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2025/02/12

DeepSeekは東大英語・数学を解けるのか

中国発の高性能生成AI(DeepSeek)は、東大の入試を解けるのか?

 

2025年、人工知能の世界に大きな波紋を投げかけているのが、中国発の生成AI「DeepSeek」です。超高性能でありながら驚くほどリーズナブルな価格設定により、その登場はアメリカの株式市場にも大きな影響を与えました。当塾では、この新しいAIの実力を探るべく、2024年の東大入試の英語・数学の問題に挑戦させてみました。その結果をご報告いたします。

 

DeepSeek

 

東大の英文要約問題の挑戦

 

まず、2024年東大入試英語の第1問(要約問題)に挑戦させました。これは当塾のブログでも以前に他の生成AIで検証を行った問題です。結論的を先に述べましょう。DeepSeekは英文の本質を理解し、的確に要約する能力については非常に優れた性能を示しましたしかしながら、入試問題に答えるとなると、重要な問題を孕んでいました。要するに、他の生成AI同様に、指定された字数の制限内で要約文を作成出来ないのです。また自身が作成した文章の文字数を正確にカウントすることさえ出来ないのです。

 

 

 

具体的に見てみましょう。問題は以前取り上げた2024年の大問1ですが、再掲します。

 

以下の英文を読み、 その内容を70~80字の日本語で要約せよ。 句読点も 字数に含める。

 

 There is no doubt that one of the major issues of contemporary U.S. history is corporate propaganda. It extends over the commercial media, but includes the whole range of systems that reach the public: the entertainment industry, television, a good bit of what appears in schools, a lot of what appears in the newspapers, and so on. A huge amount of that comes straight out of the public relations industry, which was established in this country and developed mainly from the 1920s on. It is now spreading over the rest of the world.

 

  Its goal from the very beginning, perfectly openly and consciously, was to “control the public mind,” as they put it. The public mind was seen as the greatest threat to corporations. As it is a very free country, it is hard to call upon state violence to crush people’s efforts to achieve freedom, rights, and justice. Therefore it was recognized early on that it is going to be necessary to control people’s minds. All sorts of mechanisms of control are going to have to be devised which will replace the efficient use of force and violence. That use was available to a much greater extent early on, and has been, fortunately, declining—although not uniformly—through the years.

 

  The leading figure of the public relations industry is a highly regarded liberal, Edward Bernays. He wrote the standard manual of the public relations industry back in the 1920s, which is very much worth reading. I’m not talking about the right wing here. This is way over at the left-liberal end of American politics. His book is called Propaganda.

 

  Bernays’s Propaganda opens by pointing out that the conscious manipulation of the organized habits and opinions of the masses is the central feature of a democratic society. He said: we have the means to carry this out, and we must do this. First of all, it’s the essential feature of democracy. But also (as a footnote) it’s the way to maintain power structures, and authority structures, and wealth, and so on, roughly the way it is.

 

  I should mention that terminology changed during the Second World War. Prior to World War II, the term propaganda was used, quite openly and freely. Its image got pretty bad during the war because of Hitler, so the term was dropped. Now there are other terms used. (東京大学、2024年1️⃣)

 

 

 

DeesSeekの答(その1)

 

現代アメリカ史の主要問題は企業プロパガンダである。1920年代に発展したPR産業はメディアや教育を通じ、大衆の心理を制御し権力構造を維持する。バーネイズは民主主義に不可欠と主張したが、第二次大戦後は「プロパガンダ」の用語が避けられた。80)  (注意⇐句読点を含めて117字の間違いです)

 

英文の要約としては悪くはないのですが、字数は80字ではなく113文字です。設問には70-80字で書けという条件がついているのですから、答案としては致命的です。

 

 

そこで字数を減らすように、次のようにお願いしてみました。「数えてみましたが、117字あります。もう少し減らしてください」。するとDeepSeekは13秒間考えて要約文を修正すると、DeesSeekは次(写真画像)のように思考した挙げ句、要約文を書き直してくれました。(下の画像は、私の命令とDeepSeekの思考過程です)。

 

IMG_7525

 

DeesSeekの答(その2)

 

