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2022/05/29

英作文の学習ルート(3)自由英作文(その3)英検と慶應(経済)の間、当塾の英作文添削事例から

英作文の学習ルート(3)自由英作文(その3)英検準一と慶應(経)の間にある高い壁、当塾の自由英作文の添削事例から

 

はじめに

 

前回のブログ(英作文の学習ルート(3)自由英作文(その2)ー中学教科書に学ぶ英文ライティング)は如何だったでしょうか。正直申し上げて、あまり読んでくださった方は多くはないでしょう。しかしもし読んでいただいた方がいらっしゃいましたら、もしかしたら私と同じように、大学受験生の自由英作文を添削していたりしている人かもしれないですね。そしてそういう人の間にも、「そういうこと、なかなか高校生は分かってもらえないんだよね」と相槌を打ってくださる方もいるでしょうが、ちょっとピンとこないなあという感想をお持ちの方もいるだろうと思います。

 

さて今回は、前回のテーマを継承しながら、当塾の自由英作文添削事例を提示してみることにします。つまり、日本人高校生が英語を書こうとするとき、センテンスの並べ方において、どのように並べてしまうのかを確認をしていきます。そして、センテンスとセンテンスがスムーズにつながっておらず、飛躍や脱線があるとき、どのように直していったらよいのかを考えてみたいのです。

 なお今回の記事の副題として「英検準一級と慶應大学経済学部の間にある高い壁」とつけました。というのは、今回のテーマである「英文の適切な並べ方」ですが、英検準一級の自由英作文の採点基準ではそれが強く求められていないように見えるのに対し、慶應大学経済学部の入試自由英作文の採点基準ではそれが求められていると推定できるからです

大学入試難易度的に言い換えれば、早慶の文系上位学部と上智・MARCH(英検準一級等で入試に代えられる大学群)との間には、英作文・英語ライティングの採点基準が相当異なっており、いわば一つの乗り越えがたい壁のようなものがあるという思いがあるのです。

 では、さっそく自由英作文の設問と、生徒の英文例を取り扱っていくことにします。

 

ある自由英作文とその添削例

 (設問)次のテーマで100-150語程度のエッセーを英語で書きなさい。

 

 What is the most important skill a person should learn in order to lead a happy and meaningful life in the world today? 

 

Choose one skill and give reasons to support your choice. (2019年度、明治学院大学経済学部(経営A)

 

長谷川

 高校生の英作文例

I think thinking by ourselves is the most important skill.

 

These days, many people use the Internet or SNS. Of course, they are useful tools, but there is a lot of incorrect information. If we cannot think by ourselves, we will take false messages true ones and be deceived by information on the Internet. That’s why we have to think by ourselves and tell false ones from truth.

 

 Also, we use AI more frequently today than past.  Some people think many jobs that people do now will be taken by.  AI.  In order not to be dominated by AI and coexist with it, the ability of thinking by ourselves is needed for us.  (113 words)

 

 

英検(準一級)的採点と慶應的採点

 この生徒の英文にいったい何点あげられるでしょうか。さしずめ英検(と明治学院大学)の採点方式ならば、一部の文法・語法ミスを減点するだけで100点満点で95点前後の高得点を期待できるはずです。

 

他方、慶應大学(経済学部)の採点ならば、おそらくは採点に値しない不合格答案と評価されるでしょう。あるいはせいぜい30点くらいでしょうか。

 

 

端的に言って、

(1)不適切な論理展開をしており、まともな英文とは言えない。

(2)説得力が乏しい

(3)設問に答える意欲に欠けている

 

と指摘できます。 

 

まずは、英検的採点方式から見てみましょう。下の英文テキストを見てください。

赤の箇所は修正(変更または追加)を要する減点箇所です。

青の部分は、修正した方が良いが減点まではされないと思われる箇所です。

 

 

①I think thinking by ourselves is the most important skill.

 

②These days, many people use the Internet

 or SNS(=>social media).

 

③Of course, they are useful tools(=>media)

but there is a lot of incorrect information.

 

④If we cannot think by ourselves,

we will take false messages (+as) true ones

and be deceived by (+the false) information

 on the Internet.

 

⑤That’s why we have to think by ourselves

and tell false ones from truth (+true ones).

 

⑥Also, we use AI more frequently today

than past=>before).

 

⑦Some people think many jobs that

people do=>havenow

will be taken (+away) by AI. 

 

⑧In order not to be dominated by AI

and coexist with it,

the ability of thinking by ourselves

is needed for us

(=>We need the ability of thinking by ourselves).

