以前、このような記事を書きました。
中高一貫校上位男子校諸君、勉強は競争ではない ←クリック
上の記事でも書きましたが、せっかく御三家あるいはそれに準ずるような上位中高一貫校に入学できても、入学後に成績が伸び悩んでしまうお子さんが少なからず存在します。結果的に中学受験時が学力のピークだったなんてことはよくあることです。ちょっと残念ですね。そうならないためには何が必要かというと、やはり「知的好奇心」。これがなければどうにもならない。20年以上にわたって様々なお子さんやご家庭を見てきて、これは確実に言える事実です。
「知的好奇心」があれば、身の回りの様々な事象に対して、自然に興味を持ちます。「これはなんだろう?どうしてこうなるのだろう?」といった疑問が次から次へと沸き起こり、その謎を解明したくなる。だから、知的好奇心が育まれたお子さんというのは、新しいことを知るのが大好きで、楽しんで勉強をすることができます。また、多少嫌な教科があったとしても、自分の学びたいことのためには嫌な科目も勉強しなければならない、と自発的に思えるので、親御さんが必死で「勉強しなさい」とお尻をたたく必要もないのです。
ではどうしたらその「知的好奇心」を育み、将来柔軟に伸びる子に育てることができるのでしょうか?
ここで、まさに王道ともいうべき素晴らしい子育てを自然体で実践されているご家族の事例をご紹介します。未就学児をお持ちの親御様などでこういったことをできていない、という場合は是非参考になさるとよいと思います。
現在当塾で英語を勉強してくださっている中学2年生のO君ご一家です。このご一家はご家族全員が釣りが大好きで、週末ともなると海へ出かけ、釣りを楽しんでいるようです。
以下、O君が釣りをしている様子の写真を送っていただきましたので、まずはご覧ください。
この魚は鯉でしょうか?ボラにも似てるな、と思いながらO君に聞いてみると、やはりこれは鯉のようです。
あれ?鯉とボラってどう違うんだっけ?どこで区別するんだろう?鯉は淡水魚でボラは海水魚だっけ?じゃあ捕れる場所で判断するのかな?またはもっと形状的に明確な違いがあるのかな?etc…すでにここで知りたいことがどんどんあふれてきます。
これはやっぱりクロダイでしょうか?とても立派で、おいしそうですね…(笑)。釣るだけでなく、さばいたりもできるのでしょうか?魚をさばくということは、解剖をしているのと同じで生物の身体をリアルに観察できるのだから、とても勉強になるよね?と思って聞いてみると、やはり自らさばくようで、さばくどころか、それが大好きとのことです。さばく時には胃袋の中身を確認して、次の釣りに活かすのだそうです。
こういう子に、必死でテスト勉強ばかりしても勝てませんね。
これは、なにやら、岩場についたコケだかノリだかの観察をしているのでしょうか?それとも、その間にいた微生物をつまもうとしているのでしょうか?
これも確認してみると、岩についた海苔の味見をしようとしているところのようです。(本人は味見しようとしているだなんて公表しないで、と恥ずかしがっているようでしたが、寧ろフォーカスすべきことなので公表してしまいます。ごめんなさい。)
皆さんはこの行為をどんな風に受けとめられますか?「ふうん」って感じかな?なんか意味があるの?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、教育的観点からすれば、非常に大事な行為です。つまり、普通の人が目にもとめないようなさりげない存在に気づき、自然に興味がわき、「これは一体なんだろう?」「このノリ、食べたらどんな味がするんだろう?」と様々なものに興味を抱く習性を身につけているのです。
こういう習性は一生ものです。今後様々な局面ー例えば勉強や学業成績、ひいては学問研究の領域などーで、非常に有効に効いてくることは間違いありません。
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関連した話でかつ余談になりますが、上の写真を見て、ノーベル医学・生理学賞を受賞された大村智博士のことが頭に浮かんできました。(大村博士は、静岡県のゴルフ場の土壌から微生物を取り出し、後に「イベルメクチン」という抗寄生虫薬の発見をし、アフリカや中南米における熱帯病撲滅に莫大な貢献をなさった人物。)
テレビのインタビューか何かで聞きましたが、大村さんは幼いころから何やら土ばかりいじっていらしたようです。ご実家が農家ということもあり、農作業のお手伝いの傍ら、土をじっと観察していらしたのではないでしょうか。
お姉さまのお話によると「こんなに偉くなると思わなかった。私たちよりも「勉強」していなかった。」とのことです。しかしこの「勉強」とは机上の「勉強」をあまりしていなかったという意味であり、幼いころに、日々の暮らしや自然に対する興味関心を持って暮らす習慣が身についてさえいれば、自然と知的好奇心が芽生え、机上の勉強以上の奥深い学びを経験できるということでしょう。
「知的好奇心」の育成こそがお子さんの教育において、何よりも最優先にされるべきものです。
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↑小さなカエルです。O君に聞くとアマガエルだそうですが、体の模様が変わっているので写真に撮ったとのことです。確かによく見ると、体は緑色ですが、足の部分は茶色です。生息する場所によって体の色が変わってくるということで、枯草の多いところに生息している場合は、隠れやすいように、足が茶色に変化してくるそうです。なるほど、こういうことは、アマガエルを実際に捕まえて、よーく観察しなければ気づかないことですが、O君からしたら当たり前のことなんでしょうね。
これは、ウナギ。なんと、ウナギも釣るんだということで驚きです。O君によると、これは江ノ島の境川河口付近で捕ったものらしいです。夏の夕方によく釣れるらしく、河口付近だと比較的小さいウナギが数多くいて、上流に行くと大きなウナギがいるが数が少ないのだそうです。
ウナギもさばくのか、と尋ねると、yes!の返答。 YouTubeでさばき方を調べて練習したのだそう。ウナギは生命力が強いので、さばいてもなかなか命が途絶えず、にゅるにゅる動くので、一旦冷凍してからさばくんだそうです。なるほど!勉強になりますー。
ウナギをさばく中学生なんています?びっくりです。
ひとまず今回はここまでにします。まだ続きがありますのでお楽しみに!