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塾ブログ 林間教育通信

2023/05/16

対話型AIとの対話:英文添削をしてもらおう

対話型人工知能(Conversational Artificial Intelligence)は、英文ライティングの添削には最高だ。

 

嘘も平気ででっちあげる人工知能(AI)

 

以前(2023年4月4日)GeePeeTeeについてのブログを書いてから、chatGPT、BARD(Google)、Bing(マイクロソフト)等の様々な対話型人工知能(AI)を試してみた。噂通りで、確かにスゴイ!

 

今までの常識を完全に覆すツールですね。例えば、舞台や単語などの諸設定を決め、これで物語を作ってくれと命令すると、瞬時に文章を作る。単語数や難易度を変えてくれとか、正誤問題を作ってくれと命令しても良い。

 

しかし、すでに頻繁に伝えられているように、とんでもない噓つき野郎でもあると実感した。ネットで調べればすぐ分かるレベルの情報でさえ、全然確かめたりせずに、いい加減な話をでっち上げる。架空の人物、決して存在しないバス路線、間違った年号などなど。

 

英語の文献では、対話型AIの発する嘘を、confabulation (=(精神病者の)作り話)だとか、hallucination(幻覚症状)とか呼ぶようだ。

 

例えば、プロ棋士で一番負け数が多い人は誰かと、iPhoneのGeePeeTeeに質問したところ(プロ棋士で負け数がずば抜けて多いのは、加藤一二三であることは、よく知られています)。

 

神田辰之助九段です。

 

と返事が返ってきました。

 

そんな名前の棋士は全く聞いたことが無かったので、架空の人物を創造してしまったのであろうと考え、いったい神田九段とは何者かと尋ねました。すると、

 

1956年生まれの棋士で、身長は170cm、血液型はAB型。得意戦法は三間飛車だが、大胆な手で敗因になってしまうことが多い。引退後は後進の指導にあたる。

 

と作り話を展開してきた。

 

なお念の為にウィキペディアで調べてみると、1957年生まれの神田辰之助は存在しないが、同姓同名の神田九段が第二次対戦前(1893ー1943年)に活躍していたと言うことがわかった。もちろん、負け数日本一の記録を樹立したわけではない。勝手に名前だけを借用したのだ。

 

対話型AIは、アメリカの司法試験に合格できる能力があるとも言われるが、いい加減に話をでっちあげてしまう場合も多いということなのだ。(とくに日本語で質問をすると、データ入力が英語と比べて少ないので、いい加減なことをさらに頻発しがちである)。

 

我々人類を騙してやろうと企んでいる訳ではないようだが、自分の作る文章について、その情報が正しいか、説得力があるか、論理的かといったポイントには、ほとんど無関心だ。だから悪気なく適当な嘘もでっち上げてしまう。

 

その理由は、対話型AIは、言語データベースに基づく文章生成装置なので、重要なのは言語表現としての「もっともらしさ」だかららしい。言い換えれば、表面的に道理にかなっているように見えさえすれば、それで良い。それが彼らの知能の正体だ。

 

 

AI言語教師と対話しながら

 

そんないい加減な詐欺師のようなAIなんか、全く無意味じゃないかと思う人も沢山いるだろうが、そんなことはない。文章の「内容」の吟味についてはまるでいい加減なのは確かだが、文章の「形式」については、優れた能力があるはずだからだ。

 

つまり、理科や社会は全然ダメな英語や国語の先生のような存在なのだ。あるいは、百科事典的機能はいい加減だが、言語辞典(類語・反対語辞典、表現辞典、コロケーション辞典、表現言語など)の機能は満載と言ったらよいだろうか。そんなAIは、言語の教師として最高ではないのか。

 

このブログは英語塾のブログであるので、我々の興味は次の点にある。英語学習のためには、どのように対話型AIの力を最大限に活用出来るだろうか。

 

オンライン上でしばしば見かけるのは、対話型AI能を使って問題文(英語長文と正誤問題など)や暗記用単語リストを作ってもらうというものだ。そういう使い方はお勧めできない。なにしろ、問題集や単語本などは、すでに山ほどあるからだ。市販の教材優れた教材教材に任せれば良い。

 

同様に、模範回答を作ってもらうとか、宿題代行をしてもうらなどの使い方も感心できない。

 

対話型AIが優れているのは、まさにその「対話型」に意義がある。つまり、個々の学習者に寄り添ってくれるのだ。解答例をいきなり提示する能力だけではなく、一人ひとりの学習者が書いた文について、ある程度以上は元の文を尊重し、その改善案を提示してくれるのは、なんとも有り難いではないか。

 

英語を学習しようと思うならば、まずは自分で英語を書いてみること、そしてそれを対話型AIに添削してもらう。そしてもしその添削やアドバイスが適切だと判断できれば、それを取り入れ、自分の文章を書き改めたり、付け加えたりするそしてさらに、書き改めた文章を再度AIにチェックし添削してもらうのだ。つまり、AIと対話を深めていくように、自分の書いた英文を何度も繰り返し修正して練り上げるのである。それが一番勉強になるのです。

 

 

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AIの提案や指摘がどうしても納得できない時にはどうするか。(2023年5月20日補筆)

