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2022/08/23

英作文で「飛躍」をなくす、あるいは旧情報から新情報へ

日本人(高校生)が自由英作文を書くときに、もっとも注意しなくてはならないことの一つは、一つひとつの文と文との間で、話題が唐突に「飛躍」していないかどうかである。

 

難しいのは、書いている本人(日本語話者)がそのことに気がつきにくいことだ。いや、むしろ、指導者に指摘されても、ミスを認めようとしない傾向にあることだ。今書いている話題に密接に関連しているのだから、断じて「飛躍」などは存在しないのだと言い張るかもしれないのである。要するに、納得できないようだ。

 

しかし、読み手側からすれば、やっぱり「飛躍」があって、すぐには頭に入りにくい文なのである。(もちろん読み難い英文は、東大や慶應(経済学部)などの超一流大学の入試などでは評価が低くなるはずだ)。そこで、英作文の指導者は、書き手に対して不適切であると指摘し、読み易くするように助言することが期待されているだろう。

 

だが、ここで大きな問題が生じている。英作文の指導者がどんなに熱を込めて生徒に説明しても、非常に多くの場合、生徒たちはそれを理解しようとしない。「飛躍」などは存在しない、「先生の言っていることは意味不明だ」と思うのだ。そして、「書き直し」を命じられても、生徒たちは無視するか、全く同じミスで散りばめられた英文を再提出してしまう。

 

どのように提示したら、自由英作文の学習者たちは理解してくれるだろうか。英語の講師としては、度々考えざるを得ない実に重いテーマだ。どんなに頑張っても上智大学か早稲田の教育学部がせいぜいの生徒を、慶應の経済学部や早稲田の政経学部に合格させてしまうくらいの、非常にシンドイ仕事が求められているのである。

 

今回は、まずはどこが間違っているのか、つまり、どこに「飛躍」があるのかを指摘する。ついで、書き手側から予期される反応(不満、反論)を述べ、それに対して我々(英作文指導者側)はどのように反論すべきかを論じていきたい。つまり、「飛躍」と言う論点を使って、文章の読みにくさを説明してみたい。最後には、「飛躍」のない代替の文を提示してみよう。

 

ところで、今回最初に取り上げる自由英作文の英文だが、「生徒」の書いた英文ではない。実は、誰もがよく知っている某名門通信添削会社の模範解答(?)かもしれないのである。自由英作文の添削者や出題者すらも、まともな英文が書けないのかと思うと陰鬱な気持ちになるが、単語と単語、文と文とを正しくつなげことが、いかに難しいのかを示しているようである。

 

 

 

問題

「学校で学ぶ科目の中で、あなたが特に重要だと思うものを一つ挙げ、その理由を50語〜70語の英語で述べよ」

 

(解答例)

“I consider science a very important subject. Technology has been, and will continue to be, a source of national strength for Japan, and I think it is important for us students to study science and support our country. Moreover, science will surely play an important role in solving the problems which face the world today” .

 

 

問題は、最初の二つの文に集中している。そこで、番号等をつけて、再度文を掲載しよう。

hiyaku

 

どのような科目が重要かと問われ、まず最初に①(第一文)で、理科(science)が大事だ宣言する。これは良い出だしだ。当然、②(第二の文)では、その理由を述べることが期待される。

 

②の文を読むと、たしかに理由らしきものが書かれている。「理科(science)」という教科が大事なのは、「技術(technology)」が国力充実のために重要だからだというのである。ユニークさはないが分かりやすい理由であるように見える。しかし、「飛躍」の有無の観点からすると、この英文ではダメなのである。どこが間違っているのか。

 

①の文では「理科(science)」がテーマだったのに、②の文では、冒頭からいきなり「科学技術(technology)」という言葉が登場しているのだ。これがこの文の致命的な「飛躍」である。読み手は、話題がいきなり転換していることに戸惑うはずだ。読み難い文なのだ。

(なお余談であるが、②の文の後半の緑のアンダーラインの部分は、①とほとんど重複した内容で、不要であろう。要するに、単なる字数稼ぎでしかなく、残念な文である)。

 

だがこれに対して、この文の書き手は不満を持つであろう。「理科(science)」が重要な科目であると述べた上で、「科学技術(technology)」が大事だからだと返答しても、全く違和感はないはずだ」と反論するに違いない。たしかに「理科(science)」と「科学技術(technology)」は非常に密接な言葉であり、言いたいことは分からぬでもない。だが、「理科(science)」と「科学技術(technology)」は、やはり異なる別の言葉であって、言葉の言い換えだとは認め難い。

 

 

とすれば、前の文で「理科(science)」が大事だと述べているのに、次の文でいきなり最初から「科学技術(technology)」で文を始めるのは、やはり「飛躍」と言える。

 

では「飛躍」を解消するには、どうしたら良いのか。つまり、「科学技術(technology)」という言葉を使いたいが、飛躍しないようにするにはどうしたら良いのか。そのためには、「理科」と言う言葉から文を始め、「科学技術」という言葉が導かれるようにしたい。そして、この時に、「理科」と「科学技術」の関係を具体的に明らかにしてもらいたいのだ。