 

 

 慶應的添削・採点

 

 他方(私の想定する)慶應大学基準であれば、

いくつかの致命的ミスを指摘せざるを得ません。

それは文法や語法の誤りではなく、

センテンスの展開やつながりに関わる問題です。

 

少々分かりにくいので、テキストは冒頭を①

として番号をつけ、

①②③、④⑤、⑥⑦⑧と分割して説明します。

 

 

①②③

 ① I think thinking by ourselves

(=>critical thinking skills; media(information) literacy)

is the most important skill.

 

②These days, many people use the Internet

or SNS(=> social media).

 

③Of course, they are useful tools(=>media), 

but there is a lot of incorrect information.

 

 

 「今日の世界において、有意義で幸福な人生をおくるために、最も習得すべき技術は何か」という設問に対して、①ではthinking by ourselves「自分で考える技術」が大事だと、主張を最初から提示しています。これは良い書き出しです。(ただし「自分で考える技術」は適切な言葉ではない。しかしこのことについては後でとりあげる)。

 

さて、短い意見文で主張を打ち出したら、すぐその後で、主張の理由を述べなくてはなりません。ところが、背景説明から始めてしまいました。本人としては、①(主張)に対し、[②③④]という一連のセンテンスの塊で理由を提示しているつもりなのでしょう。しかし英文には、数学の計算式のように①+[②③④]といった、[ ]はありません。ですから読者は、①→②→③→④と普通に読み進めます。

 

①を読んだ読み手は「自分で考える力」がどうして重要なのかなと?と思いながら、その答えを求めて②を読み進めているはずです。ところが、主題文の話題(=「自分で考える力」は大事だ)が消えていまい、いきなり話題がインターネットに変わっているのです。③も同様にインターネットです。読み手は自分が露頭に迷ったことを知り、唖然とします。要するに、①→②③において大きな「飛躍」があるわけです。もちろん、この英文に対する評価は著しく低くなるでしょう

 

 

センテンスとセンテンスに大きな飛躍が生じてしまうのは何故か。

 

一言でいえば、理由を提示するときに、<背景説明→理由(主張)>という順番でセンテンスを並べようと執着してしまうからです。もっと言えば、背景説明さえすれば、読み手は理由をなんとなく分かってくれるだろうと甘い考えを抱いているからです

 

また、端的な理由を抽出するのが苦手だからでもあります。(端的な理由を提示できさえすれば、センテンスとセンテンスは自然な流れとしてつなげることが出来たのですが。。。)

 

内容面についてはこれまでとして、英語表現の適切性をチェックしてみます。②のSNSはほとんど和製英語ですからSocial Mediaにすると良いです。③ではインターネッをtoolsと言い換えていますが、違和感があります。media にするのはどうでしょうか。(しかし、toolsでもたぶん減点まではされない)。

 

④⑤

If we cannot think by ourselves,

we will take false messages (+as) true ones

and be deceived by (+the false) information

on the Internet.

 

⑤That’s why we have to think by ourselves

and tell false ones from truth (+true ones).

 

 

ついで④⑤に行きます。どうやら②③の背景説明(ネット世界は嘘ばっかり)から、結論(「自分で考える力」があるとネット世界の嘘を見破ることが出来る)に到達したようです。これはダメな文章の展開です。最初に主張(自分で考える力は大事な技術だ)があるのですから、それをサポートする(=理由を述べる)必要があったのに、背景説明から新たに結論を導き出しているからです。簡単にまとめると次のようになります。

 

この英文の論理展開

  主張=>[背景説明=>結論]

 

求められている論理展開

 [主張=>その理由の説明=>その背景説明]

 

 

なぜこんなことになったのか。その大きな理由の一つは、書き手は漠然と結論にたどり着いただけで、その理由を自覚的に抽出できなかったからです。つまり、「自分で考える力があれば、嘘を見破ることが出来るからだ」と自覚的に提示できなかったからです。先取りすれば⑥⑦⑧にも同じ問題が見られます。ここでも、やはり理由を明示的に述べられません。本当であれば、「自分で考える力があれば、失業やリストラされないからだ」と書くべきでしたが、その一文を書けませんでした。

 

なお問題はこれだけではありません。④と⑤の2つのセンテンスがほとんど内容で重複している点です。受験生がやりがちなミスですが、気をつけましょう。大きく減点されないでしょうが、得点にはつながりません。

 

 文法・語法面については、英文に付け加えた赤字を見てください。

 

⑥⑦⑧

Also, we use AI more frequently today

than past=>before).