現代アメリカ史の主要課題は企業プロパガンダだ。1920年代発展のPR産業はメディア等を通じ大衆心理を操作し企業支配を維持。バーネイズは民主主義の要と主張したが、第二次大戦後、用語が変更された。79字)(注 ⇐またしても文字数の数え間違いです。96字です)

 

 

しかし、またしても字数オーバーでした。DeepSeekは(79字)だと自称しているのですが、実際は96字なのです。これでは駄目ですね。どうやら現段階の生成AIは、DeepSeekだろうとChatGPTだろうと、字数を数えられないようです。そこで、「本当に79字ですか。数え直してみてください」と命令しました。すると、11秒間の思考を経て、次のような返答をしてきました。下の画像を見てください。DeepSeekの思考と解答が出ています。

 

IMG_7527

 

DeepSeekは(75字)と自称する要約文を書いてきたわけです。そして、字数確認のプロセスまで提示してくれました。しかし非常に変です!要約文は全部で5行あるのに、1~3行までしかカウントしていないのです。こんなに頭の良いDeepSeekなのですが、どうやら字数は数えられないのです。ただし念の為に重ね重ね付け加えておけば、なにもDeepSeekだけの弱点ではアリません。他のどんな生成AIも、2025年2月段階では、自分が書いた文の文字数は数えられないようなのです。

 

 

そして、さらなる問答をDeepSeekと繰り返しましたが、結局、字数を設問の条件に整えることは出来ませんでした。要するに、DeepSeekは要約文の作成能力はあるが、適切な字数で書くことは不可能なのでした。

 

 

英文法的な読解と説明の能力の検証

 

東大入試問題ではありませんが、前回取り上げた英文(What does it matter how old I am?) の解釈と文法的説明について、DeepSeekにも挑戦させてみました。これも結論を最初に書いておきましょう。残念ながら、この分野においてもDeepSeekはまともな解答を提供できませんでした。文法規則の説明というのは、現状の生成AI全般に共通する課題のようです

 

では、具体的にDeepSeekの実力を見ていきましょう。

 

 

私の質問

 

What does it matter [how old I am]?what は目的語ですか?

 

 

 

DeepSeekの答

 

What does it matter [how old I am]?」という文において、「what」は目的語ではありません。この文の構造を詳しく見てみましょう。

 

1. **What」の役割**: この文では「what」は疑問詞として使われており、文の主語になっています。「What」は「何が」という意味で、文の主題を尋ねています。

2. **does it matter」の部分**: ここでit」は形式主語であり、真の主語は後ろに来る「how old I am」という節です。「matter」は「重要である」という意味の動詞です。

3. **how old I am」の部分**: この節は「it」の具体的な内容を示しており、「私が何歳か」という情報を提供しています。

したがって、この文の構造は次のようになります

 

この文の構造は次のようになります:

 

**What**(主語) + **does**(助動詞) + **it**(形式主語) + **matter**(動詞) + **[how old I am]**(真の主語)

 

つまり、「What does it matter [how old I am]?」は、「私が何歳かということが、何の問題になるのか?」という意味です。ここで「what」は主語であり、目的語ではありません。

 

もし「what」が目的語であれば、文の構造が異なります。例えば、「What did you say?」という文では、「what」は「say」の目的語として機能しています。

 

まとめると、この文では「what」は主語であり、目的語ではありません

 

 

 

What does it matter [how old I am]?の”What”は副詞であり、修飾語にすぎないのですが(⇐これが正解です)、DeepSeekは「Whatは主語であり」と解答してきのです。そこで、私は次のような質問をしてみました。

 

 

私の質問

 

 

仮主語があり、真の主語があり、さらに主語があるのですか。 

 

 

DeepSeekの返答

 

 

いい質問です!確かに、この文の構造は少し複雑に感じられるかもしれませんが、順を追って整理していきましょう。

 

### 文の構造

 

What does it matter [how old I am]?」という文では、以下の要素が含まれています:

1. **What**: この文の主語です。「何が」という意味で、文の主題を尋ねています。

2. **does it matter**: ここで「it」は**形式主語**(仮主語)です。真の主語は後ろに来る「how old I am」という節です。

3. **how old I am**: この節は**真の主語**であり、「it」が指す具体的な内容です。

 

