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塾ブログ 林間教育通信

2016/08/07

書籍紹介:加藤典洋『戦後入門』ーオバマ演説に関連して

オバマの広島スピーチ(2016年5月)は、美しい文学的な表現だったけれども、受け身表現を使うことによって、アメリカが原爆を投下したことをぼやかそうとしているというのは大変面白かったですね。

 

 たしかに、アメリカという国家が核兵器を投下したのに、当のアメリカの大統領がそのことについて曖昧にするというのは、如何なものでしょうか。一般市民がたくさん住んでいる大都市に核兵器を使ったことに対して、反省の弁が全くないのは腑に落ちません。しかし、それ以上に問題視されなくてはならないのは、アメリカの非人道性について批判の声を出す日本人があまりにも少ない点です。

 

 

これとの関連で、是非とも高校生に一読を薦めたい本があります。文芸評論家として著名な加藤典洋が昨年(2015年) 出した、『戦後入門』(ちくま新書)です。というのは、原爆投下についてアメリカを批判・非難してはならぬとヒロシマ関係者が考えている点について,加藤は批判的だからです。加藤は次のように述べています。

 

 

「米国に対して、(中略)原爆投下に対する抗議と、謝罪要求を行うのが良いというのが私の考えです」(491頁) 

 

 

 

加藤はもちろん日米対立を志向しているのではなく、「日本の社会と米国の社会の友好信頼関係」(494頁)を構築するために提案しているのです。とてもまっとうな主張です。しかし現実には、そういった考え方を支持する政治勢力は日本にないわけです。逆に言えば、そこに加藤の著作のユニークさと刺激性があります。せっかくですから、加藤典洋の考え方をもう少しだけ紹介しておきましょう。

 

 

原爆投下などについても日本人がアメリカを批判してはならない雰囲気があるのは、対米従属が空気の様に当たり前になっているからだと加藤は考えています。彼のこの著作の目的の一つは、日本を対米従属から独立させることを模索することに他なりません。

 

 

加藤の日本独立論のエッセンスは、国連中心主義という一種の国際主義に立脚する事により、「徹底的な対米従属志向かそれとも反米独立主義か」という従来のジレンマを避けることにあります。国際主義あるいは国際協調といった概念は、アメリカへの追従を意味しないのだと加藤は強調するのです。「国際社会への協調路線 ≠ 対米追従路線」というわけです。そして、そうする事により、国際社会のなかで誇りある地位を保ちながら、日本の誇りをも同時にうち立てようとします。加藤の国際主義は国連主義ですから、アメリカ社会と対等な関係を築くことは可能です。また、国際社会と対立するような復古的右翼的ナショナリズムからも区別されることになります。

 

 

政治的イデオロギーとしては、復古的な右翼ナショナリズムに回帰するのを防ぐとともに,改憲(=憲法9条改正)と軽武装を提案しており、従来の日本の左翼リベラルからも一線を画しています。左翼にも右翼にも満足できない人には、興味深い一つの選択肢ではないでしょうか。

 

 

新書本にして600頁以上もあるやや分厚い本ですが、平易な日本語で読みやすいと思います。さすがに誰にでも読むことを薦めたりはしませんが、東大・一橋・早慶の政治学、経済学、法学などの文系の難関大学を受験する高校生ならば、ぜひ読んでもらいたいと思います。英語の自由英作文や、慶應の小論文対策にも役立つことでしょう。

 

 

なお、加藤典洋の村上春樹論もなかなか面白いですよ。私自身は、『村上春樹の短編を英語で読む1979~2011』を大変興味深く読みました。現在は、『村上春樹は、むずかしい 』(岩波新書) を読んでいるところです。

 

 

 

別の書き手によるあとがき

 

そういえば、ちょうど昨日(2016年8月6日)もNHKスペシャルで『決断なき原爆投下』と題した番組が放映されていて、わが子と一緒に見ました。

 

当時の原爆開発担当者や軍の思惑と、そしてそこからは少しずれていたトルーマン大統領の当時の心情とが赤裸々に書かれた記録が紹介され、トルーマンという人にも人間的な情の部分が実はあったのかと、今までのイメージと少し変わりました。また、投下場所を決定する際の彼らのやり取りの中で、「京都に落としてしまったら多くの一般市民が犠牲となり、その後の日本人の反米感情を考えると、京都はない」といった場面も非常に興味深かかったです。

 

特筆しておきたいのは、当時の彼らアメリカ人も、戦後の日本人の反米感情を危惧していたのだということです。ところが、あれだけひどいことをされながら、反米感情どころか心の底から慕っている今の日本人に、彼らはきっとほっと安堵しているのでしょうね。めでたしめでたし。

 

 

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2016/08/05

オバマ大統領の広島演説に吠える!

