ちょっと前までは英検準一級はかなり難しいテストでした。東大や早慶を本気で目指す高校生がなんとか合格できるかどうかというレベルで、日本育ちの普通の高校生にとっては一番難しい英語資格試験だったのです。この試験に合格しても直接大学受験には関係ありませんでしたが、当塾としても大いに推奨してきたものです。
ところが2020年ごろから、英検準一級がガクンと易しくなりました。どれくらい易しくなったかといいますと、東大や早慶はちょっと無理だろうなという高校生でも合格できるくらいに、つまり、GMARCHや北大・筑波大志望者が合格できるくらいのレベルまで易しくなったのです。今回は、英検準一級がどのように易化したのかを少々掘り下げてみましょう。英検はご承知のとおり、一次試験で「読む」「聴く」「書く」の能力を、二次試験では面接で「話す」能力を試験します。ここでは特に「読む」と「話す」「書く」に注目してみます。
「読む」またはリーディングの試験の易化
かつての英検準一級の最大の難所は「読む」(リーディング)の分野でした。この分野は語彙力と英語長文読解の選択問題からなっていますが、どちらも高校生にとってはかなり難しい問題でした。とくに語彙(単語)の問題は、東大等の難関国立大学志望者にとっても少々難しいものでした。東大等の国立大学の入試英語は、早稲田・慶應のような私大英語と比べると易しめの英単語しか出てこなかったからです。つまり、英検準一級に合格するためには、早慶レベルの高度な英単語をガッチリと覚えなければなりませんでした。
ところが2020年くらいからは、難しい単語が語彙試験で出題されなくなります。英語長文問題に出てくる単語も易しくなりました。英検準一級がGMARCH等の受検生にも取っ付きやすくなった最大の理由は、「読む」(リーディング)の試験の易化にありだと言っても良いでしょう。
ですから、英検準一級に受かるには、GMARCH対策用の英語長文問題集、たとえば『英語長文レベル別5』(東進ブックス)や『関正生の英語長文ポラリス2』(kadokawa)といったものをしっかりとこなしていけば良いという風になったのです。
尚、英検準一級対策の単語集として定評のある『英検準1級 でる順パス単』(旺文社)ですが、2021年6月には5訂版が登場しました。この新しい英検準一級対策の英単語帳も、大幅に難易度を下げたようです。最近の英検準一級の試験に出てくる単語が易しくなったので、英単語集もそれに対応して易化したということのようですね。なお、アマゾンの読者レビューも参考になりますので、ご興味がある方はお読みください。
「書く」またはライティングの試験の甘い採点
英語を「書く」(ライティング)、つまりいわゆる自由英作文の分野なのですが、日本人英語学習者にとっては、本来は最も難しい課題の一つです。自由英作文の課題は、たとえば「大企業は社会に好ましい影響を与えているという見解について、あなたの考えを論じなさい」(2021年第一回)といった少々お堅いテーマについて、120〜150単語で論じるものです。大学入試で言えば、早稲田大学政経学部、一橋大学、慶應大学経済学部でも出題されそうな、非常に難易度の高い問題です。普通に考えると、日本語でも少々手こずる人が多いでしょう。
これらの問題について、もしまともに対策するとしたら、大矢復『大学入試英作文ハイパートレーニング自由英作文』(または成田あゆみ『自由英作文編・英作文のトレーニング』)とロゴポート『最短合格! 英検準1級 英作文問題完全制覇』の2冊をマスターすべきでしょう。(このとき大矢または成田で英語の書き方を学び、ロゴポートで書くべき英文を覚えてしまうことが望まれるとも付け加えてアドバイス出来るのかもしれません。)しかし、現実には、これらの自由英作文の参考書を独学でこなすのはほとんど不可能です。そればかりか、英語の書き方を解説し、かつ生徒の英文を丁寧に添削してくださる先生に恵まれたとしても、選ばれた高校生でないと太刀打ちできないかもしれません。
ところが、なぜか不思議なことがあるのです。理論的には上記のようにライティングは非常に難易度の高いテストですが、実際の英検の「書く」試験ではかなりの高得点を期待できるのです。
採点基準は公開されていませんが、とにかく非常に甘い。(←これは、今に始まったことではなく、ずっとそうです。)当塾の生徒さんの場合も得点率が93%やら100%だったりします。彼らの書いた英文の添削指導をしている立場からするとちょっとビックリなのですが、確かな事実です。おそらくは英検の「書く」(ラィティング)の試験は、英検側が受検者に随分と下駄をはかせてくれる仕組みがあるように思われます。