 

なお総合系の英語の参考書では、旧情報をまず文の前半で提示し、文の後半部で新情報を追加していきなさい、英語にはそういう情報構造のルールがありますよと説明してきた。我々もその情報系の言葉を使えば、

 

science ==>technology

「旧情報」  「新情報」

 

 

の順番で並べなさい、いきなり「新情報」を提示してはいけない、いうことになる。

 

さて、二つの単語を単に旧情報から新情報へと順番に並べれば良いというものではない。「理科」と「科学技術」が具体的にどのような関係なのかを考えなくてはならないからだ。実はこれが案外厄介なのだが、例えば次のように考えてみよう。(A)(B)(C)と考えてみた。

 

 

(A)理科の実用的応用が科学技術である

The application of scientific knowledge for practical purposes, especially industries is called technology

   

(B)理科教育によって科学技術発展の社会的基盤が形成される

Science education has made the social basis for the technological advancements of the nation.

 

(C)理科教育によって技術者が養成されてきた

Science education has produced engineers.

 

以上のような英文を補えば、理科の話が唐突に技術の話題に「飛躍」してしまうという問題を避けることができるだろう。繰り返すが、「飛躍」を避けることにより、自然で読みやすい英文になると強調しておこう。

 

(A)(B)(C)からそれぞれ英文を作ってみると、次のようになった。

 

(A)I think of science as one of the most important of all the subjects because the application of scientific knowledge for practical purposes and various industries, what is also called technology, has made our nation modern and advanced one.

 

(B)I think science one of the most important subjects of all. That is because the (science )education has been the social and popular basis for the technological advancements of the nation, without which modern Japanese cannot enjoy affluent and wealthy lifestyles that we have now.

 

(C)I consider science to be one of the most important subjects we learn at school. That is because science education has produced, and will continue to produce a lot of skilled and competent scientists, engineers, and science teachers and professors, who have made very great contributions to the welfare and prosperity of modern Japan.

 

 

結びとして

 

高校生の書く英文では、英文の「飛躍」は非常に多く、かつ教えようとしてもなかなか理解してくれないのが実情である。ところが、今回は大学受験生の通信添削指導会社の作る模範解答に致命的な「飛躍」を見つけてしまい、大変嘆かわしい気持ちの中におります。我が国でしっかりとした英作文指導の仕組みは出来ないものなのでしょうか。

 

飛躍については、もういくつかブログを書いていく予定です。

 

 

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2022/08/09

成績が伸びないのに有名塾や予備校に固執してしまう中高一貫校生の哀しい性

時々いただくお問い合わせの中で、「現在〇〇〇(←都内有名塾)という塾or予備校に通っているが、英語の成績が伸びません。」というお悩み相談があります。

 

 

当塾は、たとえそれが都内有名塾であろうが、大手予備校であろうが、そこの指導を受けた場合と比べて、当塾の授業を受けた場合の結果が引けを取ることは決してないと自負しています。

 

 

その根拠となる一つの例を挙げてみましょう。当塾で小学生の頃から本格英語(本格的な文法)学習をしていたある生徒さんが、中学入学と同時に「鉄〇会」にも入塾しました。中学入学までにしっかりと基礎を固めるような指導をしていましたので、鉄〇会での英語のテストでも3本の指に入るくらいの成績をとれたようです。

 

 

また、英作文の課題も出されるらしいのですが、非常に良い出来とかなり褒められ、本人も鼻高々といった感じでした。当塾では基本例文の音読暗唱をしっかりとやらせますので、当然英作文も得意になります。たとえ周りが超一流の中高一貫校生ばかりだとしても、当塾の課題をしっかりと吸収し練習していれば、彼らに負けることはないのです。(このお子さんの学校は、鉄〇会に無試験で入塾できる指定校ではありませんでした。)

 

 

 

また、合格実績(シリウス英語個別指導塾合格実績←クリック)をみていただけばご理解いただけるかと思いますが、本当に小さな個人塾である「東大式シリウス英語個別指導塾」からでも、東大や京大、早慶上智を初め、首都圏の一流理系国公立大学合格を果たしています。「1:1のマンツーマン指導で誠実に丁寧に熱心に、正しい英語学習法を伝授している」わけですから、それを真面目に受け止め消化してさえくれれば、個々の能力と努力に見合った最高レベルの結果が出ないわけがない!と断言できます。

 

 

しかし、御三家などの超有名中高一貫校に通っている生徒さんやその親御さんの中には、権威主義の方も少なくはありません。

 

 

「現在鉄〇会に通っているけれど英語の成績が振るわない」とか「〇〇予備校に通っているが模試の成績がなかなか上がらない」といった相談をしてこられるので、「基礎力がないのに難しいことばかりやっても仕方がないから、鉄〇会or〇〇予備校をいったんやめて当塾で英語の基礎の再構築に集中したらどうですか」とアドバイスすると、「う~ん」と躊躇する方がいらっしゃいます。有名塾をやめる決断ができないのです。「本当にこの塾で大丈夫なんだろうか?」というのが本音なんでしょうね…(笑)

 

素朴に誠実に細々とやっている小さな個人塾なんかよりも、誰もが知っている超進学校の子ばかりが通う塾の方が華やかで格好いいですし、なんとなく信用できるというお気持ちとてもよく理解できます。お子さん自身も、「自分は鉄〇会に通っているんだ。」というところで、プライドを保てているのでしょう。しかし、冷静に客観的に考えて、現に結果が出ていない、成績が伸びていないのに、そこに固執することで何か明るい展望が望めるのでしょうか?(望めるならばやめる必要はありません。)

 

 

くだらないプライドなど捨てて、誠実に謙虚に、絶対的な本物の基礎力を身につける勉強をして成績向上を確実にする。それこそが真のプライドではないのでしょうか?