 

 

8月になりました。先日のブログでオバマ大統領の核廃絶に関する演説の一部を取り上げましたので、それに関連して今回は広島でのオバマ大統領の冒頭部分を少し取り上げて、ちょっと公開授業をしてみましょう。生徒は中2のAさん(架空)です。

 

 

 

オバマ大統領広島演説冒頭部分

 

Seventy-one years ago on a bright, cloudless morning, 

death fell from the sky and the world was changed. 

 

A flash of light and a wall of fire destroyed a city, and 

demonstrated that mankind possessed the means to destroy itself. 

 

非常によく練られた、といいますか、「考えたな」という‟工夫”が感じられる文章ですね~。

 

先生「はいAさん、最初の文にはandがありますが、これはどことどこを等位接続していますか?」

 

Aさん「death fell from the sky とthe world was chagedという節と節を等位接続しています。

 

先生「正解!では訳してみてください。」

Aさん「71年前、明るく雲一つない朝、死が空から落ちてきて、世界は変えられた。」

 

先生「よろしい。で、このdeath(死)とは何を指しているんですか?」

Aさん「原子爆弾のことですよね!?」

 

先生「正解!」

Aさん「でも先生、原子爆弾って勝手に空から落ちてくるんですかぁ?」

 

先生「んなわけないでしょ、あなた。公開授業だからって、んもう、なかなかいい突っ込みするんだからぁ、先生うれしい!」

 

 

 

先生「で、the world was changed.の文の形はなんですか?」

 

Aさん「はい、これは受け身の文です。でも先生、受け身の場合よく後ろの方にby~って、行為主体者が出てきますけど、これにはありません。確か、一般の人々だとか、不特定多数の人々の場合には省略されるって習ったんですけど、この場合もそういうのですか?」

 

先生「どう思う?」

Aさん「・・・。」

 

先生「受け身の文の場合、by~というところを省略すれば、いくらでも犯人、じゃなくて、行為主体者を隠す、という文を作ることができるということですね。自分に非があるけれどそれを隠したい場合=犯人隠しをしたい場合にはどんどん受け身の文を使いましょう!・・・はい、では次の文を訳してください。」

 

Aさん「閃光と炎の壁が、ある一つの都市を破壊し、人類が人類自らを破滅させる手段を手に入れたということを証明した。」

 

先生「よろしい。カンマの後ろのandはどことどこを等位接続してますか?」

Aさん「destroyedとdemonstratedというところ、動詞と動詞を等位接続していま~す。」

 

先生「よろしい。では共通の主語があるということですね、共通の主語は何ですか?」

Aさん「はい、a flash of light and a wall of fire です。」

 

先生「そうですね。」

Aさん「ってことは先生、閃光と炎の壁が、人類を破滅させる手段を手に入れたということを証明した、ということになるんですね?」

 

先生「そういうことになるね。」

Aさん「なんだか文学的な表現というか、比喩的というか・・・、凄く恐ろしいことを美しくまとめたような文章ですね。」

 

先生「あらあなた、なんて鋭いことを言うの。いい感性してるわね。じゃあさらに、同じことを他の言い方もできるという勉強もしてみましょう。

 

ちょっとネットで検索していると、Miami Heraldという新聞の記事の中にこんな表現があったのよ。

 

 

 

Nearly 71 years after the United States dropped the world’s first atomic bomb, President Barack Obama made an unprecedented journey here to offer a solemn tribute to the tens of thousands of victims and to amplify his quest for a world without nuclear weapons.
(Read more here: http://www.miamiherald.com/news/nation-world/world/article80257192.html#storylink=cpy)

 

下線部分に、「アメリカが世界で初めての原子爆弾を落とした約71年後に~」とあるわよ。

 

 

The washington Postにもこんな文があったわよ。

 

President Obama became the first sitting U.S. president to visit Hiroshima Friday. Nearly 71 years after the U.S. deployed an atomic bomb on the Japanese city, Obama called for an end to nuclear weapons and offered respects to the victims. 