ですから、完璧主義や不安感は捨てて英検に挑戦するのが良いようです。英文法ミスやスペリングの間違いにさえ気をつけていれば、ある程度支離滅裂な文章を書いたとしても、高得点の可能性があるからです。
なお、当塾の生徒さんに自由英作文の添削を2-3ヶ月実施したところ、「書く」(リーディング)の試験で前回78%だったのが、93%まで急上昇しました。その結果、前回は英検準一級の試験で不合格だったのですが、今回の試験では英検準一級の上位合格者となり、CEFR判定で「B2」を得ることも出来ました。「B2」というのは、「B2:実務に対応できる者・準上級者」と評価される英語使用者ということです。受検者からみればビッグ・チャンスですね。高校生のうちに、将来の英語実務者レベルと評価される得点をとってしまうのも悪い考えではありませんね。
ただし、有頂天になるのは禁物です。少々英検の試験の採点が甘すぎるということは、くれぐれも忘れないでほしいと思います。この甘い採点を利用できるときにうまく利用できてラッキーくらいに考えてください。とはいっても、念の為に付け加えておきますと、「書く」で93%の得点を取った生徒さんは、河合塾の全統記述模試では、コンスタントに偏差値70以上の成績を取れるくらいの英語力はあります。以前の準一級のレベルは、河合の模試で偏差値70あるところがスタートライン、そこから更に単語や読解の研鑽を積む必要があったのですが、今はそれくらいあれば割と合格しやすいということのようです。
「話す」またはスピーキング試験も甘い採点
「話す」試験は、ある意味では英検の最大の売り物です。大学入試では国公立大学でさえ「話す」能力の試験はないのですから。しかし結論的に言えば、「話す」試験の採点基準も大甘だと断言して良いと思います。2011年までのやや古いデータですが、英検準一級の二次試験である面接試験(「話す」)の合格率は85%前後となっています。その後のデータは明らかにされていませんが、採点基準が下がりはしても、上がることはないでしょう。
日本では英語を「話す」のは特別に難しいことと思われがちです。たしかに例文暗唱や教科書の音読を普段からほとんどしていない受検験生にとっては、英語を「書く・話す」は非常にやっかいです。彼らは英語を口から発したことがないのですから、試験官の前で黙ってしまう可能性があります。もちろん黙りこくれば、不合格は免れません。しかし、例文暗唱と音読練習を重ねてきた英語学習者であれば、英検準一級の面接はそれほど難しいとは思えません。いわゆる英語ぺらぺらでなくても十分合格できるのです。当塾で頑張っている生徒さんで、英検準一級に合格するためだけならば、「話す」ための特別な訓練をしたり、オンライン英会話に加入したりする必要はないだろうと判断してはいます。
自信がないという方の為にお勧めの対策法を紹介しましょう。ズバリ、日頃から英語で独り言を言うようにしてみることです。さらに、脳内面接官と英語で独り言問答をするのが一番効果的でしょう。あまり人がいないところを一人で歩き、面接官とのやりとりを想像しながら独り言問答をするのです。苦しくもあるかもしれませんが、継続すれば非常に勉強になります。
もちろん当塾でも、希望者には模擬面接を何回か実施いたします。
また高得点合格を狙うのであれば、オンライン英会話などをしてみるのも一つの方法です。しかし大学受験生でしたら、それは大学合格後に始めたほうが良いでしょう。英検準一級の「話す」の採点基準はは大甘ですから、ご安心ください。
最後に
以上のように、英検準一級のテストは易しくなりました。ですが皆さん如何だったでしょうか。おそらく多くの人は、英検準一級が難しいのか易しいのかよく分からないという印象を持たれたのではないでしょう(笑)。実は、その通りなのです。英検準一級はかなり易しくなった。とはいえ、そこそこ難しいのが英検準一級なのです。そこで、分かりやすく言い換えると、冒頭でも書きましたが、英検準一級は早慶志望者向けの試験からGMARCH志望者向けの試験になったということです。GMARCHレベルといえば、ある種の人たちからするとそう難しくはないだろうし、ある種の人たちからすると、まだまだ非常に難しい、というレベルですよね。そういうことです。
次回のブログでは、英検が易しくなった背景と、高校生・受験生の英検の利用の仕方について説明をします。どうぞよろしくお願いします。
大学生になったら大型辞典、あるいは大学生・社会人向けの電子辞典が必要になると以前書きました。
大辞典が必要な分かり易い例が見つかりましたので、ここに書いておきます。
昨日、Youtubeの動画を見ていると、下の写真のようなものを見つけました。テーマは入試にも良く取り上げられるヒトの進化論です。
