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2017/10/17

[映画紹介] 将来伸びる子にするための子育てをしよう!ー「余白の大きな子」に

先日、余白の大きな子が柔軟に伸びる、ということを書きました。

 

「余白」というのは、「遊び」の部分と言い換えてもいいと思います。が、ここで注意すべきは、「余白」イコール「空白」ということではない、ということです。言うなれば、宝物がたくさん入った「入れ物」であり、その入れ物自体、いくらでも伸びるやわらかいゴムのような素材で出来ていて、何かを入れるとどんどん膨らんでいくようなものと考えてください。(つまり何も入れないと余白は育たないということになります。)中身のたっぷりと入った、大きな「余白」を持つことが、学力の柔軟な伸びに確実につながっていきます。

 

 

その「余白」は小さい時にしっかりと育んであげることが最も大切です。なぜなら「余白」とは五感で感じるような活動を豊富に体験させてあげることから、まずは生じるものだからです。小さい頃は時間もたっぷりありますし、何と言っても好奇心に満ち溢れている時ですから、やはりこの時が勝負だとも言えます。この時、余白の基礎がしっかりとできていれば、中学以降更にその「余白」を拡げ続けていくことが可能となります。

 

 

中学以降は、教科書的勉強がどんどん抽象的あるいは複雑になってゆきますが、小さいころにしっかりとした「余白」が育まれている場合は、抽象的な概念や理論と、余白に詰まっている具体的な経験がどんどん有機的に結びつくので、理解が早く、かつ、深いものになります。さらには、その理解したものが再び経験値としてどんどん余白の入れ物の中に蓄積されるわけです。そうなるともう雪だるま式に興味・関心や学習意欲が高まり、何をやっても楽しめ、身になることが多いように思います。もちろん、ただテレビを見るだけでも学べる子は学べます。

 

 

例えば、家族で映画を観るのもよい活動ですね。

 

我が家も、映画館に足を運んだり、自宅でDVDを観たりと、いろいろな映画を観るようにもしています。最近あるいはこの1年くらいで観た映画の中で、印象的だった映画を思いつくままに、いくつかご紹介してみましょう。

 

 

 

ダンケルク』   監督 クリストファー・ノーラン 2017年公開Dunkirk1dunkirk2

 

 

第2次大戦下、フランスの港町ダンケルクに追い詰められた英仏軍が、対岸のイギリスに撤退する作戦を描いた作品。歴史的にも有名な戦闘なので、これまでも何度か映画化されている。

 

ノーラン監督の「ダンケルク」は、歴史の大きな流れを俯瞰するドキュメンタリー的作品ではなく、個々のイギリス人の戦闘体験を音と映像で再現しようとする。小型遊覧船でダンケルクに向かい、イギリス人兵士を祖国に生還させようとする老人。燃料不足の英軍機でイギリス兵の護衛をしようとするパイロット。そしてもちろん、ダンケルクから脱出するイギリス軍兵士。戦場の恐ろしさをとくに音でよく捉えており迫力がある。

 

 

 

三度目の殺人』 監督 是枝裕和 2017年公開

 

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これは、まだ劇場で上映中だと思います。福山雅治扮する弁護士と役所広司扮する殺人の前科持ちの男とのやり取りを通して、様々な問題提起をしています。司法界の裏側に潜む不条理だとか、私たちが生きる社会にある不条理。世の中には、なかなか一つの正解にはたどり着けない問題があるのだ、ということ。例えば、不正や不条理を目の当たりにしたとき、素知らぬ顔で素通りできる人間が得をして、そこにこだわってしまう人間が損をする。あなたはどちら側の人間になりますか?正義感から人を殺すことは100%悪なのか?仮にそうならその犯罪に対する死刑という宣告もまた悪ということになりはしないか?

