難しいです。早稲田の教育学部の英語長文は、その中では相対的には易しめだとは思います。(が、決して易しいという訳ではありません。)

 

早慶の看板学部である早稲田の政経、慶應の経済も、実は英語長文は、易しめです。私学の最難関である慶應の医学部も、それほど難しいわけではありません。

 

他方、びっくりするほど難しいのは、慶應の薬学部です。私大理系大学では一番難しい英語長文を出すかもしれません。私大文系で一番難しい英語長文?と問われれば、早稲田の法学部も難しいですが、やはり慶應の法学部だといえましょう。超長文(とくに早大法学部)が出題され、難易度の高い語彙が問われ、紛らわしい選択肢を選ばなければなりません。正直に言って、慶應の法学部は受験生だけでなく教える側にとっても苦行です。悪い意味での「受験英語」の頂点を極めているのが慶應大学の薬学部であり、法学部なのです。(なお、慶應法学部に合格するための英語の勉強をしたからといって、英語の本を読めるようになるとか、ましてや英語を話したり、書けたりするようになるわけではありません。慶應大学法学部または薬学部に入学するたの英語修業と割り切る必要があります)。

 

ここで早慶の英語長文の難易度をざっくりと説明します。一言でいえば、主要国立大学や旧帝大(東北大、名古屋大、大阪大など)の英語長文よりははるかに難しい。ですから、たとえば横浜国大と早稲田とを併願してもうまくいかないのです。東工大・一橋大あるいは東大受験生でも、早慶の英語はかなり難しく、なかなか両立できません。東大受験生ならば早慶の経済学部や理工学部は併願できるでしょうが、慶應大学の法学部だと厳しい。また、東大理三受験生ならば、慶応大学医学部を併願することは可能でしょう。慶應大学医学部は私大の最難関学部ですが、英語長文は難しすぎないので、東大第一志望の受験生でも対応できます。要するに、早慶の英語長文のほうが、東大の英語長文よりも、語彙数も内容もはるかに難解なのです。私立志望なのか国立志望なのか、高校三年生のときには決断が求められるのは、そのためなのです。

 

東大よりも早慶の英語長文の方が難しい。ではどこが?ということになりますと、まずは求められる語彙力の違いです。早慶のほうが英単語を沢山知っていなければならないのです。また、読みこなすべき英文の内容も異なります。東大の英語長文は、基本的に高校教科書レベル、あるいは、高校生として求められる一般教養をしっかりと理解できていれば読み解ける文章です。しかし、早稲田となると、大学・大学院生レベルの内容が英文で出てきます。

 

たとえば、理工学部では「全体論(ホーリズム)と要素還元主義」「進化論と老化」を知っていれば即座に解ける問題、文学部では「『カースト』概念と植民地官僚」というテーマ。つまり、インドの「カースト制度やヒンドゥーイズム」は、インド社会を論じた客観的な概念ではなく、大英帝国の植民地行政の必要上から構築された概念にすぎないと論じる文章が取り上げられました。要するに、大学または大学院の英語論文読解演習レベル以上の文章が平気で出ます。(ただし、英文の意味はよく分からなくても、試験問題は解けるようには出来ています)。

 

慶應大学の場合も、ほぼ事情は同様です。英語長文の語彙は、最難関の法学部の場合、英検一級以上レベルです。(ただし、かならずしもそのレベルを知っている必要はありません。テクニックで乗り切るのが普通です)。英語長文のテーマも当然、大学生ないしは社会人レベルに及びます。しかし早稲田と比べると、慶應の文系学部はテーマが限定されていますので、「ある意味」では対処しやすい英語長文です。つまり、日頃から新書本や『ニューズウィーク』に親しみ、新聞の政治、経済、国際面あるいは社説をよく読んでいる高校生ならば、理解しやすい英語長文(たとえば、The Wall Street Journalの記事――受験生はこういった英字紙を読む必要はありません、念のため) が出題されます。言い換えれば、高校生レベルというよりは、一流インテリ・ビジネスマンの教養力レベルの英語長文が出されるというわけです。ただし、受験生が完璧にわかる必要はありません。

 

まとめましょう。

 

早稲田・慶應の英語長文は、東大等の国立大学よりも、内容的にも語彙的にも難解です。しかし、看板学部(早稲田の政経学部、慶應の経済学部、医学部)の難易度は、ある程度抑えられていて、東大受験生の併願受験校とすることができます。他方、早慶の法学部、とくに慶應大学法学部は、看板学部ではありますが、かなり難しくなっています。

 

なお、早慶とも英語長文は難しいですが、内容をよく理解し咀嚼する必要は必ずしもありません。内容はよく分からないけれども、記号選択が合っていたらOKなのです(笑)。つまり、勘がよくて記号選択が得意という人向きです。このあたりが、がっつりと真正面から取り組む必要のある東大や国立大学の英語長文とは、対処方法が異なっています。

 

長くなりましたので、ここでいったん切ります。次回は、早慶看板学部の英語長文がなぜ相対的に易しいのかについて、もう少し詳しく説明します。

 

 

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2016/06/07

中高一貫校上位男子校 英語との付き合い方ー当英語塾の方針

 

全般的に、男子校は女子校に比べて英語のレベルが低いです。(対して女子校は男子校より数学の力が弱いです。)

 

英語の勉強というのは、数学のように問題をどんどん解いて正解が出たらそれで終わり、というものではありません。むしろ、正解が出てからが本物の英語学習です。つまり、コツコツと地道な努力を継続してやり続ける忍耐力が求められます。そういったことは、男子よりも女子の方が得意なようです。男の子の場合は、よほどのことがない限りそういったコツコツとやらなければならない英語の勉強は面倒くさくて、あまりやりたがらないのです。

 