 

deployという単語は「~を配置する、活動させる」といったような意味ですので、まあ、やはり上と同じような表現になっていますね。

 

つまり、(・・・オッホン、ここはあくまでも英語の授業らしく)オバマ大統領の演説では、the U.S.という主語とan atomic bombという目的語を使わない表現を、ーですから当然動詞も自動詞の表現をー(敢えて)なさったということですね。当事者でありながら非常に距離をおいた表現で、巧妙にごまかしています。(しつこいかしら?)

 

しかし当時の日本の新聞等の報道によると、多くの広島市民、そして多くの日本国民はオバマ大統領のあの美しい演説を歓迎し、中には感動の涙を流す人々も少なくなかったとか・・・(一体何に感動したんだろうか?)

 

余談ですが、例えば、キューバの革命家チェ・ゲバラは革命政権成立直後に広島を訪れ、「君たちはアメリカにこんなひどい目に遭わされて、怒らないのか」という言葉を残されたそうです。(はい、日本人はみんな(正確には「多く」が)温和な人種なんです、はい!)

 

 

次は広島ではなく、長崎の被爆者、谷口稜曄(すみてる)さんの数年前の言葉です。(谷口さんは長崎原爆投下で背中に大やけどを負い、その写真は長崎原爆を象徴する代表的なものとなっています。)

 

 

(私にとって)「生きる」とは「苦しみに耐える」ことに他なりませんでした。私たち被爆者は全身に原爆の呪うべきつめ跡を抱えたまま、苦しみに耐えて生きています。 」

 

 

生きるというのは誰にとっても苦しいことがあるのでしょうが、谷口さんのような方が口になさる「苦しみに耐えて生きています」というその言葉の重み・決して癒されることのないその苦しみを思う時、私個人としては、あのオバマ大統領の、美しく整えられた言葉をどうしても受け入れることが出来ません。

 

 

おいテメエこの野郎、ごまかすんじゃねえぞ、とヤジの一つも飛ばしたいくらいです。

 

原爆資料館を見ることもなく、前もって用意されたあんな美しい言葉で延々と核廃絶を訴えられても、虚しいばかりで、怒りも悲しみも全く癒されませんでした。あんな時間があるならば一分でも一秒でも長く原爆資料館に身を置き、オバマ大統領がおっしゃるところの、雲一つない晴れ渡った朝に起こしてしまった、あまりにも非道な、残酷極まりない暗黒の世界に、自らの身を置いて欲しかったです。

 

炎や熱風に襲われて、見る影もないほど真っ黒焦げになってしまった人々、水をくれ助けてくれ、と苦しみ喘ぎながら逝ってしまった人々の無念、今なお原爆の爪痕を背負わされながら生き続けている人々の、筆舌に尽くせぬその人生の苦しみを、少しでもいい、オバマ大統領の心に重ねて、そして傷んでほしかったです。

 

普通の神経を持った人ならば打ちひしがれるはずです。そのオバマ大統領の姿を見せてくださった方がよほど心が(少しは)救われたと思います。

 

 

 

・・・あら、Aさん、ごめんなさい、私熱く語りすぎてしまったわね。ちょっと途中でうっかりお下品な言葉まで出ちゃったけど・・・。でも、世の中の様々な出来事を題材に勉強するってこと、大切よ。それが本当の勉強よ。机の上でばかりベンキョウしていても、薄っぺらい知識しか身につかないのよ。(っていうか、身につくか?)広島長崎の原爆資料館なども是非訪れてみて。あなたの人生観そのものが変わるかもしれないわよ。」

 

Aさん「zzz…」

 

(終わり)

 

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2016/07/22

英検2級2次も合格!-中3 Sさん

先日英検2級の1次試験に合格した当英語塾の生徒ー中3のSさんが、2次試験も無事合格しました。

結果をアップしておきます。

 

 