 

 

 

 

」 監督 山田火砂子  2017年公開

 

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三浦綾子原作の本を映画化した作品で、『蟹工船』で有名なプロレタリア文学者小林多喜二のお母さんの物語です。北海道で育った小林多喜二は、大手銀行で働くエリートサラリーマンでしたが、労働者や貧しき者弱き者たちの視点から小説を書くようになります。そして、小説を通して、権力者・大資本の横暴を暴いていきました。そのために、特高警察に捉えられ、激しい拷問のうちに若い命を奪われてしまいます。その多喜二をずっと信じて見守り続けたお母さんを中心に描いたものです。映画そのものは、お金のかけられない条件の中でなかなか頑張った作品だと思います。映画の出来がどうこうというよりは、こういう残酷なことが確かに国家権力によって行われたのだという事実をまずは知ることが大切だと思います。

 

 

 

スノーデン』 監督 オリバー・ストーン 2017年公開 (イギリス・ドイツ映画)

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現代は「監視社会」であるとか、よく聞きますよね。しかし、どのくらい監視されているのかとなるとピンとこないんじゃないでしょうか。そういう人におすすめの映画です。

 

ジュリアン・アサンジとかエドワード・スノーデンの名前を聞いたことがありますか。聞いたことがない人、名前は聞いているがよく知らない人は、ぜひ見てください。スノーデンは今なおロシアに亡命中の実在の人物です。

 

もちろん、作り物や嘘の話よりも、本当に起きた話や、現在進行中の現実にスリルとサスペンスを感じる人は、もちろんオリバー・ストーン監督の映画をすでに何本もご覧になっていると思います。この作品も傑作ですから、迷う必要は全然ありません。

 

この映画は、CIA(Central Intelligence Agency、米国中央情報局)やNSA(National Security Agency、米国国家安全保障局)といったアメリカのスパイ組織に勤務していた愛国者のスノーデン氏が、どのような理由と経緯で政府の犯罪を告発し、それを暴露する決意を抱くようになったか、そしてどうやって政府の追求から脱出を図るのかを、わかりやすく、かつ、ドキドキしながら楽しめるように描いた作品です。

 

スノーデン氏はコンピューターと情報技術の専門家としてスパイ組織で働いていました。当然のことながら、要注意人物やアメリカの敵について、最新技術を駆使して相手の機密情報を探り出す仕事に携わります。個人のパソコンや携帯電話にこっそりと忍び込み、情報を盗み出しもするでしょう。しかし現実には、全然アメリカの敵とはいえない普通の民間人にたいしても、組織の力を上げて情報を窃取しているのです。パーティーで知り合った外国人男性を、政府の力によって犯罪者に仕立て上げることも簡単です。そういう世界にスノーデン氏は憤りをもつようになり、自分の高給や将来キャリアを投げ打ってでも、告発しなければならないと考えるようになります。

 

映画作品ですから多少のフィクション的要素はあるでしょうが、面白く仕上がっています。なお、スノーデン氏は日本でも勤務した経歴があるようで、アメリカが日本人の情報を秘密裏に窃取していたのだなということがわかるのも、興味深いところです。

 

 

 

タレンタイム』 監督 ヤスミン・アハマド 2009年初上映 (マレーシア映画)

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アメリカに留学してみると分かりますが、アメリカ人とはもちろんのこと、他の国の留学生とはなかなか親しくなることはありません。一つには言葉の問題があるからです。英語で話せばいいじゃないかと思われるかもしれませんが、母語ではないとざっくばらんな肩のこらない会話は難しいのです。自分の国では有名な芸能人やポップソングの名前も、異国の人には全く知られておらず、共通の話題がないのです。「文化の壁」を超えるのは大変だなあと思い知らされるわけです。

 

マレーシアは、一つの国家の中に「文化の壁」がある国です。イギリスの植民地として誕生した社会なので、様々な民族集団が容易に融合しないまま共存しているわけです。マレー系(イスラム教、マレー語・英語)、中国系(仏教道教、広東語・北京語・英語)、インド系(ヒンドゥー教、タミール語・英語)が主な民族です。お互いに仲良くなるのは、ちょっと大変そうだなというのがわかるような気がしますね。

 