タイトルは、Evolution from ape to man. From Proconsul to Homo Heidelbergensis.(類人猿からヒトへの進化。Proconsulからハイデルベルク人へ)となっています。
Proconsul はどのような意味(訳語)なのでしょうか?どうやら人類学の専門用語みたいなのですが。。。
しかし、上級学習者向けの中型辞典(ウィズダム、オーレックス)で調べてみますと、載っていないのです。
まずはウィズダム英和辞典。
ついで『オーレックス英和辞典』です。
どちらも古代ローマなどの歴史用語で、進化論とは全然関係なさそうな言葉しか載っていません。
一方、研究社の大型辞典である『新英和大辞典』や『リーダーズ英和辞典』には、ちゃんと載っています。どうやらProconsulというのは化石類人猿につけられた名称のようですね。訳語としては「プロコンスル亜種」ということになるのでしょう。
大学で英語の文献を読むようになると専門用語が出てくるので、大型辞典が必要になってくるというのが分かりますね。
なお大型辞典は紙の辞典を購入するのではなく、大学生・社会人向きの電子辞書や、iPhoneのアプリとして購入すべきでしょう。
電子辞書の使い方の簡単なアドバイスをしておきましょう。
電子辞書には様々な種類の電子辞書が入っているので、どれを使えば良いのか迷うかもしれません。しかし高校生の英語学習者ならば、『ジーニアス英和辞典』か『ジーニアス英和大辞典』を常用すると良いでしょう。上級学習辞典という性格がありますので、一番勉強になるからです。
一方、『新英和大辞典』や『ランダムハウス英和大辞典』『リーダーズ英和辞典』といった英和辞典は、通常では不要です。大学生になってから使用してみください。
英英辞典を使うと英語力が伸びるという人がいます。しかし絶対に英英辞典を使うべきかというと、微妙です。もちろん使いたいのであれば、どうぞ頑張ってください。
最初の英英辞典としてはロングマン現代英英辞典』(Longman Dictionary of Contemporary English) が良いでしょう。
和英辞典は?
英作文や英文ライティングでは英作文は強い味方にはなります。しかし、和英辞典に依存しすぎてはいけません。
和英辞典で調べて出てきた表現については、英和辞典(英英辞典、連語辞典、類語辞典)で調べ直し、使い方を吟味してみる必要があります。
電子辞書と同じ辞書、あるいは異なる辞書を、購入してみましょう。紙の辞典の場合は、必要な事柄の書き込みしたり、付箋を貼ったりすることが出来るのが嬉しいですね。
電子辞書と紙の辞典とを併用することを勧めます。
当塾推薦の英語辞典:(3)電子辞書なら何を買う?
前回は電子辞書よりもiPadの方が良いと書きました。しかし、電子辞書も全然駄目な悪い選択肢ではありません。ただし買い方にコツがあります。
まずお伝えしたいのは、電子辞書は「大(上位機種)は小(中級者向き機種)を兼ねる」ということです。
電子辞書の場合は、英語中級者でも上位機種を使うことは出来ます。それならば、最初から上位機種を購入してしまえば、大学生や社会人になっても利用できるので、ずっとお買い得です。
言い換えれば、中高生モデルのような電子辞書を買うのではなく、最初から最上位のモデルを買うべきだということです。
問題は上位機種の価格です。通常は5万円前後とややお高いのです。
そこでシリウス英語個別指導塾としては、最上位電子辞書の旧機種を中古で購入することを強く勧めています。5年~15年前のものだとしても問題はほとんどありません。(動作不良品を除く)。
それでいて価格はたったの5000円前後です。
ちなみに私が所有している電子辞書はカシオのXD-A10000で2010年発売の商品ですが、アマゾンで送料込みで5000円で購入致しました。
電子辞書の選択のポイントの一つは、英語を読んだり書いたりするときに必要な大型辞典を搭載しているかどうかです。具体的に辞書名を挙げていきましょう。
英和大辞典
研究社『新英和大辞典』
小学館『ランダムハウス英和大辞典』
研究社『リーダーズ英和辞典』『リーダーズ・プラス』
大修館『ジーニアス英和大辞典』
和英大辞典ほか
研究社『新編英和活用大辞典』(和英辞典ではない)。
『オックスフォード現代英英辞典』
『オックスフォード連語辞典』
『オックスフォード類語辞典』
『ロングマン現代英英辞典』
以上の辞典中で特にチェックしておきたいのが、『ジーニアス英和大辞典』と『新英和大辞典』と『新和英大辞典』の有無です。
『ジーニアス英和辞典』は学習者向けの上級辞典ですが、『ジーニアス英和大辞典』はその大辞書版です。出来る高校生の英語学習にはとても勉強になるでしょう。
