世の中がコロナ禍に見舞われすでに丸2年が過ぎました。当塾もそれまで(特別な事情がある場合を除いて、)完全に対面授業であったものを、ほぼ全面的にオンライン授業で実施していた時期もありました。現時点では、コロナ感染防止への対処法も少しずつわかってきましたし、やはり対面がよい、というご要望もあり、対面とオンラインの割合は半々といった状態です。
そこで、対面授業とオンライン授業どう違うの?どっちがいいの?という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思いますので、その両方を経験して感じたことをまとめておきたいと思います。
オンラインのメリットとしては、わざわざ塾に出向かなくてもよいということが挙げられます。部活で忙しい人や出不精の人でも受講が可能、また天気が悪い時(大雨大雪台風など)でも休むことなく授業を受けられるというメリットがあります。
我々もコロナ禍以前から居住地が遠く通塾が困難な方などにオンライン授業を行っていたことがあり、対面もオンラインもさほど差はないと感じていたこともあります。しかし、この二年ほど色々な生徒さんにオンライン授業を行ってでた結論は、対面授業の方がよい、というものです。
オンライン授業ではやはり限界があります。個々の生徒さんにもよりますが、対面授業の効果の恐らく8割くらいに生産性(効果)は落ちると思います。
例えば、何か文法の説明をしながら、「○○をメモして」とか「~に線を引いて」とか細かい指示を出すことがよくありますが、実際に対面で生徒さんの様子を見てみると、とても小さい字でしかも鉛筆で、チョロチョロッとメモするだけだったりという場面によく出くわします。授業中に私たちが「メモして」という内容はその子にとっては最も大事なことです。テキストに書かれていないことで大事なことや、「その子」が出来なかった部分に対する解説を「メモして」といっているわけですから、鉛筆でチョロチョロではダメなのです。
あとで見直してしっかりとそこを復習する仕組みを作るためには、「この部分は太いマーカーで塗りつぶして」とか、「この部分に下線を引いてその説明を青のボールペンでここに書いて」といったような細かい指示が必要です。対面だとそういった細かいことを色々と補足してあげることができます。生徒たちは一人一人違うので、私たちが出す指示に対しても実に様々な反応をします。その反応を見ながら、臨機応変にまた私たちが新たな支持を出す、といった具合に、個々の生徒の反応に合わせた対応、流動的な生きたやり取りこそが大事だと感じます。やってみればわかりますが、オンラインではここまでのきめ細やかさは不可能です。
手元を映す書画カメラのようなものはあるではないか、といった反論が聞こえてきそうですが、やはり細かい指示やニュアンスといったものは、対面で手取り足取り教えなければなかなか正確かつスムーズには伝わりません。また、対面ならば、生徒さんのテキストやノートを直接指さしながら指示や説明ができますが、オンラインだとその全てを言葉のみで伝えなければなりませんので、誤解が生じやすいですし、それを無くすように配慮することで、お互いに勉強以外の余計な部分でエネルギーを消耗します。効率が悪いことは間違いありません。実際、状況に応じてオンラインと対面の両方をやっている生徒さんがいますが、「対面の方が伝わりやすい」と言っています。
もちろん、対面授業を通して勉強の進め方、メモやノートの書き方などが細部にわたってしっかりと身に付き、更にはお互いのコミュニケーションの癖―我々が一体何をポイントにして授業を行っているのか、その核心部分―を十分熟知した後にオンラインに切り替える場合や、かなり学力が高く主体的に授業を受けることができる場合などは、さほど大きな違いはないかもしれません。
それでもやはり、生身の人間の対面でのやり取りに勝るものはない、というのが現時点で私たちが感じている感想です。(これは両方を実際に体験してみないと実感するのは難しいことかもしれません。)
今はネットでのオンライン授業を供給しているところも増えましたし、当塾でも対応はしていますが、確実に成果を上げたいと強く望まれる場合は、対面授業をお勧めします。