 

Some people think

many jobs that people do(=>havenow

will be taken (+away) by AI. 

 

⑧In order not to be dominated by AI

and coexist with it(削除する),

 

the ability of thinking by ourselves

is needed for us

(=>We need the ability of thinking by ourselves).

 

 

⑥はAlsoから出発しましたので、「自分で考える技術」が必要である2つめの理由をここで書くべきなのですが、前回と同様に背景説明に終始しています。これも相当マズイ配列です。当然のことながら、①の英文とのつながり見えず、飛躍しています。そして⑧まで読み進めると、どうやら「自分で考える力」があると、AI化が進んでも失業しなくて済むかのように書かれています。理由としてはやや曖昧な書き方です。

 

なお⑧の英文は、In order not to be dominated by AI と始まったのですから、主節の主語が人間ではないとマズイでしょう。したがって、“the ability of thinking by ourselves is needed for us” は能動態にして、“We need the ability of thinking by ourselves”とするのが良いでしょう。その他の英語表現のミスは、赤字で説明しておきましたので省略します。 

 

さて元の英文ですが、どうしたらもっと適切な英文になるでしょうか。ポイントとなるのは、次の事項です。

 

 

☆センテンスとセンテンスの飛躍をなくすこと。

☆主張のすぐ後に理由を明示的に書くこと。

☆背景事情は後から追加すること

 

 

修正案

 (主張)自分で考える力が大事だ

→(理由その1)自分で考える力があれば、嘘情報に騙されなくなるからだ

→(背景説明)ネット世界やSNSには嘘情報がはびこっている。

 

 →(理由その2)自分で考える力があれば、失業しなくなるからだ。

→(背景説明)AIの支配する時代では多くの人が失業してしまう

 

修正英文例

I think thinking by ourselves is the most important

skill in the world today. 

 

First, the ability enables you to see

through lies and fakes. In fact, there are a lot of

fake news and malicious websites on the Internet. 

 

 Second, if you can think by yourself,

you will not lose your job even when computers

and AI take many people’s jobs away.

 

Thinking by ourselves is the very best skill

every one of us should learn, indeed.

 

 

以上の修正案ですが、英文としては、オリジナルよりもかなり読みやすくなっています。しかし残念ながら、まだまだ問題点があるのです。

 

 

まず自分で考える力」”thinking by ourselves”という概念が、抽象的無内容な言葉だからです。小学生の躾にはよく使われる言葉なのかもしれませんが、どんな能力なのか具体的なイメージを思い浮かべるのはほとんど不可能です。ましてやフェイクニュースやら詐欺商法を撃退したり、失業を免れる力があるのだと言われても、困惑してしまいますね。

 

 

要するに、もう少し具体的な意味を持ち得る、有意義な抽象概念を提起すべきだったのです。たとえば、ネット情報に適切に対処できる能力であれば、critical thinking skills (批判的思考能力)やmedia literacy;information literacy(メディア・リテラシー、情報リテラシー)が良さそうです。こういう抽象概念であれば、これに対応する具体例をたくさん挙げることも出来たはずでした。(ただし、これでは失業に対処できる能力ではありません)

 

 

 問題はさらにもう一つあります。最初の設問をよく読んで下さい。「今日の世界で幸福で有意義な人生を送るために必要な技能」を書かなくてはいけないのです。元の英文だろうと修正案だろうと、幸福で有意義な人生のために必要な能力かと言えば、ちょっとばかりズレていますね。少なくともこの英文には、人生について言及は全くありません。つまり、設問にしっかりと答える文章になっていないのです。これは致命的なミスだといえます。

 

 

主な問題点を再度述べておけば、次のようになります。
設問に適切に応えていない。(①と全体)

センテンスとセンテンスの間の飛躍。(①→②、①→⑥)

文頭の主張をサポートする構成になっていない。(全体)

主張の理由がやや曖昧で、主張の直後にない。(⑤、⑧)

センテンスとセンテンスが重複している(④と⑤)

 

 

今回は以上です。次回は自由英作文を書く際の高校生の抱える問題点についての考察を書く予定です。

 

 

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2022/05/23

英作文の学習ルート(3)自由英作文(その2)ー中学教科書に学ぶ英文ライティングー

英検準一級で求められるライティング  

 

英検準一級のライティング部門は自由英作文ですが、難しい技巧は必要ありません。旧検定教科書(=2020年以前の教科書。現行教科書よりかなり易しい)の中学2年生レベルをしっかりと書けるならば、90%以上の高得点をとれるはずです。

 

なぜそんなことが可能なのか。実は英検の自由英作文(English Composition)では、いつも同じ形式の英文を書くことだけが求められるからです。まずはある命題が提示されますから、それに対して YesかNoかの立場をはっきり提示し、ついでその理由を挙げる、そしてもう少し具体的に肉付けする。そういう英文さえ書ければ良いのです。

 

たとえば、2021年度第3回の英検準一級の試験では、

 

“Should people use goods that are made from animals?”

