今回は、私立高校1年生AN君が読んでみた2冊の本を紹介します。
一冊はすでに一度紹介しました、学習者向けオリジナルストーリーの傑作 Help! です。もう一冊はアメリカの児童文学作家のLouis Sachar (ルイス・サッカー)が書いたMarvin Redpost君のシリーズのNo.5である Class President です。
HELP! はすでにN.S.さんの文章で紹介しましたが、当塾では一番のおススメ本の一つです。
AN君はつぎのように書いてくれました。
help!(by AN) [全体的に文法も簡単で読み易く長編でもないので日本人の立場からするととってもとっかかりやすいかったです。そして、展開も起伏に富み、ただのコメディだと思っていると突然非現実的な現象が起きてなんだろうともやもやしますが、最後にタネが分かって「そういうことか!」と非常にすっきりと読み終えられました]
さて、いよいよ ルイス・サッカーの作品です。ルイス・サッカーというアメリカの児童文学作家は、我々英語学習者にとって、ロアルド・ダール と並ぶべき大恩人です。ダールの作品はブラック・ユーモアが特徴ですから、時には議論も呼ぶと思われる箇所もありました。一方、サッカーは進歩的な正義感に基づくヒューマン・ストーリーが基軸となっており、どの子供にも安心して読ませることができる作品ばかりです。サッカーの作品の最高傑作といえばニューベリー賞受賞作のHOLES(=幸田訳『穴 holes』、映画版 シガニー・ウィーバーほか出演「穴 / HOLES」)で、日栄社の『集中2週間完成 英語長文(高校上級用)』にも、その冒頭部分がそのまま使われています。もしかしたら、大学入試にも使われたのかもしれません。しかし、やや語彙が難しすぎます。残念ながら、英語多読作品としては、あまりお勧めはできません。
高校生には、ルイス・サッカーのMarvin Redpostくんのシリーズをいつも薦めています。主人公のMarvin Redpost君が小学校三年生のため、語彙が限られているからです。(ちなみに『エルマーの冒険』の主人公も小学校3年生で、こちらも大変読みやすくてオススメです)。この本に感心させられるのは、日本人の子どももアメリカ人の子どもも、同じような問題でや悩んでいるのだな、人類共通なんだなと感じさせてくれるところなのです。長さも60頁くらいなので、飽きません。
今回AN君が紹介してくれたのは、No.5のClass Presidentです。マーヴィン君たちの小学校に本物のアメリカ大統領が訪問するという話です。
AN君は次のように書いてくれました。
「これも文法はそれほど難しくなく長さもちょうど良く読みやすかったです。ストーリー的には個人的にもうちょっと刺激が欲しいと思いますが、面白かったです」
率直な感想ありがとう、AN君。たしかに高校生には、ワクワクさせられる内容ではないかもしれませんね。やはり、Help!のが面白いのでしょう。とはいえ、いろいろな英語の本が当塾にはありますから、好みのものを探して欲しいと思います。『ヒカルの碁』の英訳Hikaru no go などはどうでしょうか?
今回の記録・紹介されている本は、Oxford Bookworms Libraryの中ではちょっと異色なのですが、一種の旅行ガイドブックです。タイトルがJapanです。つまり、日本の紹介本なのです。わずか400字レベルの単語で、現代日本の(旅行)ガイドになっているというわけです。物語とは異なる英語読み物ですが、これはこれで面白い作品となっています。塾生が気になる国や都市があったならば、当塾でもこのシリーズの別の本も集めてみようかと思っています。
あらすじ:日本の文化・歴史についての説明。お花見やお祭り、茶道などの日本の文化についてや、東日本大震災からの復興について書いてあった。
Story:This book is about Japanese culture and history. It was written about Japanese culture, for example Ohanami, Omairi, Sado. And restoration from Higashinihon Daishinsai.