さて、映画の舞台となるのはマレーシアのある高校なのですが、そこでは音楽的才能の発掘のためにタレンタイムというコンテストが催されます。つまり、この映画は音楽コンテストに参加する若者たちを描いた音楽映画でもあるのです。しかし、音楽も文化の一つです。様々な民族的バックグランドの若者が参加していれば、当然音楽も千差万別です。たとえば、中国系の男子は二胡(中国の古典弦楽器)で参戦したりします。

 

多様で複雑な民族から成り立っている社会で、若者たちはどのように競争したり協調したりしながら、反発したり惹かれ合ったりしながら、自分たちの音楽を演奏していくのかが見どころの青春ドラマです。

 

多民族社会を描くのに、群像劇的な方法論もうまく活かされています。

 

 

 

沈黙』 監督 マーティン・スコセッシ 2017年公開

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遠藤周作の同名小説の映画化です。江戸時代初期のキリシタン弾圧下において、日本人信者に与えられる残虐な拷問と、それを目の当たりにしながら棄教と信教の間で苦悩する宣教師ロドリゴの心情が描かれています。「神とは何か?」「神とは本当にいるのか?」という問いかけと苦悩。そして遂には信者に与えられる拷問のあまりの残酷さに屈して踏み絵を踏んでしまうロドリゴ。・・・とこの先に、実はこの小説や映画の主題がありますが、答えはそれぞれで見出していただきたいと思います。

 

これは小説も映画もどちらも甲乙つけがたい出来だったと思います。

 

 

『あん』 監督 河瀬直美  2015年公開

 

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これは、内容をあまり言いたくないですね、とにかく観て、そして感じてほしい。ハンセン病患者として施設に入所している、樹木希林扮する徳江さんが、道路わきに立つ一本の桜の花を、なんとも愛おしそうに幸せそうに見上げるシーンが、とてもせつなくて胸が締めつけられるような息苦しさを感じました。徳江さんの目に映る桜の木や花、そして空は、さぞかし美しかったのだろうと。

 

それにしても樹木希林さんの演技力が凄い!あれは演技じゃなくて、その人自身になりきっているんだろうな。今でも徳江さんと、どら焼き屋の店長さんの姿が、私の中で動いています。観て本当によかったと思える映画です。観た後しばらくは、現実世界に戻れない気分になる。

 

 

 

『生きる』 黒澤明監督、1952年公開

 

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「お役所仕事」それは「何もしないこと」とイコールだ、という官僚主義、形式主義に対する批判が通奏低音となっています。主人公の渡辺も御多分に漏れず、毎日書類にひたすらハンコを押すばかりの日々を送っていた。が、ある時身体の調子を崩し、病院を訪れ、軽い胃潰瘍と告げられるが「自分は癌だ」と悟る。そこから、自分の人生を見直し、真に「生きる」とはどう生きることなのかを追及し始める、というお話。

 

 

 

風に立つライオン』  監督 三池崇史 2015年公開

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アフリカにある、長崎大学熱帯医学研究所に派遣された実在の医師をモデルにして、さだまさしが作曲し、更には小説化したものの映画版。

 

離島医療に励む婚約者を日本に残してアフリカ、ケニアの研究所に派遣された主人公は、現地で戦傷病院からの派遣要請を受けてそこへ向かう。そこには毎日、膨大な数の戦傷者が、ひどい状態で運ばれてくるが、医師の数も足りず、十分な医療を施せない状態だ。そういう状況の中で、自分はそこで医師としての使命を全うしたいと思うようになる。「僕は風に向かって立つ一頭のライオンでいたい。」と…。気がかりなのは日本に残した恋人。長く悩みに悩んだ末に、たった一言「幸せになってください。」という手紙を残す。

 

「風に向かって立つライオンでいたい。」格好いいですねー。『生きる』という映画に通じることですが、いつもどんな時も、「どう生きることが自分にとって心地よいのか」をじっくりと見つめ、潔く、気高く生きてゆくことが出来たら、きっと自分の人生を「生きた」ことになるのだろうと思わせてくれる映画です。

 

 

 