 

 

 

ここでお子さんのために強いリードーシップをとるべき役割を担っているのが親御様です。お子さんが路頭に迷っていたら軌道修正して正しい方向へと導いてあげるスキルを親御様が持っているかどうかが成功するか否かの分かれ目です。この、両者を分かつ大きな違いの一つが、「ご自身の学習経験」にある、という側面があるように感じています。

 

 

この仮説を裏付けるエピソードをいくつかご紹介します。

 

当塾では初回面談時に親御さまとご本人と交えて面談をいたしますが、その時に体験授業(有料)を受けていただくことが多いです。その授業は親御様にも見ていただいています。そこで入塾を即決してくださる場合があるのですが、そのほとんどが、親御様(お父様)が医師であるとか、お父様或いはお母さまのどちらかが一流大学ご出身であることが多いです。

 

 

念のために書き添えておきますと、我々は決して学歴至上主義者ではありません。が、一流大学受験を経験した方、或いは、自分の目標とする大学に向かってある時期真剣に勉強した経験がある方というのは、自分なりの正しい勉強の方法論を持っていたり、その方法論を探して試行錯誤したご経験がある。そういう者同士というのは、学習の方法論について共通項があるので、即座に分かり合える部分があるように経験則から思います。

 

 

分かる方はHPの文章を読んだけでほぼ入塾を決意してくださり、来塾いただいた際に即決してくださいます。

 

 

例えば、あるお父様(医師、首都圏一流私立大学医学部ご出身)は、当塾の体験学習を目の前で見て、「間違いない!」といった風に即決してくださいました。

 

 

別のお父様(首都圏超一流私大ご出身)は、「自分が受験生の時は、こちらの塾のHPにも書いてある通り、予備校でただ授業を聞くだけの勉強だったので英語が苦手だった。仕事をするようになり、英語や英会話が必要となったので勉強を再開するため英語学校を探した。その英語学校で英語力がついたのだが、そのやり方と、この塾のやり方がまさに全く同じだった。」とのこと。

 

 

更に別のお父様(旧帝大ご出身)ですが、お子さんが中学2年生の頃に、当塾のやり方を気に入ってくださり、お子さんを預けてくださいました。ところが、まだ中学生だったため、英語学習に対するモチベーションが上がらず、あまり熱心に当塾の課題をこなしてくれませんでした。当然、毎月の報告書ではネガティブな内容ばかりをご報告することにならざるを得ず、結局退塾なさることになりました。

 

 

最後の授業の日に、お父様がご挨拶に来られたので、「ここのやり方が気にいったからこそ預けたのに、どうして我が子のやる気をだしてくれなかったのか。」などと、恨み節の一つでも吐きに来られたのかなと思いましたら、「私も受験勉強の時には、英語の音読や基本例文を覚えるということをやっていましたので、これがとても大事な勉強で非常に効果的であるということはよくわかっています。だからこそここへお願いしたわけですが、我が子がまだ幼くてそういったことを真剣にやる段階になっていなかった。申し訳ありませんでした。」と恨み節どころか詫びをいれてこられたのです。

 

 

こんなに的確にこの「東大式シリウス英語個別指導塾」のやり方をご理解くださっていた、そしてわざわざそれを伝えるために足を運んでくださった、その態度、お言葉には心底驚き、恐縮すると同時に、さすが旧帝大ご出身だなと思いました。

 

 

 

また別のお母さま(首都圏一流大学ご出身)は、毎月発行する保護者様への報告書に「英語の長文を理解するためには文法力だけでは足りなくて、様々な背景知識が必要になります。だから日ごろから新聞を読んだり本を読んだり、そのことについて家族でいろんな話ができる環境が大事です。」といった内容を書いたときに「親も勉強しないといけないんですね。」という反応をなさいました。こういう言葉がすっと出てくるのは、やはりある程度勉強した経験があるからだろうと思うのです。なぜなら、そうでない場合は、割と怒り出すケースが多いからです(笑)

 

 

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度々書くことですが、昨今は勉強法についての情報も巷(ネット上)に溢れかえっています。そこから、自分達にとって真に有益な情報を取捨選択したり、何が本物で何が偽物であるかを見抜く力と決断力・実行力がなければただ溢れる情報に流されて右往左往するだけに終わってしまいます

 

それでは残念ながら目的地に到着することはほぼないでしょう。

あるとすれば偶然の奇跡です。

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