(人間は動物から作られた製品を使うのを止めるべきか)

 

 

という命題が提示されました。これに対して受検者がYesの立場を取るならば、まずその旨を明示します。ついで設問のヒントにある“Animal rights””endangered species”([動物の権利]「絶滅危惧種」)という観点を用いて、Yesの理由を説明し、まとめます。あるいはNoの立場を取るならば、同様にまずは自分の立場を最初に明らかにし、ついで“Product quality”, “Tradition“ (「製品の質」「伝統」)といったポイントを利用して自分の意見の正当性を論じ、まとめることになります。

 

 

以上のような意見文の形式を学ぶのに、中学2年生用の旧検定教科書『New Horizon2』(2017年)は非常に有益です。写真は、この教科書の終わりの方にある”Let’s Read 3: Cooking with the Sun”の119頁です。これを詳しく解説していきましょう。

 IMG_8761 IMG_8762

中2の教科書『New Horizon2』(2017年)の解説

 

写真の英文を取り出し、最初から番号を打つと以下のようになります。

 

A solar cooker is helpful to people in developing countries.

(太陽光調理器は開発途上国の人々にとって役に立つものである)

 

Why? (なぜか)。

 

First, making a solar cooker does not cost much. ④ You can make one with only cardboard and aluminum foil.

 

Second, people in developing countries can get cleaner water by boiling it with a solar cooker. Drinking water from rivers and lakes is one of the biggest causes of disease.

 

Third, a solar cooker is safe because it does not make smoke. More than one third of the people in the world burn firewood indoors to cook. A lot of children die from its smoke.

 

 

①②でまず問題提起し(太陽光調理器は開発途上国でなぜ役立つのか)、太陽光調理器の利点として3点を挙げる形式で文を展開しています。それぞれFirst (③④)、Second(⑤⑥)、Third(⑦⑧⑨)という単語を、それぞれ文頭に置いています。

 

まずは③④のパラグラフから見てみましょう。文頭でFirst(一番目に)と記してありますが、これは第一の理由を述べることを予告します。そしてその後すぐにmaking a solar cooker does not cost much(制作費用が高くない)理由を提示しています。このとき重要なのは、Firstと書いた後で④→③の順番で並べてはいけないということです。Why(何故か?)という問いに対してFirstと書いたからには、何が何でも端的に一番目の理由を書くのが英語の約束事だからです

 

ついで⑤⑥のパラグラフを見てみます。⑤ではSecond(二番目に)と文を始め、“get cleaner water”(よりきれいな水を得る事が出来る)と、「なぜ?」の理由が端的に示されます。そして、その後の”by boiling it with a solar cooker”を読むと、「あ、そうか、太陽光調理器で生水を煮沸消毒できるからなんだね」と理解できます。さらに⑥では、開発途上国の飲料水事情にはかなり多くの悩みがあること、つまり上水道が整備されておらず、水質汚染のために病気になることが多いらしいこと、したがって「きれいな水」を入手する手段が痛切に求められているのだという背景が説明されています。

 

日本人高校生に立ち塞がる英語ライティングの壁

 

以下、同じように説明を続ける事が出来るわけです。ところで私の説明について、どのような感想を持ちますでしょうか。おそらく多くの方は、英文はとてもシンプルなのに、日本語の説明がぐちゃぐちゃして、ちょっと読むのが面倒くさいな~と思われたのではないでしょうか(笑)。しかしそれには実は理由があります。こういうシンプルな英文ではありますが、大半の日本人高校生にとって、このような英文を書くことは非常に困難だからです。難しいのは一つひとつ英語の表現を文法的・語法的に正確にすることより、英文を正しい順番で並べることなのです。もう少し説明しましょう。

 

 

 

ここで日本人の高校生に、「太陽熱調理器の有用性の理由」を説明する英文を書いてくださいという課題を出したとします。私たちの経験から多くの高校生は、以下のように発想します。