また、周りにすごく英語ができる子が少ないので、多少英語ができなくてもそのことに気づかずに過ごしてしまうことも多いのではないでしょうか。あるいは、少し真面目にやるだけで簡単にトップクラスに上がれる学校もあるようです。

 

ある中堅の男子校ですが、そこでは中1の段階から英数の特進クラスというのが設けられています。その特進クラスに所属しているという生徒さんを何人か教えたことがありますが、正直「これで?」と驚きました。私たちの正直な感触では、同じ中堅レベルの女子校なら間違いなく平均より下にしかなれないレベルです。

 

とにかく、親御様がこれでは危ない、と気づかれたら早めに手を打つことも必要かなとは思いますが、一人ひとり、状況が違いますので、一概には言えません。

今回は特に、御三家を初めとする上位中高一貫校男子の生徒さんに絞って話をすすめてみましょう。

 

当英語塾は、麻布・栄光・浅野あたりの生徒さんとわりとご縁をいただいて教えた経験があります。私たちが教えた彼らはみな例外なく、非常に地頭がよいです。ですから、親御様が焦って首根っこをひっ捕まえて引っ張って連れてきても、大体できてるからいいじゃん、と長続きしないことが多いのです。

 

私たちも実は、「彼らはそれでいいじゃん」と思っています。やる気が出ないならしばらくはゆっくりと休憩して、十分休憩をとった後で、再び走り始めればよいと考えています。

 

むしろ、「このままではやばい」と本人が気づいてから始めた方が彼らの場合は効果的であるように思います。彼らのような頭の良さがあるならば、当英語塾のようなところで正しい方法論に従って集中して学習していけば、数年の遅れなどすぐに取り戻すことが可能だからです。むしろ、焦ってから来てください。

 

ここで私たちのお勧めのパターンをご紹介しておきます。御三家あたりの男子生徒さんを念頭においています。

 

受験勉強で全力疾走したわけですから、しばらくやる気が出ないのは当然です。そういう状態に陥った場合は、むしろよいチャンスと捉え、静かに見守って差し上げてください。そして、好きなことをどんどんやらせてください。自由に泳がしてよいです。この、やる気の出ないどうしようもない喪失感(?)脱力感(?)に襲われる時期は、誰にでも来ると思った方がよいですし、来るなら早い時期の方がよいのです。そして予定通り中学入学後すぐにそのビョーキにかかったら、「中二末までという期限付き」と「ゲーム機は絶対に与えない」という条件付きで思いっきり好きなことをやらせてください。

 

※ 「好きなことをやらせる」というのは、何もしないでぼーっとすることではありません。それでは後につながりませんし、いざ出陣!というときに、全くやる気が出ない本物の無気力人間になってしまう可能性があるからです。この時期を充電期間と捉えて、集中して本を大量に読む、映画をたくさん見る、博物館にいきまくる、スポーツに集中する、星を観察し続ける、数学の難問を解きまくる、など、好きなことを「必ずする」という約束の元に自由にさせてください。

 

※ ゲーム機を与えた時点でthe endです。大切なお子さんを廃人にしたくなければ絶対に与えてはいけません。既に与えている場合は、お子さんを再生させたい場合は、力づくでも、もぎ取ってください。

 

※ お子さんを自由にはさせても、(母)親の威厳は必ず保ってください。子どもの言いなりになってはいけません。お互いに事前にルールを決めて「子どもを決して過保護にはしない」「厳しくしつける」=「たくましい精神を養う」ということは常に気を付けておいていただきたいと思います。

 

 

そして、中3のうちには態勢を立て直し、再びあの全力疾走ができるよう準備を始められることをお勧めいたします。(遅くとも高1春にはとりかからなければなりません。)

 

特に、東大や一橋・早慶上位文系学部のように、大学受験英語に英作文が必要となる場合は、早めの準備が必要です。大量の基本構文をしっかりと理論的に理解しながら音読暗唱する必要があるからです。男子の場合は、そういった地道な努力はもともと好きではありませんから、退屈だけど絶対に必要な文法学習は、1年以内に完成させると納期を決めて集中してやった方がよいです。

 

この理由は、すでに高校生になってしまった場合、「今更こんなことやってられるか」とつい面倒くさがる虫が騒ぐといけないからです。(()の穴埋めばかりやっても実力はつきません。)また、男子ですと高校生あたりからちょっと生意気にもなりますので、生意気になる直前の中学生のうちに、まだ言われたとおりに頑張る素直さと子供っぽさがわずかながらでも残っているうちに、最低限のことを仕込んでおいた方がよいのです。

 

 

また、早慶以上を狙うということになると、国語が得意なお子さんの場合でも、長文を読み込み読み慣れることに一定の時間が必要になります。国語が苦手な場合は、更に早めの対策が絶対に必要となります。

 

 

(実際、浅野高校から早稲田の政経学部に合格した中田君は、中3で当英語塾に入塾なさり、1年間集中して英文法の音読学習をすることができ、結果的にうまくいきました。学年で本当のビリだった彼が1年で学年トップクラスに躍り出ました。当英語塾に入塾なさった当初、お母様は「このままではMARCHを覚悟しなければならない」と思われていたそうです。また、お子さんに対して一種の厳しさとなんとしてでも一流大学!という非常に強い思いを持っておられました。このお母様の毅然とした態度も合格を支える非常に大きな力となりました。)

 

ここで、「MARCHでは嫌だ」と思うかどうか、が一つのポイントになると思います。MARCHでもいい、と思えば、元々地頭がよい彼らですから、高2あるいは高3からガリ勉してもなんとかなる可能性があるでしょう。しかし、せっかく御三家(クラス)に合格できたのにMARCHではやはり寂しいですね。

 

このあたりのことをよくお考えになって、計画的に日々をお過ごしください。

 

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