また、英作文や英語のライティングをしようとする学習者であれば、『新和英大辞典』は頼りになる存在です。この辞書の有無で購入を決めるのも一つの方法論でしょう。
カシオの電子辞書をアマゾンのサイトで探してみますと、XD-A10000、XD-B9800、XD-GF10000、XD-N9800、XD-D9800GM
などが良さそうですね。
私が購入したカシオのXD-A10000の場合は、研究社『新英和大辞典』を除いて全部上のリストの辞書が搭載されていました。
英語のライティング・英作文はあまりしないのであれば、英和大辞典の有無で選択するのももう一つの考え方です。(大学に入ってから大いに役に立つからです)。私が所有しているもう一つの電子辞書は、2006年発売の小型の電子辞書、セイコー SR-ME7200 ですが、2021/05/13現在では2980円で売られていました。『ジーニアス英和大辞典』『リーダーズ英和辞典』『リーダーズ・プラス』の他、オックスフォードの『現代英英辞典』『連語辞典』『類語辞典』を利用できます。
当塾で推奨しはしませんが、電子辞書を大きさで選ぶという方法もあるでしょう。(もちろん一番携行しやすいのは、電子辞書ではなくて、iPhoneやiPod touchに辞書アプリを入れる方法です)。
もしかするとシャープのBrainの高校生モデルなどが良いかもしれない。このとき最新版ではなく、ちょっと旧いモデル(たとえば2018年の春モデル)だと安く購入出来る。
以上
高校1、2年生ともなると、高校初級用の辞書だけでは物足りなくってくるでしょう。単語数が多く、詳細な事項の説明が載っている高校上級者向けの辞書が欲しくなってくるはずです。
このとき、電子辞書を買うべきか、紙の辞典を買うべきかとか、迷っている方も多いでしょう。ここでは2回に渡って、高校上級向けの辞書としてまずは何を買うべきか書いてみましょう。
紙の辞書にも良さがありますが、もしすでに高校初級用の紙の辞典をお持ちであれば、次に買う辞書は電子辞書やiPad/iPhone/iPod touchのアプリ辞書で良いでしょう。
さて、世間ではまだまだ電子辞書を推す声が大きいですね。しかし結論的に言いますと、いわゆる電子辞書 よりもiPad (mini)を辞書として活用するのが最強です。
iPad またはiPad miniは決して安価ではありませんが、今後の勉強の効率から言って、「買い!」です。英語講師としては、iPhoneを売り払ってでもiPad (mini)を購入すべきだと言いたいくらいのiPad 推しです。もちろん次善策として、お手持ちのiPhoneを利用したり iPod touchを購入し、そこに辞書アプリをインストールするのもお勧めです。これらの機材は耳からの聴く教材や読書にも活用できます。
辞書アプリとしては、まずは物書堂のウィズダム英和・和英辞典(三省堂)を入れましょう。
物書堂はiPhone等の辞書アプリ等を作っている会社ですが、他社よりも圧倒的に評判が良いですね。基本的に値段も他社と同じですから、物書堂の辞書アプリを選ぶべきです。
なお『ウィズダム英和辞典』『ウィズダム和英辞典』はいわゆる高校上級以上向けの英和辞典および和英辞典ですが、評判は非常に高いです。もちろんこの辞書を使えば、高校上級レベルの英語や大学入試問題のほとんど全てに対処出来ます。(他社からは『ジーニアス英和大辞典』も出ていますが、敢えて購入する必要はない)。
なお、英作文(英語ライティング)で頑張ってみようという人もいるでしょう。
英作文は東京大学、一橋大学をはじめとする国立大学、早慶の文系上位学部(早稲田大学の政経学部と法学部、慶應大学の経済学部、医学部)の入試には不可欠です。また、英検準一級やTEAPでもその力が求められています。
もし本格的に英作文の準備をするとなれば、コロケーション辞書や類語辞書、英英辞典もある方が良いかもしれません。たとえば、『小学館 オックスフォード 英語コロケーション辞典』や『Oxford Collocations Dictionary』『オックスフォード現代英英辞典』などです。ただし高校生が慌てて購入する必要はありません。(オンラインの無料辞書を試してからでも遅くありません)。
そしてもう一つ欲しくなるのが、日本で唯一の大型和英辞典、研究社『新和英大辞典』です。
残念ながら物書堂からは出ていません。どうしても欲しいと言うのであれば、他社から出ている『新和英大辞典』(1万4000円)を買うことも出来ます。しかし当塾としては、『新和英大辞典』の入っている電子辞書を別に購入することを勧めています。
大学入学以降は大辞典等の購入を検討してください。物書堂の辞書アプリで言えば、