故郷』 監督 山田洋次 1972年公開

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瀬戸内海にある倉橋島(広島県)で石船に乗って生計を立てているある夫婦(家族)の生活を描いた作品です。豊かではなくとも慎ましく幸せに暮らしていた家族でしたが、高度経済成長という荒波の中で、進むべき道に葛藤する姿、大きなものに屈せざるを得なくなった時の口惜しさ、淋しさが描かれています。ちっぽけだけど何物にも代えがたい大切なものがあるってこと、今の裕福な環境で育っているお子さん達にもわかってくれる子がいるといいんですが…。

 

余談ですが、わが子が中一の時にこの映画を見せたのですが、夏休みの旅行は倉橋島にしました。レンタカーを借りて島を周っていると、「あ、この橋映画の中に出てきたあの橋だ!」とか、昔は木造の石船だったものが大型のフェリーとして今もある様子を見ることも出来ました。更になんとも驚きだったのは…島めぐりをしている最中に、ふと山の上の畑を見渡すと、一人のおばあちゃんが畑仕事をなさっていたので、その畑まで登っていきお話を伺ってみたところ・・・

 

映画の中で倍賞千恵子演ずる船長さんの奥さんが、石船に積載している振り子のようなものを巧みに操縦して船を傾け、石をどさ~っと海岸べりに振り落とすというシーンがあるのですが、倍賞さんがそれを出来るはずもなく、実際にその場面で石船の振り子を操縦していたのが、なんとそのおばあちゃんだったのです!!

 

一つの映画からこんなにも世界を広げることが出来て、家族でとてもよい経験、思い出になりましたし、忘れられない映画の一つとなりました。

 

 

 

華麗なるギャッツビー』 監督 バズ・ラーマン 2015年公開 

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スコット・フィッツジェラルドの小説『グレートギャッツビ』の映画版です。レオナルド・ディカプリオ扮する若き大富豪は、大邸宅で毎夜のように絢爛豪華なパーティーを開いている。しかし、彼には謎が多い。その謎の中には、生きることの孤独や悲哀が含まれていて、単純に否定したり非難できるものではない。そんなことを感じさせられる映画でした。ストーリーを書いてしまうと謎解きになってしまうので、あまり書けません。観て考えてみてください。もちろん小説を読んでみるのもよいですね。

 

 

 

英国王のスピーチ』 監督 トム・フーパ― 2011年公開

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1925年大英帝国博覧会閉会式で、父ジョージ5世の代理としてアルバート王子がスピーチをするが、吃音症だったため、悲惨な結果に終わってしまう。その後、言語療法士について治療を続ける。やがて第二次世界大戦が勃発。その時、紆余曲折を経てジョージ6世として即位していた王子は、大英帝国全国民に対して完璧なスピーチをする。

 

初めはギクシャクしていた言語療法士との間に友情、信頼関係が構築されていく過程、ジョージ6世の、真剣で誠実なスピーチ、そしてその傍で、静かに、しかしどっしりと支えていた言語療法士の姿、など、そても感動的、印象的でした。

 

 

 

博士と彼女のセオリー』  監督 ジェームズ・マーシュ 2014年公開

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若かりし頃より筋萎縮性側索硬化症(ALS)という病気にかかり、車いすの物理学者として知られるイギリスのスティーブン・ホーキング博士と元妻との約25年間の生活を描いた映画です。単純に、ホーキング博士が若いころよりどんなふうに過ごして今に至るのか、という伝記物語としてみることもできますが、障碍のある人や重い病気の人が生き長らえるとはどういうことか、さらに、彼ら彼女らを支えて生きるとはどういうことか、といった問題を深く考えさせられもします。愛する人を支えて生きようという純粋な気持ちも、様々な環境の変化によって複雑に移ろってゆく。その移ろいや迷い自体に戸惑ったり苦しんだりしながら更に人として成熟していく姿に、何か爽やかな気持ちになりました。観る人によって、感じ方が大きく違っても来る作品かもしれません。

 

 

 

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2017/10/06

カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞。

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カズオ・イシグロが2017年度のノーベル文学賞を受賞した。イシグロは、いずれノーベル文学賞を受賞できるだろうということは、多くの人が前々から確信していたはずだ。だが、こんなに早くに受賞できるとは、誰も予想できなかったのではないか。しかし、いずれにせよ、自分が愛読していた作家がノーベル文学賞を受賞できるとは、本当にうれしい!