つまり、この文では「what」が文全体の主語であり、「it」は形式主語として機能し、その真の主語が「how old I am」という節です。

 

 

### 主語が複数あるように見える理由

– **what**: 文全体の主語として機能し、「何が」という疑問を表します。

– **it**: 形式主語として、文の構造を整えるために一時的に主語の役割を果たします。

– **how old I am**: 真の主語として、「it」が指す具体的な内容を表します。

 

このように、文の構造上、主語が複数あるように見えるのは、形式主語と真の主語が共存しているためです。

 

### 例文で確認

– **形式主語「it」と真の主語「how old I am**:

It matters how old I am.」(私が何歳かは重要です。)

ここで「it」は形式主語で、「how old I am」が真の主語です。

 

– **疑問文にした場合**:

What does it matter [how old I am]?」(私が何歳かが何の問題になるのか?)

この文では「what」が主語であり、「it」は形式主語、「how old I am」は真の主語です。

 

このように、形式主語と真の主語が共存する文では、主語が複数あるように見えることがありますが、それぞれの役割を理解することで文の構造が明確になります。

 

以上のように、DeepSeekは自信満々に頓珍漢な解答(=形式主語、真主語、主語と主語が3つ有る)を返してきたという訳です。日本語訳ならば、ある程度以上には正確な訳文を作れるのですが、英文の文法的理解となると、ちょっと厳しいようです。

 

 

 [参考資料]

以下は上記のDeepSeekとのやり取りを、スクリーンショットしたものです。

 

IMG_7376

 

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東大文系数学への挑戦

 

2024年東大文系数学の大問1についても、DeepSeekに解かせてみました。これもまた結論を先取りしておきましょう。

 

 

 

  • 大問1(1)(2)については、正解を導き出すことができました。しかも、他の生成AIと比較して、解答速度が格段に速いという特徴が見られました。
  • 証明問題{今回の問題で言えば、問1(3)}については、他の生成AI同様、苦手なようです
  • 関数のグラフ化については、指示があれば適切に対応できます。
  • 思考過程の説明は非常に丁寧です。ただし、まず中国語で思考過程を示しその後日本語に翻訳したりすることが多く、この点は改善の余地があるかもしれません。
  • 総じて見れば、使い勝手は他の生成AI(ChatGPTなど)と比べて少々悪い。この点は改善の余地がある。

 

 

では、具体的に問題を見ていきましょう。

 

utm1

 

 

数2の問題ですが、典型的な問題で比較的解きやすいものと思われます。まずは(1)の問題の答えからみていきましょう。

 

ut1-1ans

 

 

模範的な解答例でしょう。数式だけでなく、しっかりと文章で説明してくれるのも、評価しておきたいですね。ただし、x^2+y^2=1を微分してdy/dx=-x/y を導き、点Pの微分係数は-cosθ/sinθであると述べていますが、これは数3の微分の方法です。普通ならば、別の方法を使うことが期待されているはずです。(⇐昔と変わっていなければ、東大の文系数学は数2までのはずです)。しかし、これはDeepSeekに非があるわけではありません。

 

 

ついで、DeepSeekの(2)の解答を見てみます。

 

ut1-2ans

 

これも、模範解答と言ってよいでしょう。
さて問題は(3)の解答です。残念ながら、これはちょっと不味かったです。
IMG_2465
まず最初、A≧√3 を証明しなければならないのに、証明すべき不等式を前提に、その計算を展開しているところです。正しい証明の記述の仕方を学ぶ必要がありますね。しかし本当に問題だったのはその後で、次のような答案を書いています。「ある不等式が, 0<s<1で成り立つことを確認します。例えば、s=1/2のときに、不等式は成り立ちます。したがって、 0<s<1 のときに不等式は成り立ちます」という趣旨の文章を書いているのです。
例えば、s=1/2 のとき、7.81>=6.75となり、不等式が成り立ちます。同様に、他のsの値でも成り立つことが確認できます。したがって、A>=√3が示されます。(⇐DeepSeekの誤った推論)
DeepSeekの名誉のために申し上げれば、他の生成AIも証明問題は苦手であること、また別の機会に、再度DeepSeekに対して同じ不等式の証明を命じたところ、正解と思われる方法で答えることが出来ました。(以下の画像を参照のこと)
step1-2
step3
step3
step4-6

