
昨年末のブログで「英語力を養成するためには論理力が必要だ」ということを書きました。では、その「論理(的に考える)力」とは一体どうやって養ったらよいのか、あるいは、養われているのか、について率直に答えを書いておきたいと思います。
端的に言ってしまえば、論理力を身に着けるために一番手っ取り早いのが
数学を勉強する、ということです。
既に何度も述べてきていることですが、英語のネイティブスピーカーではない者が高い英語力を習得するためにまず必要な力は、なんといっても「文法力」です。文法とは言語表現におけるルール=公式です。ですから、まずはそのルール=公式をよく理解して、その公式に則って単語を当てはめたり変形させて運用していくという作業が必要になります。
これが、特に基本レベルの数学の勉強をする際に使う思考回路と似ています。
数学の基本レベルでは、様々な公式を理解して覚えたら、それに則って数字を当てはめて計算をしたり、問題を解いていきます。扱う記号が違うだけで英語も同じ道筋をたどって、同じ思考回路を使っています。
もちろん、基本レベルですから、数学が苦手な人でも公式を覚えてそれに数字を当てはめればなんとか答えは導けます。しかし大事なのは、その過程であるということも強調しておきたい。つまり、その公式をしっかりと理解して主体的積極的に運用しようとしている人ととにかく公式を丸暗記してただひたすら数字を当てはめているだけの人がいるということ。前者が数学が得意な人で、後者が苦手な人。こういった、基本レベルでの勉強への姿勢が、思考を柔軟に鍛える度合いに大きく影響するのだな、と生徒の皆さんから学ばせてもらったことです。
数学が得意な人にとっての「公式」と、数学が苦手でいやいや勉強している人の「公式」は、違った姿をしているのではないか、違う見え方をしているのではないでしょうか。数学が得意な子にとっての「公式」は自由自在に応用が利く有機体、苦手な子にとっての「公式」はただその形としてとどまっている無機質な個体。
以上の構造が全く英語にも共通する構造で、同じ英語の「文法」=「公式」でも見え方、感じ方が人によってそれぞれ違っているのだろうと感じます。
その公式を使って、いろんな形が作れて、いろんな場所へ行ける=いろんな表現ができるんだ!とワクワクしながら英語と接している人と、とにかく一生懸命真面目~にその公式を覚えて、ひたすら単語を当てはめて、と眉間に皺寄せて必死になっている人がいます。
数学が好きだったり得意な人にとっては、英文法の考え方、問題の解き方は、無意識に、あるいは容易に、数学を勉強する感覚とつながっていくのでしょう。だから特に当塾のように、英文法の理論を「論理的に」教えてあげると、「なんだ丸暗記しなくても考えたらわかるんだ」ということに気づいて、気楽になるし、楽しくなるんですね。
ですから、「数学が得意な人は英文法が得意になる」割合が高いのです。
数学力と英語の文法力の間には相関関係があると言ってよいと思います。
ですから、高い英語力を身につけたかったら、数学を主体的に勉強することが、まずは前提条件です。バリバリの理系ほど出来る必要はありません。が、数学は嫌いじゃない、苦手ではない、程度の力がなければ、なかなか英語の勉強にも苦労することが予測されます。