 

人間歳を取ると、そういう喜びが増えてくる。ちなみに昨年はボブ・ディランのコンサートに初めて行ってきたのだが、なんとその年にノーベル文学賞を取ってしまって、これは本当にびっくりだった。実は、それ以前も、私のお気に入りの英語圏作家が2人ノーベル文学賞をとったのだが、これは予想の範囲内だった。なお、今後15年内の英語圏文学者のノーベル文学賞を予測すると、インド生まれのラシュディとカナダのマーガレット・アトウッドである。(アトウッドの『待女の物語』のTVドラマ版は、現在北米で人気放映中だ。そのうち、日本にも来るはずだ)。

 

さて、イシグロが日本生まれのイギリス人作家であることは、皆さん報道でよくご存知でしょう。どんな作品かというと、一言で言えば、主人公の子ども時代の思い出のような心理的表象について、絶妙なリズムで語りかけてくる英語と言ってしまいましょうか。読み手(聴き手)に訴えかけるものがあって感動を呼ぶのです。

 

僕たち英語を教え、学ぶ者にとっては、イシグロの小説は、格好の英語教材としても有名でした。イシグロを読んで英語を勉強している英語教師は案外たくさんいるはずです。シンプルな英語なので、外国人の英語学習者にもお手本になる良い英語だからなのでしょう。

 

僕自身、When we were orphans(邦題『わたしたちが孤児だったころ』)と、Never Let Me Go (邦題『わたしを離さないで』)は英語の原書で全部読んでみたわけです。とくに前者は、カセットテープ(もちろん、もうアマゾンでは売られていません)まで購入し、テープレコーダーで何度も聴いてみた。(写真は、僕が購入したカセットテープです)。

 

もちろん翻訳で読んでも、イシグロ作品は楽しめる。イシグロや村上春樹のような世代の作家は、自分の作品が翻訳されることを前提に文章を書いているので、翻訳で読んでも違和感がない。

 

とはいえ、日本語だとしても、小説を読むのはちょっと面倒だなという人の方が多いでしょう。昔の僕が、そういう人でした。しかし、ご安心あれ、映像作品でも、イシグロ・ワールドの一端を楽しむことが出来る。オススメは、ジェームズ・アイボリー監督、アンソニー・ポプキンス主演の『日の名残り』と、綾瀬はるか主演の連続テレビ・ドラマ『わたしを離さないで』 である。(真田広之が出てくる『上海の伯爵夫人』は今ひとつかなあと僕は思ったが、評判は悪くない。また、安価で購入出来るようです)。

 

『わたしを離さないで』は、2016年の春に連続テレビドラマとして日本語リメイク版として放映された。が、シリアスな要素が強いためか、必ずしも視聴率は良くなかったらしい。また主演の綾瀬はるかは、こういう作品に出演することにより、連続人気NO.1女優の地位から陥落することにもなったとも聞く。しかし、見る人が見れば、このテレビドラマの面白さは、すぐに分かるはずだ。テレビを見てから(たぶん再放送がはじまるはず!)、原作・翻訳本にも挑戦してもらいたい。

 

最後に塾講師の独り言

 

カズオ・イシグロを楽しみながら考えながら読んでくれるような中高生であれば、慶應の文学部にはガリ勉不要で楽々合格できるんだがなあ。逆に、仮にガリ勉しても、慶應の文学部は無理筋かもしれない。なかなか受験勉強というのは、奥が深い。

 

 

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2017/10/06

将来伸びる子にするための子育てをしよう。

巷には、「偏差値30台から慶應合格」だとか、「E判定から東大合格」など、つい信じてすがりつきたくなるような甘い言葉が飛び交っています。確かに本当にそうなった人もいるでしょうが、その「裏事情」とか「背景」というものを探る意識も必要かと思います。つまり、誰でもがそうなれるわけではない、大抵の場合、「なあんだ、そういうことね。」という「事情」や「根拠」があるということです。