最期に

 

今回は、デビューしてホヤホヤの中華式生成AI(DeepSeek)に、東京大学の2024年の英語・数学を解いてもらいました。東大の問題に正解を答えるという意味では、まだまだ完璧だとは言い難かったかもしれません。2025年の段階では、人間が微調整しないと不可能な要素があるようなのです。

 

 

しかし、生成AIの力を侮ってはいけません。生成AIの欠点を見るばかりでなく、むしろ良い側面を活用することを考えていきましょう。そうすれば、英語力、とくにスピーキングとライティングの力は、今までとは比べ物にならないくらい、超飛躍的に向上するはずなのです。次回は出来たら、生成AIの賢い使い方について、紹介していきましょう。

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2024/11/04

英語力を向上させたいなら自分の思考を言語化しよう

日々中高生の皆さんと英語を勉強していて、成績が上がりやすい人と少し時間がかかってしまう人の違いというのがいくつかあると感じていますが、今日はその一つに焦点を当てて簡単にまとめておきたいと思います。

 

それは、自分の思考の道筋をちゃんと言語化できているかどうかということです。(これは英語の勉強に限ったことではなく、あらゆる勉強に共通して言えることですが、)

 

 

例えば、I am reading a book.という英文を訳しなさいと言われて 

「私は本を読んでいるところです。」と訳したとします。では「なぜそう訳したのですか?」と質問すると、答えられない場合が少なくありません。とても不思議に思うのですね、何も思わずに、頭が空白のままでなぜこの英文を読んで正しく訳すことができるのだろう?と嫌味ではなく本当に不思議に思うのです。

 

皆さんは、5+3=8という計算をする時に、無意識だとしても、「あ、これは足し算だな」と一瞬思っているはずなんです。だから、5に3を足して8という答えが出てくるのですよね?「なぜ答えが8になるのですか?」と聞かれたら「5に3を足す足し算だからです」と答えればよいわけです。その言語化ができない場合がある。「え?何?5+3=8でしょ、何かほかに言うことある?」と困ってしまうわけです。

 

 

同じように上の英文も、「あ、これは現在進行形の文だな、それでは現在進行形の英文だとわかる日本語にしよう」と一瞬思っているからこそ上記のような訳になるのですよね?そこを聞いているだけなんです。

 

 

 

つまり、自分の脳が何か作動した、その作動の道筋を客観的に言語化して説明する能力、これをこちらは求めているわけです。ただ漠然とできました、では、ネイティヴなら許されても英語学習初学者にそれは許されません。なぜなら、これからどんどん様々な英文の形を学んでいくわけですから、その一つ一つにラベルを張って自分の脳にきちんと整理して収納していかなければ、やがて脳内はぐちゃぐちゃになり、何か取り出そうとしてもどこにあるやらわからなくて、即座に必要な情報を取り出すことが不可能になってしまうのです。

 

 

 

とにかく普段から、自分が今やっていること、考えていることを、脳内で言語化してみる、それを意識してみてはいかがでしょうか。恐らく、学習効果がはっきりと出てくるはずです。

 

 

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2024/07/05

模試の過去問演習などするな!

東大受験を目指して河合塾全統記述模試や東大OP、または駿台の全国模試や東大実戦模試といった模試を受ける人も多いと思います。その中で、模試の成績や判定をよくするために模試の過去問を大量に解いている人が少なからずいるようです。

 

 

X(Twitter)などのSNSで東大実戦模試の過去問を集めたりする受験生を時々見ます。こういった勉強法をやっている人は今すぐやめましょう。

 

 

 

確かに東大OPや駿台実戦模試は実際の東大入試問題に類似した問題を出します。しかし、似せようとするあまりやや無理がある問題設定になっていたり、ちょっと癖のある問題になっていることがあります。英語に絞って言えば、あんな質の悪い(すみません)問題を解いても実際の東大入試には太刀打ちできません。(そもそも東大実戦模試の数学や理科の問題は実際の東大入試問題よりもずっと難しいことが多いというのは有名な話です。)

 

 

冠模試全部A判定だったのに東大落ちた、という人の中には、恐らく模試の過去問ばかり解いてある種の癖に慣れている人がいるのではないかと非常に危惧しています。

 