この中でどれか一つ選ぶとしたら、収録されている単語の数が多い『リーダーズ英和辞典+リーダーズ・プラス』でしょうか。
iPadの辞書が電子辞書と比べてて優れているのは次の点です。
(1)画面が大きくて一覧性を確保できる
(2)必要な場所へと瞬時にジャンプできる
(3)例文・成句(熟語)を探しやすい
(4)日本語から英文等を探しやすい
(5)辞書からコピー&ペーストしたり画像保存したりして、外部保存することができる。
簡単に解説しましょう。
(1)iPadは画面が広くて一覧性が確保出来ます。例としてasを調べたときのiPad Miniと電子辞書の画面を比べてみてください。一目瞭然だと思います。
この時、電子辞書とiPhone/ iPod touchであれば、たいした差異がないと思われるかもしれません。しかし、それが違うのです。
(2)必要な場所へと瞬時にジャンプできる
例えば、asという単語を調べてみるとしましょう。
as は、接続詞、前置詞、代名詞(疑似関係代名詞)、副詞と様々な品詞の場合があり、それぞれ意味や役割がかなり異なっています。その中から自分が求める語義を探し出さなければなりません。そのためには、求めているasのの品詞を想定しながら、当たりを付けていきます。(品詞の概念をよく理解できない初級者は、高校上級用の辞書を使いこなせません)。
この時、iPhone(iPad、iPod touch)用のアプリであれば、[三 ] のところをクリックし、さらに品詞を選択してクリックすればたどり着けます。場合によっては、接続詞のasように、さらにそのなかで適切そうな語義にクリックして、そこへジャンプします。
しかし電子辞書では、品詞をクリックしてジャンプ出来ません。ひたすら下方にスクロールして移動しながら求める語義を探すのです。iPadやiPodと比べてスクロールスピードは極めて遅い。
あまりに時間がかかるので、独習者の多くは必要な語義にたどり着けず頓挫してしまいます。
(3)例文・成句(熟語)を探しやすい
電子辞書の場合は、熟語で調べるか英単語で調べるか、最初から腹をくくらなければなりません。使ってみればわかりますが、かなり面倒です。
他方、iPhone(iPad、iPod touch)用のアプリの場合は、一単語でうまく調べられなかったら複数の単語を調べてみる、あるいは複数の単語でダメだったら一単語で調べてみる方法で調べられます。融通が利く検索方法なのですね。ぜひ本物を使って実感してみて欲しいです。
(4)日本語から英文等を探しやすい
本格的に英文ライティングや英作文をするようになりますと、和英辞典だけではなく、英和辞典を活用しながら日本語から適切な英文を検索したいと思うようになるはずです。残念ながら現行の電子辞書では、全然出来ない訳ではないですがちょっと厳しいです。
え、どういうことと思われる人も多いでしょう。必ずしも絶対に必要なテクニックというわけではありませんが、もし英文ライティングにご興味があればお読みください。
たとえば、「もてなし」という言葉を英語でどのように表現したら良いかと考えるとしましょう。
「もてなし」という言葉を「見出」(「見出」の部分が青くなっています)で検索すると、和英辞典で普通に検索することとなります。(画像では、『オーレックス和英辞典』と『ウィズダム和英辞典』で検索できるようになっています)。
しかし、和英辞典の検索で出てきた単語がぴったりの英単語(語句)かといえば、なかなかそう言うわけには行かないでしょう。そこで今度は「用例」(英文例のことです。「用例」が青くなっていることに注目してください)をクリックしてみます。(用例検索)
すると、『ウィズダム英和辞典』の用例が14項目も、つまり「もてなし」が、humor, care, hospitality, reception, welcome, treat like a king 等々の様々な表現で表されているのが分かるでしょう。
要するに英和辞典が一種の和英辞典としても役立っているのです。英文を書いてみると分かりますが、英単語の意味を知っただけでは大変心許ない。その単語がどのように使われているのか具体的な英文例を読んでみないと、適切な英単語の使い方をしているのかよく分からないのです。その意味でiPhone等で「用例」を検索してみることは、非常に役に立つはずです。
(5)辞書からコピー&ペーストしたり画像保存したりして、外部保存することができる。
高校生の段階ではあまり使わないかもしれせません。でも、これは非常に有り難い機能です。(以下略)。
次回は、『ウィズダム英和・和英辞典』の他にどのようなアプリを購入すべきなのか説明していきます。