 

すばり、本題から入ります。「どんな子が柔軟に伸びるのか?」その答えは「余白の大きい子」です。随分と抽象的で分かりにくいと思われる方が多いと思いますが、わかる方にはすぐわかる表現でもあると思います。「ああそうそう、そうだよね~」ってな具合に。

 

落ちこぼれだったのに急激に、あるいは柔軟に伸びる子の場合、大抵はもともと「余白」が大きかった、というケースがほとんどだろうと思います。少なくとも私たちの経験上は、そう言えます。

 

ちょっと話は変わりますが、これから本格的な子育てをなさる方には是非一読をお勧めしたい本として岸本裕史著『見える学力見えない学力』という本があります。随分古い本ですが、子どもを「健全かつ柔軟に伸びる子に育てたい」と願う親にとってはバイブルにすべき書ではないかと思います。

 

本のタイトルにも書かれているように、子どもの学力には「見える学力」と「見えない学力」があり、見える学力を十全に伸ばすためには「見えない部分の学力をしっかりと育てていかなければならない」というのが、一貫した筆者の主張だったように記憶しています。(本が自宅内において行方不明となり、記憶だけを頼りに書いていますが、そんな趣旨だったと思います。)

 

岸本氏の「見えない学力」というのが、冒頭に挙げました「余白」とイコールの関係にあると思います。つまり、小さいころ(生まれてから中学校に上がる頃まで)に「見えない部分の学力」をしっかりと培っておくと、自然と「余白」が大きくなり、それが「見える部分の学力」の柔軟な伸びにつながるという論理です。

 

いつも私たちが書いていますように、英語の成績だとか高度な英語力というものは、英語の勉強ばかり頑張っても決して柔軟には伸びない、という主張にもつながっています。(もちろん、他教科に関しても全く同じ論理が成り立ちます。)

 

成績低迷で当英語塾を訪れるお子さんたちのうち、急激かつ順調に成績が伸び続ける子はみんな、余白の大きい子ばかりです。余白が小さい場合は、急激かつ順調に伸び続けるということは、残念ながらなかなか難しいと言わざるを得ません。つまり、「持っている余白の大きさに比例して伸び率が変わってくる。」という言い方が出来ると思います。

 

「余白」というのは、教えているとビンビン伝わってくるのですが、「余裕を持って学べているか」「学ぶことを楽しめているかどうか」ということにつながってくると思います。

 

例えば、ある二人の生徒に、同じ内容を勉強させて、同じ課題を出し、一時的な結果としては、ほぼ同じレベルでの完成度だとして、その二人が必ずしも同じ実力を有しているわけではありません。違いがある、ということです。その「違い」こそが、まさしく「余白の大きさ」の違いです。たとえ一時的、表面的には表れていなくても、わかる人にはわかる違いであり、いずれはっきりと表面化します。

 

 

ですから、わが子を将来柔軟に伸びる人にしたい場合は、やはり、小さい時が大事なんですね。ただ、こういうとすぐに、どこそこのお教室に通わせて、とか、あの習い事をさせて、とか、他力本願あるいは人工的(?)にやっちゃおうとする人がいるのですが、それは全くずれています。英語を習わせるなんて愚の骨頂です。中学受験のため、あるいは、小学校での授業についていくために小1から算数と国語塾、なんて不要ですよ。そんなことをするから伸びがストップするのです。

 

 

赤ん坊から小学生の間は、自然や本物とたっぷりと触れ合う環境を作ってあげること。身の回りにある様々な現実をしっかりと五感で感じること。親もともにそういう体験を楽しむこと。そういったことが最も根幹にあるべき子育ての基本だろうと思います。「大きな余白=見えない学力=栄養たっぷりの土壌」を作ってあげておく、ということです。

 

今回は大雑把な枠組みをお話ししました。引き続き、具体的な話をいろいろと挙げていきたいと思います。

 

 

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