 

開発途上国というのは、日本とは異なって上水道が整備されていないらしい。井戸水とか場合によっては雨水や川の水を使うらしい。だから水が汚いので、赤ちゃんとかが毎年沢山死んだり、病気になる人が多いらしい。しかし、そういった水も、煮沸消毒すればきれいな飲水になるらしい。だから、太陽光調理器があれば、電気やガスがない場所であっても、汚い川の水をきれいに出来るので、とても便利なのだ。

 

大筋として正しい議論ですね。上記の議論の流れは次のようになります。

 

開発途上国の水事情(A)→水の煮沸消毒の必要性(B)→太陽光調理器の利点(C)

 

多くの日本人高校生は、(A)→(B)→(C)という思考の順番をそのまま英文に反映させようとします。(しかし、これでは絶対に論理的で筋の通った文にはなりません。

 

 

 

試しに上記の思考の順番で英文を書いてみましょう。(多くの高校生がたどるよくない英文例です。)

 

A solar cooker is helpful to people in developing countries.

(太陽光調理器は開発途上国の人々にとって役に立つものである)

Why? (なぜか)。

 

First, I hear that many  people in developing countries have to drink water from lakes and rivers. It  is so  dirty that many babies die and many people get sick every year . That is why boiling water is very important.

(高校生が書きがちな英文例。)

 

 

この英文では、「開発途上国で太陽光調理器が役立つのは何故か?」の理由を述べる時に、「最初の理由は」という意味で First と始めています。ここまではOKです。問題は、その直後に(A)である「開発途上国の水事情が良くない」と書いてしまっています。これでは、文と文との間に決定的な脱線と飛躍が起きてしまいます。つまり、「太陽光調理器の利点をこれから語りますよ、第一の理由は○○○」と語り出したにもかかわらず、太陽光調理器の利点ではなくて開発途上国の諸事情=背景を語ってしまうことになるからです。

 

 

 First(第一に)とか、because (○○○だから)と書き始めたら、何が何でもまずは理由を書かなければらないのです。この場合では、太陽光調理器の利点を語らなければならないのです。

 

 

『New Horiozn2』に戻れば、Firstと書き始めたら④→③と書いてはいけない。つまり、「(④)太陽光調理器はダンボール紙とアルミホイルで作れます。(③)だから費用があまりかかりません」という順番で英文をかいてはいけないのです。同様に、⑥→⑤と書いてもいけない。つまり、「(⑥)途上国の病気の原因は、川や湖の水を飲むことから生じている。(⑤)だから、そういう生水を太陽光調理器を用いて煮沸消毒し、きれいな水を飲めるようにすることは、とても大事なことなのだ」としてもいけません。

 

 

 

具体的にはどういう風に書けばよいのか。たとえ、(途上国の水事情)(A)→(煮沸消毒の必要性)(B)→(電気ガスなしに加熱できる太陽光調理器)(C)という順番で思考したとしても、それを英文で書いて表現するときには、(A)→(B)→(C)を、(C)→(B)→(A)と並び替えなければなりません。それは(C)こそが理由の部分であり、また太陽光調理器の話題を継承しているからです。

 

 

とはいっても、多くの高校生は、日本語に典型的な議論の進め方(A→B→C)から自由になるのはかなり困難です。ほとんどの場合、どうしても背景事情から説明したくなり、結果的に文章が飛躍してしまうのです。そして、becauseのような言葉の意味だとか、文と文との間に自然な流れといったことを意識化するのが苦手です。以上のような問題点を克服するためにも、是非とも中学2年生の英語の教科書をよく味わって、読み直してもらいたいのです。なお、このテーマ(日本語的な議論のススメ方から自由になる)については、添削事例を通じてさらに紹介・説明していく予定があります。

 

 

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2022/05/15

高校一年で中一英語から学び直す意義

当塾(シリウス英語個別指導塾)では、中学生だろうと高校生だろうと、英文法を中一からやり直すことにしています。本当に This is a pen. から始めます。
では、中一英語から学び直すのにはどんな意味があるのでしょうか。もしかすると中1〜2の英語ぐらいならば、さすがに分かっているはずだから、そこまでやる必要はないのではないかと思われる方もいるかもしれませんね。そこで、そういった方々の疑問に答えるためにも、高校生が中一英文法からやり直す意義について説明しましょう。

 

 

 
①今までの勉強の穴を見つけ出す。

 