 

さて、ここで大事なことを付け加える。AIの提案は必ずしも適切であるとは限らない。(具体的事例については、近いうちにいくつかブログで提示しておきたい)。もしその提案が不適切であるときは、どうしたらよいのか。その時は躊躇なく、別解を求めてみたり、別の対話型人工知能に同じ質問を投げかけてみよう

 

あるいは、AIに不明点について質問をしたり、異議申し立てしてみるのも悪くない。(AI側が、自分の主張を強引に押し通そうとする場合もあれば、即座に謝罪することもある)。こちら側が積極的にレスポンスすれば、納得できる回答を引き出せる可能性があります。

 

いずれにせよ、黙ってAIの提案を受け入れるような姿勢だけは、絶対に避けなければいけない。AIの提言をいつも真に受けるような愚か者になってはならないのです。

 

ちなみに、『英語教育』という雑誌に書かれてあった大学教授の模範英文(和文英訳)についてAIに評価を任せたところ、CEFRでB1レベル(英検2級程度)という評価でした。[抗議しても変わらず]。また、英語の哲学図鑑の和辻哲郎の解説記事(英文)を評価させたら、B2レベル(英検準一級レベル)と出ました。[抗議したらC1レベル、つまり英検1級くらいに昇格しました。教養のあるネイティヴが英検1級レベルのはずがありません(苦笑)]。

 

どちらも、率直に言ってナンセンスです。日本人大学教授やネイティヴの哲学系ライターの英文が、僕の生徒よりも低レベルのはずがないのです。おそらく、現行のAIでは英文のレベルの評価は非常に難しいのでしょう。

 

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あるいは、自由英作文の課題で、何を書けば良いのか途方に暮れている時に、いくつかアイデアを出してもらう。例えば、「あなたの行きたい海外の都市を挙げ、その理由を説明しなさい」という問題が出され、困ってしまったとしよう。このとき、例えば、「タイ国のアユタヤ市に旅行する理由をリストにして教えて」(Make a list of the reasons why people go to Ayutthaya.)と質問してみたら良い。そして、そのリストを参照しながら、自分なりの英文を書いてみるのである。

 

実際に、AIに英文の添削をやらせてみると、実に素晴らしい働きを示すことが多い。なにしろ、いつでもほんの一瞬のうちに、添削や推敲に応じてくれるのだ。日本の英語学習者の多くは、ライティング(やスピーキング)となると、独学を強いられているだろうから、かつてない福音だ。なにしろ、自分が書いた英文をしっかりと添削してもらえるなんて、ほとんどの日本の英語学習者には、期待できない状況だったのだから

 

具体事例に入る前に、長所と短所を最後に列挙してみる。

 

 

英文添削者としての対話型AI、その長所と短所

 

長所

 

  • そもそも学習者が書いた英文を全部読んでくれ、添削までしてくれる。
  • 文法ミスの指摘、語彙・表現の修正提案が出来る。
  • 追加事項や補足の提案が出来る。
  • 文章の出来を評価をしてくれる。

 

 

短所

 

  • ある程度以上の英語力がないと、使いこなすのは難しい。 
  • 気まぐれで応じてくれない時がある。(BARDの場合)
  • 動詞の動作主体が何か、代名詞が何を指しているか等については、読み間違えることが時々ある。
  • 文章の論理的不整合を指摘できない。また、文と文とのつながりの良さ(悪さ)や「飛躍」「びっくり!」の有無をよく理解しているとは限らないように見える。(e.g. not の記入忘れなどの致命的なミスであっても、chatGPTやBARDは指摘してくれない。また、日本人に多い過ちだが、センテンスとセンテンスの間に意味的な「飛躍」があり、読み手がビックリしてしまうような悪文であっても、その点を指摘できないようだ)
  • 英文の評価をさせると、一度しか同じ単語を使っていないのに、同一単語を2回繰り返して使ったから減点だ等の不適切なコメントをすることが多い。また、著しい低評価をする傾向がある。
  • 語義の差異などを質問すると、訳の分からない、あるいは、理解の困難な説明をすることがある。(私の語学不足で理解できないのか、それとも良い加減な議論をでっち上げているのか?)

 

 

 

こう書いてみると、AIによる文章添削や採点は、結局のところ、かなりポンコツで、とうてい英語学習者が利用するに値しないのではないかと思われてしまいそうだ。しかし、そんなことを書きたいのでは断じてない。まるで逆だ。

 

多くの場合、充実した指摘、提案をしてくれるからである。ただ忘れてはならないのは、AIを使う学習者側がしっかりとした判断力を持って、AIのメッセージを取捨選択しなければらないということだけである。(だから英検一級程度くらいの英語力は求められるだろう)。

 

例えば、英語教師と対話型AI(chatGPT、BARD、BING、Perplexityなど)とがタッグを組んで、高校生や英検受験生の英文ライティングの添削指導をするならば、英文ライティングの指導は、格段に迅速で能率的になるはずだ。あるいは、英語教師が英語を研鑽したり、英検一級やTOEFLのライティングの独習する時などにも、大いに役立つだろう。

 

 

今回はこれまでとする。次回は、対話的人工知能の英文添削力について、具体的に書く。

 

 

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