英検2級 2次試験結果 saki nariya

 

 

 

 

※分野別得点とその評価のポイント

 

英検2級 2次試験 成績表

 

 

 

上の成績表によると、合格基準460のところを550/650ポイントとれています。下の成績表によると、リーディングが5/5、Q&Aが24/25、アティチュードが2/3となっていますので、スコアでいうと100ポイント満点より下ということになっています。配点としては-2点、ほぼ満点です。

 

いずれしても、準1級の合格基準が512ということで、スピーキングに限って言うと、準1級レベルを超えているということになるようです。

 

前回の記事にも書きましたように、この生徒は英語学習歴がまだ2年と数か月ですから、圧倒的に単語数が不足していますので、それが今後の課題とはなります。しかし、スピーキングに関して言うと、当英語塾の学習戦略が非常に功を奏しているといえると思います。

 

私たちの指導の自信にもつながる非常に素晴らしい結果を出してくれました。

 

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2016/07/14

英語学習とは言葉と格闘すること

当英語塾では、まずは文法をしっかりと理解・定着することを目標とします。そして、なぜそうなるか、を生徒自らの言葉で説明することを授業内で求めます。例えば、一つ一つの英文を読んだ時、その英文のポイントは何なのか、例えば、「現在完了形・~用法の文です」とか「不定詞・何用法の文です」といったように自らがその英文のポイントを押さえて読むことを求めています。(単純に、文法として学習している時はできても、長文の中である一文を抜き取って文法的なポイントを説明するよう求めると、意外と自分の言葉で説明できないことは多いです。)

 

更に早いお子さんですと中2あたりから徐々に長文読解をするようになりますが、文法的理解に加えて、文脈にふさわしい解釈ができるかどうか、が問われます。例えば、野球をしているある一人の生徒が、顧問の先生からこんなことを言われます。

 

You didn’t play well at Friday’s practice,did you? Alex will play for you in the next game.

 

この時のforをどう訳したらよいでしょうか?大抵forというのは「~のために」という意味のことが多いですから、この場合も「アレックスが君のために次の試合でプレイします。」と訳してしまいがちです。しかし、待ってください。それで本当にいいですか?「君のためにプレイする」って一体どういうこと?変じゃない?

 

この場合は、顧問の先生から「君は金曜日の練習で出来が良くなかった」と言われているわけですから、

「次の試合では君は試合には出られないよ、君の代わりにアレックスが試合に出るよ」と宣告されているわけです。そういった場面を頭の中で立体的に立ち上げながら英文を読んでいかなければ、正しく話を理解することができません。

 

では次の英文はどうでしょうか?「核兵器廃絶」に関する英文の一部です。

 

In 2009 U.S.President Obama said that his administration would seek the peace and security of   a world without nuclear weapons.

 

青字の部分without nuclear weaponsを直前の名詞a worldにかけるのか、はたまたseek という動詞にかけるのか、で意味(訳)が変わってきます。しかしそもそもそういった試行錯誤もせず、安易に「核兵器なしに世界の平和と安全を求める」と訳して涼しい顔をしている生徒が多いです。

 

これは二つの点でダメです。一つは、全く何も考えずに、つまりは意味を吟味もせずにただ訳しているだけということ。もう一点は、ある種の非常に常識的な社会認識・語彙(ちょっとした中高生なら当然知っているべきこと)が欠けているということ。

 

まずは、こんな風に試行錯誤するべきだし、して欲しいという「試行錯誤の模範例」を示してみましょう。

 

In 2009  U.S.President Obama said that ・・・ うんうん、「2009年にアメリカのオバマ大統領がthat以下と言った。(なんて言ったんだろう?)」

 

his administration would seek the peace and security of a world

「彼の(オバマ)政権は、世界の平和と安全を求めるつもりだ」(うんうんいいね)

 

without nuclear weapons.

ここは、一体どこに係るんだろう?

1.仮にseek に係るとすれば「核兵器なしに世界の平和と安全を求めるつもりだ」となる。

 

「核兵器なしに世界の平和と安全を求める」ってどういうこと?