まずはごく当たり前の消極的意義から説明いたしましょう。それは、今までやってきた勉強の抜けを発見することにあります。例えばThisという単語ですが、「これ」のほかに「この」という意味があります。基本的なことですが、知らない生徒さんが時々います。あるいは英検二級合格程度の生徒さんですと疑問詞(what, who, whenなど)を用いた疑問文の作り方(中一レベル) を知らない生徒さんが非常に多いですね。我々が面談で、つまり当塾に入塾する以前によく質問するのは、「誰が窓を壊しましたか」を英訳できるかどうかなのですが、意外にも9割方が答えられません。(答えはWho broke the window?です。Who did break the window?とする人がとても多いです。)

 
②文法用語(品詞、主語・動詞など)を理解し、英文の構造を理論的に学ぶ機会にすること

 

 
日本人が英語を学ぶときは、文法をしっかりと学ばなくてはなりません。文法を学ぶからこそ、様々な英文を理解したり、英語を話したりできるようになるのです。文法学習は語学の根幹にあると言えます。
しかし、現在の日本の中学生は、学校の授業では英文法についてほとんど説明されない場合が多いようです。これは間違った教育政策に根本原因があります。しかし、実を言うと、たとえ先生に説明されてもよく理解できないのが普通です。というのは、英語に馴染みのない中学生にとって、新しい英単語や英文を目の前にして、文法を理解する余裕がほとんどないからです。また、仮にある程度理解したとしても、すぐに忘れてしまいますね。それにも関わらず学校の先生は、何度も繰り返し、同じことを説明してはくれません。
しかし高校生になると、ちょっと事情が異なってきます。頭脳も一段と成熟してきますし、また中学校である程度馴染んだ英文を取り扱いますから、もう少し余裕を持って英語に向かい合うことが出来るようになっています。つまり、英文法を学ぶ準備が整っているという訳です。その上で、先生に何度も何度も同じことを繰り返し説明されたら、あるいは同じ質問を繰り返し浴びれば、さすがによく理解できるようになるというものです。(もちろん中学生でもしっかりと理解できる生徒さんはたくさんいますよ、念のため)。
我々シリウス英語個別指導塾では、以下の事項を重視しています。

 
1)品詞とその役割を覚えること。つまり、動詞(自動詞、他動詞、状態動詞、動作動詞)、名詞、形容詞、副詞、助動詞、接続詞といった品詞とその役割を理解することです。
2)主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)と五文型の概念を理解し覚えること。

 

3)修飾語と被修飾語主語と動詞他動詞と目的語前置詞と前置詞の目的語の関係について理解を深めること。
例えば、補語(C)と目的語(O)の区別、形容詞と副詞の区別は難しいでよね。しかし当塾では、我々プロ講師が毎回の授業で何度も繰り返し生徒さんに質問するので、ほとんど全ての生徒さんは完全に理解することができるようになります。
今までの塾・予備校の文法教育では、中1レベルの副詞と形容詞の区別がよく分からないうちに、副詞的用法と形容詞的用法を区別せよといった具合に、ちょっと無理な指導をしてきたように思います。

 

我々は中1英語に立ち戻って名詞・副詞・形容詞の概念から始め、さらには名詞句・副詞区・形容詞句、名詞節・副詞節・形容詞節へと、概念をしっかりと定着させるようにしています。

 

 

 

③自分で英文を作れる、つまり英語で書いたり(ライティング)、話したり(スピーキング)できるように、中1英語から学び直す。

 

中学英語を高校生がやり直す最大の理由は、英語を「書く」(ライティング)、「話す」(スピーキング)ことが出来ることにあります。

 

中学英語は、一見するといかにも簡単に見えるかもしれません。確かにその意味を理解することはそれほど難しくはないでしょう。しかし、中1英語のセンテンスを即座に口から発する事はちょっと難しいはずです。読んで分かっても、同じことを書けるとは限りません。聴いて分かっても、同じことを話すことはできないという訳です。消極的に理解するのと、積極的に活用して言葉を発するのとでは、難易度は相当異なります。ご理解いただけるでしょうか?(試しにお子さんの中1あるいは中2の英語教科書の和訳を見て即座に英訳してみてください。その難しさが実感できるでしょう。)

 

 

中学時代ならば、英文を読んで意味が分かる、という消極的理解でもOKでしょう。しかし、これを高校段階でやり直すときには、教科書のような英文を自分がアウトプットできるようになろう、と思いながら学ぶのです。当塾の生徒さんのほとんどが英語のライティングやスピーキングで高得点を取れるようになるのは、中学英語の主体的積極的基礎訓練をしっかりと行っているからなのです。