 

東大の入試問題は何か対策して太刀打ちできるものではありません。例えば数学が顕著だと思うのですが、難易度を巧妙に変えて揺さぶりをかけてきます。数年間超難問が続いていたのに突然易化させてフェイントをかけたりするのです。東大の数学は難しいからと難問ばかり演習して基本をおろそかにしている者にとって易化した時は思いのほか焦り、計算ミスをしたりします。

 

英語に関して言えば過去問を何十年分やろうが関係ないです。もっとがっつりと基礎を確立させておく必要があるのです。

 

実際、東大の過去問を20年分繰り返し解くのがいい、などという説を唱える人もいます。数学や理科などでは、そういうやり方が功を奏す人もいるのかもしれませんが、人によってはそういうやり方は全く意味がないという人もいます。

 

こと英語に関して言えば、過去問というのは、「ああこういう感じなのね。」と雰囲気を知るくらいでいいと思います。5,6年分を1,2周かな。あとはもっと違うことをすべきだと私たちは思います。

 

 

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2024/06/21

大学受験ーA判定でも落ちる、D判定でも受かる

大学受験をするにあたって、多くの受験生が河合塾や駿台の模試を受けていると思います。そしてその結果に一喜一憂しながら過ごしているのだと思います。しかし、模試の判定はあくまでも参考程度に受け止める必要があります。必要以上に信じないということです。

 

 

 

巷では「A判定でも落ちる」「D判定でも受かる」という言説がありますが、それは実際によくあることです。当塾の生徒さんや個人的な知り合いの中にも該当する人はいますし、毎年国立大学合格発表後のX(旧Twitter)上には、「冠模試含めて全部A判定だったのに東大落ちた」といったような投稿が散見されます。

 

 

ではなぜそんなことが起きるのかといいますと、模試の採点がいい加減だからです。特に顕著なのは、現代文と英語(の記述)です。(模試の採点者を批判しているわけではありません。)

 

 

模試の採点は誰がやっているかといいますと、アルバイトです。勿論採用試験を通過した一定レベルの学力のある人がやっていることは確かです。しかし、中には現役の大学生もいるでしょうし、片手間でお小遣い稼ぎとしてやっている人も多いでしょう。

 

 

ここで問題なのは、例えば駿台全国模試レベルの記述問題であればかなり難問ですので、一人一人の答案をアルバイトが丁寧に採点することなどほぼ不可能です。まして、東大実戦模試となれば尚更です。

 

 

例えば、現代文のたった一問に対する記述の答案だけでも、本当に十人十色、色々な答案を書いてきます。その答案を一つ一つ丁寧に読んで、どこまで問いに対してきちんと答えているかを判断するなど、到底不可能です。勿論数人の答案を採点するならできるかもしれません。しかし、少なくとも仕事としてやる以上最低でも100人分の答案はみなければならないわけで、100人分の答案の一問一問をアルバイトの立場でそんなに丁寧に採点することができると思いますか?

 

 

 

模試の採点には採点基準なるものが提示されていますので、採点者はその基準に沿って採点していきます。例えば、「〇〇という言葉が書かれていれば〇点」といったような具合です。しかし、採点基準に挙げられている言葉を使っていなくても、本文の内容をしっかり理解し問いに対してある程度的確に答えられている答案だってあるはずです。(往々にしてよくできる人ほど自分の言葉で答案を書くので、採点基準にない言葉を使う可能性は大です。)

 

 

しかし、採点者はあくまでも採点基準に照らして採点をしていきます。そこに挙げられている基準以外の表現の場合、それが正しいか否か一人一人丁寧に吟味するには膨大なエネルギーと時間が必要ですし、自信をもって判断できる人は少ないので、必然的に採点基準に従うしかないわけです。

 

 

そうするとどんなことが起きるかと言いますと、実力があり、かなり正解に近い解答が書けていたとしても、意外と点数が伸びない、とか、実力はなくても高得点、ということが起こり得ます。

 

 

例えば、今年東大理科二類に合格したNさんの場合、第二回東大実戦模試の国語の成績は現代文12/40、古文0/20、漢文4/20、合計16/80しかとれず、偏差値41でしたが、本番の東大受験の開示では国語は47/80、つまりほぼ6割取れていました。