 

「核兵器なしに世界の平和と安全を求める」ということは、核兵器を使わずにということ、つまり、「通常兵器とか毒ガス、殺人ロボットを使って世界の平和と安全を求める」ということ?しかしなんか変だな。そんなことをアメリカの大統領が言うのかな?言いそうな気もするけど・・・アメリカだし・・・・でもこの人、なんかノーベル平和賞とかもらったんじゃなかったっけ?そんな人がこんなことを言うのかな???

 

2.a worldに係るとすれば、「核兵器のない世界の平和と安全を求めるつもりだ」となる。

 

核兵器のない世界の平和と安全」うんうん、世界の平和と安全のために核兵器のない世界を目指すってことね、こっちの方がノーベル平和賞をもらった人の発言としてはぴったりの気がする!ということは、a worldにかけて、a world without nuclear weaponsが一つの塊なんだね。

 

と、これくらいの試行錯誤はしてほしいと思うのです。

 

当英語塾は1:1のマンツーマンですから、上記のようなことをお子さん一人が全て自分で考えて答えなければならないわけです。非常にハードだと思いますが、思考力だけでなく言語能力(表現力)も非常に鍛えられます。

 

英語学習とはつまるところ、「言葉力=日本語力を鍛える」ということなのだ、英語学習を通して実は、日本語の運用能力を鍛え、自分の持つありとあらゆる知識を動員して思考力を鍛えているのだ、という言い方もできるかと思います。

 

 

尚、先日オバマ大統領が来日し広島で演説もなさいましたので、「核なき世界」という言葉が少しは生徒たちの中にも浸透していることを願いますが、新聞やテレビ番組などを通じて、そういった概念・語彙にすでに馴染んでいるお子さんですと、上記の英文などなんでもない。a world without nuclear weaponsが一つの塊、「核なき世界(の平和)」という言葉が当然のこととして出てくるはずです。が馴染んでいないお子さんにとっては躓く障害の一つとなりえます。ただ、そういった言葉を知らなくても、ちょっと立ち止まって常識に照らして考えてみればわかることのようにも思います。いずれにしても、英語をただ勉強するだけでは英文は正しく読めないということの一つの例としてもご理解くださればと思います。

 

 

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2016/06/27

英検2級一次合格!(中3)

当英語塾の中3生が新しい採点方法になった英検2級を受けてまずは一次試験に合格しました。


参考までに成績表も併せてアップしておきます。

 

 

eiken_2grade 2016_6 ns.2

 

この機会に英検2級に合格するためのポイントを簡単にまとめておきましょう。

 

1)単語問題は長文読解でカバーする

 

この生徒が英語の学習を始めたのは小6の2月から。といっても、それまで全く英語学習の経験がなかったので一つ一つ単語の勉強から始めたという状況でした。ですので本格的な英語学習歴としては2年ちょっとということになるかと思います。

 

英語学習歴が短いですので、英検2級合格に必要な英単語力がどうあがいても足りませんでした。英検2級の単語問題はかなりハードルが高く、2級の英語長文を大方理解して読める生徒にとっても、単語問題はまた別物として難しいのです。この生徒の場合、自己採点の結果、なんと単語の正答数は20問中6問(たった3割!)という悲しいものでした・・・(笑)頑張ったのにね!

 

しかし、単語の正答率は3割なのに、単語と長文問題を合わせた分野(リーディング)の得点率(スコア)は7割以上となっています。これは何を意味しているかといいますと、これまでのように、単語も長文問題も一律1点という採点方法からスコア表示に変わりましたので、詳しい採点方法はわからないのですが、単語の配点と長文問題の配点の比重を変え、より長文問題の配点比重を高くしたということだろうと思います。つまり、中学生だとか英語学習歴が短いお子さんが英検2級にチャレンジする場合は、単語問題の正解率の低さは、長文読解問題でカバーできるということなのです。読めれば、という条件付きですが・・・(ちなみにこの生徒の長文だけの純粋な正答率は8割以上あったかと思います。)

 

 

2)英語長文をしっかりと読めるようにする

 

英検の試験問題は記号選択式が中心なのですから、長文問題についても、消去法と勘で、意味が正確に分からなくても○になることが大いにあるわけです。しかし私たちはそういう読み方には否定的ですし、そういうセコイやり方で合格してもその実力があるとは認めていません。

