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塾ブログ 林間教育通信

2017/12/13

英検準一級の英作文の参考書の紹介

英検準一級は、2016年度から英作文の難易度が一段と難しくなった。2015年までの旧い問題を解いているのでは、英作文の練習としても不適切になってしまったのである。そんななか、ジャパンタイムズとロゴポートが2017年9月に新しい英検準一級向けの英作文の参考書を出版したのである。

 

ジャパンタイムズ& ロゴポート『最短合格! 英検準一級英作文問題完全制覇』(2017年)

 

本書は最新の英検準一級の英作文問題に対応している。加えてamazonでの評価も高く、無料の音声ダウンロードも完備している。なので、英検準一級受験者には最高の参考書であると言いたいところである。だが、実際に購入してみたところ、ちょっと残念な参考書でもあることも判明してしまった。つまり、これから英検準一級にチャレンジし、なんとか合格したいと考える受検生にとっては、到底使いこなせそうもない参考書なのである。

 

いや、決して全然使えない本だという訳ではない。大学受験の過程で「自由英作文」の勉強はすっかりマスターし、慶應(経済)、早稲田(政経)、一橋大学の英作文ならば、高得点を取れる自信があるという人ならば、興味深く読めるだろう。とくに、英検準一級の英作文指導をする英語講師にとっては、講義のための貴重な参考資料集であることは間違いない。しかしそうでない人、たとえば英検2級は合格したので、今度は準一級に挑戦しようという英語学習者などにとっては、ちょっとおススメできないだけなのだ。

 

このブログでは、本書の紹介とその活用法について、見ていきましょう。まずは、本書の内容を見てみよう。

 

Chapter1「英作文問題を攻略する」では、どのようなトピックが取り扱われるのか、構成はどのようにしたらよいのかについて、簡単にまとめられている。平均して、一つのトピックについて見開きの2ページほどである。とくに大事なのは、全体の構成から、メモ取り、導入、本論、結論のまとめ方を論じた20~31頁のほぼ10頁にわたる部分である。

 

Chapter 2「英作文基本フレーズ58」では、意見・判断、一般論、原因と結果、仮定・条件、逆説・対比、増減・変化、比較について、その述べ方や表し方を網羅している。

 

いずれも、あっさりと簡潔に並べられている。だから、自由英作文の書き方はだいたい心得ているという人にとっては、要領よく再確認できる頁となっている。一方、はじめて本格的な自由英作文を書こうとい人には、取り付く島もない提示の仕方である。間違いやすいポイントの説明もないし、頭に残りにくいであろう。

 

Chapter3「分野別コンテンツブロック231」は、本書の目玉となる部分である。教育・育児、社会・経済、生活・健康、ビジネス・テクノロジーという英検の再頻出テーマに関し、40ー50語のパラグラフが231も紹介されている。

 

オンライン教育の是非について肯定側見解としては、「費用の安さ」「授業時間の柔軟性」「多様性」等に着目するものを、それぞれ40語あまりの英文(とその和訳)が掲載されている。他方、オンライン教育よりも従来式授業の方が有効であるという見解として、「講義以外の刺激」「教師の存在感」「共同体意識」等に着目して、これもまた40語あまりの英文(とその和訳)が掲載されている。

 

一つだけ、英文をそのまま掲載すると、次のような文である。

 

A benefit of online courses is that they are usually much cheaper than traditional classes.  This means that higher numbers of students can register for a wide variety of courses, and this leads to a more educated and skilled society overall.

 

こういう英文が、オンライン教育論だけで8つも収められているのだ。

 

同様に、「電気自動車は普及するか」「レストラン等における高齢者優遇の是非」「実家を出たらルームメイトと暮らすべきか」といった、英検準一級で出題されそうな題目について、それぞれ英文が網羅されているのである。本書の圧巻と言って良いだろう。

 

Chapter 4 「実践問題24」 24問のオリジナル問題と、それに対するYesとNoの模範解答がそれぞれ提示されている。つまり、全部で48の模範解答が収録されている。この模範解答集はちょっと貴重ではある。なにしろ、まだ新企画の英検準一級は2016年度に始まったばかりだからである。

 

さて、この参考書をどう使ったらよいだろうか。すでに述べたように、自由英作文をどうやって書いたら良いかわからず戸惑っている人、あるいは、適切な英語表現が出てこないで苦労している人、あるいは、一つひとつの英文をどのような順番で並べたら良いのか分からず困っている人を読者対象にした参考書ではないのだ。もちろん、英語中級者が間違いやすい箇所についての丁寧な指導とか、独学者のための自己採点のアドバイスはなどは全くない。

 

では、どんな活用法があるのか。まずは大学受験向きの自由英作文の参考書を用いて勉強しておくこと。(ありきたりになるが、Z会、大矢復、宮崎尊などによる参考書は、多少古くはなっているが今なおオススメである)。そのうえでChapter1をさらっと通読してみましょう。ここでは、英検準一級の英作文で満点ないしはそれに近い高得点を取るには、こういうエッセイを書いておけば十分なのだと確認できる。場合によっては、2015年までの旧試験との違いも、確認しておくこと。

 

ついでChapter2「英作文の基本フレーズ」だが、他の参考書で学習済みだろうから、読み飛ばしても構わない。

 

さて重要なのはChapter3である。このChapterには、256もの模範例文のパラグラフが有るわけだが、全部読み通そうなどとは決して思わないこと。この本は、あくまでも資料集として使いこなせばよいのである。具体的には、英検頻出のテーマだが、ちょっと馴染みがないなと思われるテーマについて、指導者のアドバイスの下でピックアップしてよく読みこんでおくことだ。この際、音読したりリスニングしたりして馴染んでおくのも良い考えだ。いずれにしても、自分もこんな風に英文を組み立てていこう、書いていこうという積極的な意識で英語をインプットすることである。(ただし、暗記暗唱までする必要はない)。

 

最後にChapter4のオリジナル問題が来る。この問題も、やはり不得手なトピックを中心に実際に英文を書いてみたい。全問解いてみるには及ばない。英作文の指導者がいて採点や添削をしてもらえる環境にあるならば、どんどん書いてみるようなアプローチで良いだろう。

 

以上。

 

2017年12月13日
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