英語学習には辞書は欠かせません。そこで当塾の中高生を念頭に置きながら、どんな辞書をいつ頃買えばよいのか説明します。
辞書は使い出すのは中2後半~中3くらい
まずは紙の英和辞典を購入するのが良いでしょう。
しかし慌てて買う必要はありません。そもそも習い始めは辞書をあまり使いませんし、使う機会もほとんどないからです。当塾でもこの段階では、辞書調べを要求したりはせず、単語の意味はすべて生徒に教えています。
本格的に英和辞典を使うようになるのは、早い生徒で中2の後半、普通は中3以降です。もちろん英語講師による指導が有る方が望ましいですね。
高校初級用の紙の英和辞典を選ぶ
さて辞書を購入するにあたって大事なことは、決して難しすぎる英和辞典を選ばないことです。
英語の初(中)級者にとって使いやすいのは、高校初級用の紙の英和辞典です。
具体的に列挙してみれば、
当塾が特に推奨し、授業で頻繁に用いているのは、『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』です。2019年の最新版(第四版)では以前の版と比べて厚さが薄く、重量も軽くなりました。
ただし最新版を無理に買う必要はありません。古い版をお安く購入するのも賢明な方法です。シリウス英語個別指導塾では、100-400円等の旧版を古本屋で見つけると購入しておき、生徒に安い価格で譲っています。
ところで中高の英語の先生方はしばしば『ジーニアス英和辞典』を勧めます。しかし『ジーニアス英和辞典』は高校上級以上向けのかなり難しい辞典で、大多数の中高生にはお勧め出来ません。字が小さく紙面が見にくいので、お目当ての語義に到達する前に、生徒さんが挫折してしまうからです。
紙の辞書の場合は、「大(上級者向きの辞書)は小(初中級者向きの辞書)を兼ねない」と覚えておいてください。
それでも電子辞書が欲しい人は?
いや、紙の辞典では重いので持ち運びにはとても不便だ、どうしても電子辞書を選ぶ必要があるのだという人もいるかもしれません。
分かりました。それならば私がお勧めするのは、
インストールしてください。
なお物書堂は一番使いやすいと評判のアプリ会社ですが、毎年春には割引きセールスをしているようです。しかし通常価格でも1960円(2021/05/10現在)とあまり高くはありません。
なお、アプリではなく電子辞書が良いという方には、別の回に改めて説明いたします。
ここからは、英語初心者・初級者が紙の辞典をどのように用いるについて説明します。やや専門的な事柄を扱いますので、英語教育にそれほどご関心がない方はお読みになる必要はありません。
未知の単語が出たら何でも辞書を引きまくるべきでしょうか。
実は、中高生とりわけ中学生がそんなに頻繁に英和辞典を使う必要はありません。昔の英語の先生は、『辞書を引きなさい』『教科書の単語調べくらいしっかりやってきなさい』と口うるさく生徒にお説教したものですが、全くの出鱈目です。
かつての運動系クラブで「ウサギ跳び」を強制したり「水」を飲ませなかったりしたのと同じように、とても有害な指導方法だと言えます。英語の初心者・初級者が単語の意味調べをしても英語力はほとんど伸びません。むしろ単語の意味調べに時間を費やすと、学習者がくたびれてしまい、肝心の英語学習にかけるべき時間が削がれてしまいます。
こんなことを書いている私も、単語の意味調べの辛さのために、語学学習を挫折したり頓挫してしまった過去があります。自分がされて嫌だった意地悪(単語調べ、ウサギ跳び)を、若い世代に押し付けるようなマネはしたくないものです。
では辞書はどのように使うべきか。原則的には、指導者の先生のアドバイスに基づきながら、重要単語に絞って英和辞典を読んでいくことが望ましい。
つまり、英文法等の参考書として利用してもらいたいのです。 例えば、『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』(第四版)で to を調べてみると、次のような解説が載っています。授業で前置詞が取り上げられたら、今度は自分でtoを引き、そのイメージを復習しましょう。また、forとの意味の違いを確認したりしましょう。
あるいは五文型や分詞を習ったら、辞書でwantを引いてみましょう。とても良い復習になるはずです。
高校上級や大学生・社会人になっても役に立つ
高校初級用の辞書は単語数は5万語程度です。したがって、ちょっと難しい英文を読もうとすると少々物足りなくなってくるでしょう。しかし、実はいつまでも役に立つのです。英語上級者にとっては、ライティングの時の参考書として、あるいは英単語帳として、手元に置いておきたい参考書になるはずです。
これで高校初級用の紙の辞書についての解説は終わりです。次回は、電子辞書やiPhone等のアプリの辞書の選び方について書きます。