 

私たちが特筆したいことは、この生徒の場合、英語長文をしっかりと真正面から読めていたということです。中3になりたてのこの時期に、わずか2年あまりの勉強ででこれだけの英文を、やっとこさーではなく、感心するほどきっちりと読めていました。いくらやっても限界などありませんから、まだまだこれからですが、それでも充分自信を持ってよいと思います。

 

なぜこんなことを書くかと申しますと、普段生徒の皆さんと英語長文を読んでいると、まず、文法的に読めていないというのは問題外として、文法的には読めているのだけど、「結局それってどういうこと?」という質問には答えられないということがよくあります。それでは、英文を本当に読めている(理解できている)ことにはならないわけです。

 

早い段階から当英語塾で学んでいる生徒たちには、しっかりと長文を読める実力を身に着けてからの英検受検をお勧めしています。(「英語長文をきっちりと読めるようになるために必要な力」ということに関しては改めてまた書きます。)

 

3)ライティング問題対策には新聞を読む習慣を

 

多くの方々が気になっているのが、新しく導入されたライティング問題に関してでしょう。以前は単語の並び替え問題だけだったのですが、2016年度からは、「ある問題について賛成か反対かを述べた後でその理由を二つ挙げて80-100単語の英文を書く」ことが求められるようになったのです。

 

2016年第一回の問題は、「Tシャツやジーンズで出社可能な会社が出てきたが、今後こういった会社は増えると思うか」という内容の問いについて、英語で自分の考えを述べるというものでした。(もちろん問題文も英語です。)

 

ある学校の関係者に聞いた話ですが、今回受けた帰国の生徒さんの中には、「想定していなかった質問で驚いた」という感想を持った人が何人もいたそうです。

 

うーん、そうですかねえ? 「会社」の話題が振られたので、何を書いてよいのか皆目見当がつかなかったということなのでしょうか。けれども、ちょっと考えてみれば分かると思いますが、「学校に制服があった方がよいと思うか」といった、既に手垢がついてしまったような議論の延長線上にあるのではないでしょうか。「学校」という場面設定が「会社」という場面に変わっただけのことです。しかし、あまり普段から考える習慣がない場合は、場面が自分と直接関係のない世界に変わってしまうと途端に思考停止に陥ってしまいがちになるのではないでしょうか。

 

しかし、ライティング問題の採点自体は非常に甘いものだろうと想像しています。普通に「意見→理由→結論(まとめ)」の単純な流れの型が作れていて、それなりに何か二つの理由が書けていれば恐らく8割方とれるはずです。スペリングミスや文法ミスで失点するだけでしょう。

 

ただし「ある問題について自分の意見が言えるかどうか」は個々人の差が表れるとことろでしょう。ライティング問題の本当の難関はみなさんの思考力に負うところが大きいのです。大げさに言えば、生活のすべてが影響するといってもよいでしょう。つまり、身の回りの様々な問題に常に関心を寄せ、自分はどう思うか、自分はどうするか、そういったことを常に考える習慣がある人とない人とでは、大きな違いが生まれるということです。考える習慣がある人にとっては、むしろ今回の変更はありがたいことですね、特に大仰な対策をする必要がないわけですから。

 

 

皆さん、新聞は読んでいますか?ほとんどのお子さんが新聞も読んでいないようですので、当英語塾ではなるべく新聞くらい読むようにお願いしてあります。いきなり大人の新聞は難しいという場合は、『朝日中高生新聞』などをお勧めしています。(普通の中学生に『日経』を勧めたりしないでくださいね。)

 

それからできれば親御さんも一緒に読んでください。子供にだけ「読め読め」といっても無理なのかもしれません。親子で読んで、何か面白そうな記事を取り上げて一緒に話しあいながらお食事をしたりというのはどうでしょうか。こういうのも習慣の一つですし、親御さんにとってもよい勉強になるのではないでしょうか。

 

※もう一つの注意!英検2級取得は単なる通過点でしかありません。中2あたりまでに当英語塾に入塾なさっていれば、中3あるいは高1で実力の伴う英検2級合格が可能でしょう。しかし、その時点が「本当の始まり」なのだということ、それを忘れないでいただきたいと思います。

 

 

 

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