 

 

なお、この段階の学習は、別のブログで取り上げた英作文学習ルート①にあたるものです。

 

 

学習期間の目安(補足)

 

 

中学英語を高校からやり直すと、我々の経験から言うと、早い人で半年、時間がかかる人で一年半から二年間くらいの年数を要します。生徒さんの状況に応じて履修期間が相当異なるように見えますが、それをやむを得ないこととしてご理解ください。人によって、中学英語の理解のレベルにかなり差があるからです。また、英文法の理解力も個人差が大きいのです。傾向としては、数学が得意な生徒さんは比較的文法は得意で、早く仕上げられるようです。

 

またどの程度中学英語の訓練するかは、各人の将来の志望や受験校によっても異なってきます。「書く力」「話す力」よりも「読む力」を重視したいというならば、中学英語を早めに切り上げるのも、一つの考え方です。私見では、現国が得意な私立文系志望者、例えば早稲田の教育学部や商学部志望などの場合は、文法学習は軽めにして、「読み重視」戦略も有効な方法論でしょう。

 

 

ここからは宣伝ですが、英語の確固たる基礎力を築きたい、しっかりと英作文ができるようになりたい英語が話せるようになりたい、と本気で願っている人には当塾こそがその目標を実現できる最適の塾であると自負しています。指導歴20年を超えるプロ講師が誠実かつ真剣にサポートいたします。

 

 

 

 

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2022/05/11

2020年からの新学習指導要領(英語)に公立中学生はどう立ち向かうべきか。

英語の教育改悪

 

既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、2020年からは日本の義務教育の内容が大きく変わりました。特に英語の新学習指導要領の変容ぶり(教育改悪)は、凄まじいものがあります。そのことは新しい検定教科書を見れば一目瞭然です。

 

かいつまんで説明しますと、小学校で英語教育が導入されたのだから、小学校卒業段階では英語の基礎の基礎(英単語、英文法、英語の読み方など)はすでに身についているという前提になっています。結果、中学1年生の4月の段階で、いきなりbe動詞、一般動詞に加えて助動詞canまでもが教科書に登場してきます。(写真は東京書籍『NEW  HORIZEN1』の最初の方にあるUnit1です)。

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また、今までなら中2で学習していた『不定詞』も中1に降りてきています。最終的には、従来は高校で学ぶはずの内容(toなし不定詞、仮定法)も、中3で取り扱うことになりました。

 

上記の新カリキュムラが一体どれほど恐ろしい事を意味しているのか、ピンとこない方も多いかもしれませんが、実に大変な事態が到来しています。私たちの経験上、公立中学在校生の98%くらいは完全に取りこぼされてしまうでしょう。

 

 

 

 

公立中学在籍者は一体どう立ち向かえばよいのか

 

Youtubeをいくつか見ておりますと、総じて、「頑張って大いに復習に励みましょう」という意見の人たちが多数派のようです。しかし、これはあまりに無責任なアドバイスです。具体的な方法論が何も示されていないのですから。

 

我々シリウス英語個別指導塾としては、公立中学生の生徒さんは新指導要領にまともに立ち向かうのは諦めるしかないと考えています。 

 

とはいえ、一部の生徒さんは例外です。今現在で公立中学1年生、あるいは今後公立中学に入学する予定で、国立大付属高校(筑大駒場、学大付属など)や早稲田・慶應高校に合格することを決めている生徒さんならば、超難関高校対策をする進学塾等を活用しながら、新教科書についていけるように努めてみるべきでしょう。もちろん当塾も相談にのります。(☆注意☆ 中学1年生の段階で、NHK基礎英語1を活用することは薦めません。21世紀のNHK基礎英語は、昔の基礎英語とは異なり、あまりにも難しすぎるからです。ただし、ある程度基礎を身に付けた段階で挑戦してみるのは、悪くない考えです)。

 

 

さあ、ここからが本論です。成績にはある程度自信があるが、上記のような超難関高校を目指すぞというほどではない中学生、神奈川県で言えば、県立厚木高校、県立横浜緑が丘高校、県立相模原高校などの県立進学高を目標にする、普通に優秀な生徒さんの場合です。これらの皆さんは、新指導要領にあまり執着する必要はありません。もちろん学校の成績は大事ですから、教科書に適当に馴染み、単語を覚え、比較的簡単な文法問題集(例えば、佐藤誠司『最高水準問題集中1』)を出来るようにすれば、それで良いです。文法理解が多少曖昧だと感じても、あまり悲観したり深追いしたりする必要はありません。従来のカリキュラムのレベルを目指しながら、淡々と勉強を続けてください。県立進学高の受験ならば、それで十分通用するはずです。