中学2-3年生である程度英語長文が読めそうだなという生徒に是非とも勧めたいのが、Help!という英語学習者向けのオリジナル・ストーリーです。オリジナルだから、短いページ数なのに無理のない展開で、読者の興味を吹き付けてくれます。レベルは、Cambridge English ReadersのLevel 1 です。
Help! Level 1 (Cambridge English Readers) Prowse (著)
今回も、中二のNSさんが、またしても、英語と日本語で書いてくれましたよ。
Help! (written by NS, 中2、2015年)
あらすじ: 作家が主人公の物語。その作家は、コンピュータを嫌い、いつも原稿は手で書いていた。あるとき、彼は出版社に半分までできあがった作品を見せると、コンピュータで書いていないことに出版社は驚いた。と、出版社は彼にコンピュータを贈呈した。嫌々彼はコンピュータで作品を書いてみた。すると驚くほどコンピュータは使いやすいのであった。しかし、せっかくコンピュータを気に入りだしたというのに、コンピュータの中から女性が出てきて勝手に本の内容を変えられてしまったり。。。
Story: This is a story about a writer who dislikes computers, and always writes novels by using pens. When he showed a publisher his novel, the publisher was surprised that the writer did not write it by using a computer. So, the publisher gave him a computer. He reluctantly tried writing his novel with the computer, but he felt it was very easy to use!
He came to like it, but some accidents happened.
Louisa May Alcott, Little Women (Penguin Readers, Level 1) (邦訳タイトル『若草物語』)
有名な『若草物語』ーーアメリカの南北戦争を時代背景に、姉妹たちが活きる姿を描いた作品ーーのPenguin Readers版リトールドです。日本語では『若草物語』というタイトルで知られているものです。そして、この英語retold本は、もっとも容易で読みやすいものの一つで、中学2-3生にも勧められます。カバーは、映画版の写真を使ったものです。今回も、中2のNSさんに感想を書いてもらいました。中学生ですが、本人の強い希望もあり今回も英作文してもらいました。
あらすじ:父親が戦争に行ってしまい貧しくなった5人の姉妹についてのお話 (written by 中2 NS)
妹たちは父親と一緒に暮らせないことや、貧しくて欲しいものが買えないことを姉たちに吐いていた。そんな中、小さなパーティをしたり新たな友達もできたりと楽しいこともあった。
Story:This is a story about poor 5 sisters whose father went to the war. Younger sisters often got angry because they were not able to live with their father. They were poor, so they weren’t able to buy things that they wanted. But they were able to enjoy holding party and playing with their new friends.
シリウス個別英語指導塾です。
ウチの生徒には、ある程度文法力がついたら、英語をどんどん多読をするように勧めています。
たとえば、オックスフォード大学出版などから出ている Oxford BookwormsやPenguin Readersなどです。これらのGraded Readersは、文法や語彙が制限されていて読みやすくなっています。
あるいは英米等の子ども向けの本ですね。Roald Dahlの易しめの本(たとえば、The Magic Finger), C.S.Lewis のThe Lion, the Witch and the Wardrobe (『ライオンと魔女』)、Saint-Exuperyの英訳版『星の王子様』(The Little Prince)、Ruth Stiles Gannettの My Father’s Dragon (『エルマーの冒険』)の三部作、Louis Sachar(ルイス・サッカー)の Marvin Redpost シリーズも良いですね。中学生3年くらいから読めるようになるはずです。
ただし、それでも少々難しい単語がある場合があります。そこで当塾では、めぼしい難しい単語については、意味を書き加えるなど、読書の配慮をしています。( Marvin Redpost君のシリーズ(Louis Sachar)については、ほぼ全冊の訳注をつけました)。
そうそう、日本の漫画の英訳モノのmangaも忘れていはいけませんね。もちろん、高校2-3年生くらいになれば、ネイティヴの大人向きの本なども読めるようになります。Oxford University Pressの Very Short Introduction のシリーズはとくにお薦めです。すでに何人かの生徒(現・卒業生)に、Philosophy of Science, The History of Life などを一部読んでもみてもらいました。
塾生に英語読書を勧めてみると、心構えができる生徒は、本当にどんどん読んでくれます。英語を読んでみたいという気持ちがあるからなのですね。そこで一歩進んで、英語の本を読んできた生徒たちに、ちょっとした感想やら印象を書いてもらい、それをブログという形で記録することを決めました。なかには張り切って英語で書いてくれる生徒も現れました。嬉しい限りです。
どうぞよろしくお願いします。