 

 

一方でネット上で見たある東大受験生(不合格)の話ですが、冠模試の国語の点数が大体50点前後(理系・80点満点)あったのに、本番の開示では20点ほどしかとれていなくて驚いた、やっぱり模試はあてにできない、といったような投稿がありました。

 

 

問題が違うというのも勿論ありますが、実際の東大の問題はよく練られた良問であること、採点者が、問いに対して的確に答えられているかどうかを非常に丁寧にしっかりと見てくれる。よって実力が反映される点数となる、ということだと思っています。

 

 

つまり、模試と本番の点数では、国語や英語の記述だけでも10点や20点は簡単に変わりうるし、それによって順位の100番や200番は簡単に入れ替わる。結果、D判定でも受かるしA判定でも落ちる、というのは当たり前のことなのです。

 

 

ではどうしたらよいか、といいますと、やはり信頼のおける指導者に〇〇大学合格のための実力がしっかりと備わっているかどうかをきちんと見極めてもらうということが必要となってきます。

 

 

例えば、その判定がたまたまとれたA判定なのか、実力の伴っているD判定なのか。たまたまとれたA判定よりも実力の伴ったD判定の方が強いのは当たり前。また、合格判定よりも順位を見る。自分の位置がその大学の合格定員ギリギリか悪くても200番くらいビハインドという位置にいるのかどうか。そのあたりであれば、D判定でも全く気にする必要はない。模試の採点は当てになりませんから、適当な採点でその位置ということは、本番ではもっと点が伸びるという可能性十分はあります。

 

※但し、その判断というのは、個々の受験生の状況を細かくみてみないとなんとも言えません。模試の判定が適切な人もいるかもしれないし、全く外れているという場合もあります。一般論では語れないということを強調して今日はここで終わりにします。

 

 

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2024/04/24

令和6年度入試結果ご報告

ここのところなにかとバタバタと忙しくブログの原稿を書くことができていませんでした。やっと少しずつ時間が取れそうになってきましたので、遅ればせながら、まずは今年度の受験結果等についてご報告しておきたいと思います。

 

 

 

【令和6年度入試結果】

 

◎中央大学・法政大学・國學院大學・二松学舎大学(いずれも文学部)合格ーーー世田谷学園T君

 

 

◎上智大学理工学部、明治大学理工学部合格ーーー栄光学園F君

 

 

◎日本医科大学(一次)、慈恵会医科大学医学部医学科(一次)、東京大学理科二類合格ーーーSさん

 

 

今年は3名の受験生が奮闘してくれました。三人ともそれぞれの置かれた環境の中で最後まで頑張り抜きました。本当におめでとうございます。

 

 

今年の受験生3人について言えば、それぞれが各自とても個性的な受験生だったと思います。たとえばT君は、中学生の頃から通ってくれていましたが、その当時から受験期までほぼ一貫してマイペースを貫きました(笑)。国語が得意で英語が苦手というタイプの生徒でしたが、最後まであきらめることなくしっかりと中央大学や法政大学の合格を勝ち取られたのは立派でした。

 

 

F君は模試では非常によい成績がとれていましたが、第一志望は残念な結果となり(※)、上智大学に進学することになりました。しかし国立の大学院まで進むという確固たる目標をしっかりと我々に語ってくださいました。将来がとても楽しみです。(※)については大事な話題ですので改めてブログ記事にします。

 

 

 

最後に、今年一番の大ホームランを打ってくれたSさん、ありがとう。

なんと、私立医学部御三家の日本医科大学と東京慈恵会医科大学の両方に一次合格(筆記試験合格)、そして本命の東京大学理科二類に見事合格されました。

(因みに慶應大学医学部も合格射程圏でしたが、今年度は慶應医学部の受験日が慈恵の翌日となり、本命の東大入試に余力を残しておいた方がよいとの判断で受けませんでした。)

 

 

日本医科大学、東京慈恵会医科大学、慶應大学医学部という私立医学部御三家や東大にどうしても合格したいと希望されている方は多いと思いますので、こちらもまた改めて具体的な解説を記事にしたいと思います。

 

 

ひとまずは今年度の入試結果のご報告でした。

 

 

 

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