 

大学受験はどうするかーー高校で中1英語から始めても間に合う

 

え、それでは大学受験はどうするの?と思われるかも知れません。大丈夫です。高校一年生から真面目に3年間正しい方法で勉強を継続しさえすれば、絶対に間に合います

 

そもそも高校生になると、中学時とは異なり、しっかりと自覚を持って勉強出来るようになります。文法を含め、理論的に学ぶ姿勢も身についてきます。ですから、中学生の時よりもはるかに高い集中力で学ぶことができるようになっています。そのような状態で英文法を理論的に学び理屈をしっかりと理解していけば、グングンと力はついてきます。非常に効率的です。当塾でも、高校生で中1英語からやり直し、京都大学、早稲田大学、明治大学、立教大学、日本大学等々に合格しています。

 

今回はこれまでです。この続きとしては、高校から中1英語を勉強し直すメリットについてもう少し詳しく説明いたします。

 

 

 

 

 

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シリウス英語個別指導塾 by 東大式個別ゼミ
中高一貫校専門 大学受験英語塾 英検
相模大野・中央林間・横浜・藤沢・町田
住所:神奈川県相模原市南区東林間4丁目13-3
TEL:042-749-2404
http://www.todaishiki-english.com/
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2022/05/07

学習アドバイザーが本物か偽物かを見破る方法

一連のブログを書いていると、英語の学習アドバイザーが本物か否かを簡単に見分ける方法があることを一つ思いつきました。今回はその見分け方を紹介します。

 

昨今はウェブだけでなく、たくさんのYoutuberが学習方法や受験戦略についてのアドバイスをしています。しかし、彼らのアドバイスがどれだけ信頼に値するのか、ちょっと疑ってみる必要はあります。その人が個人的にうまく成功したからといって、他の人に有効か否かは分からないではないですか。ですから、出し惜しみせずにズバリと方法論を書いておきます。それは、、、

 

 

「自由英作文は簡単です。大矢の『自由英作文ハイパートレーニング』を仕上げてみましょう」とサラリと言ってのける人は信用するな!

 

 
確かに大矢先生の『自由英作文ハイパートレーニング』は大変な名著です。それは間違いない。しかし大矢『自由英作文』は、我々の経験からいってかなり人を選ぶ参考書で、かなり出来る受験生でないと使いこなせないのです。そういう難しい本を、受験生に誰彼となく勧めてしまう英語アドバイザーさんは、現実の受験生に自由英作文を指導した経験がほとんど無いか、あるいは、単にハッタリ屋さんだと見て間違いありません

 

 

ここで自由英作文学習をめぐる実情を書いておきます。そもそも大半の受験生にとって、英語のセンテンスを一つ書くのでさえ至難の業です。東大志望であっても、一つのセンテンスですら書けなかったりします。その中に少数ですが、英文をワン・センテンスづつなら書けるという受験生がいて、その人達が自由英作文にチャレンジすることになります。(なお、シリウス英語個別指導塾の場合は、生徒達のほとんど全員が英語のセンテンスを書くことが出来ます)。

 

しかし、だからといって、大矢の参考書を理解できるかというと、話は別です。英検準一級のライティングで90%以上取ったとか、TOEICで800点以上を取れましたという高校生であっても、大矢本は無理だったりします。そのくらい難しいのです。その難しさは、実際に生徒に教えた経験がなければ絶対に分かりません。

 

 

なぜ難しいのかというと、いくら大矢の説明を読んだところで、いざ英文を書くとなると、日本語の思考枠組みと英語の文章の論理が入り乱れてしまい、英文を筋道正しく、論理的に並べられなくなってしまうからなのです。自由英作文では、書く内容は自分で決めなくてはなりませんから、どうしても日本語で考えざるを得ない、しかし英語で書かなくてはならない、だから出来た英文は日本語と英語がケンカしてしまい、非常にまずい構成になってしまいがちなのです。大半の高校生の場合、大矢本よりもずっとシンプルな形式でないと、自由英作文は無理なのではないかと当塾では考えているのです。

 

 

 

という訳ですので、自由英作文一般について安易に語り、大矢『自由英作文』を誰彼構わず推薦する人は、あまり信用しないほうが良い、そう繰り返し申し上げておきます。

 

 

 

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