『東大英語リーディング』Nollywoodを読む:固有名詞から深掘りする読解法

query_builder 2025/05/21
東大英語 英語
『東大英語リーディング』Nollywoodを読む:固有名詞から深掘りする読解法
『東大英語リーディング』Nollywoodを読む:固有名詞から深掘りする読解法
『東大英語リーディング』Nollywoodを読む:固有名詞から深掘りする読解法
『東大英語リーディング』Nollywoodを読む:固有名詞から深掘りする読解法

『東大英語リーディング』Nollywoodを読む方法論ーー固有名詞から深堀りする読解法


はじめに


大変お待たせしました!ちょうど1年前の2024年5月に中断してしまったブログ「『東大英語リーディング』のNollywoodを読む」を、本日2025年5月21日、ついに再開します。


さて、久しぶりなので、これまでを振り返ってみます。このブログのテーマは、東大駒場の英語部会が編集した「東大英語リーディング多元化する世界を英語で読む」の中のNollywood (by Jonathan Haynes) と言う文章をどうやって読んだら良いのかでした。


これまでの記事では、「Nollywoodの何が難しいか(1)(2)」と題し、representations of the past(「過去の表象」)やocclusion of republicanism(「共和制を閉ざすこと」)といった表現が具体的に何を意味するのかを掘り下げてきました。


その際、歴史学者・人類学者のホブズボームが提唱したinvention of tradition(「伝統の創造」)という概念が、読解の鍵を握ることをお伝えしました。この言葉を知っているかどうかが、Nollywoodの文章を深く理解する上での大きな分かれ道になる、と。


今回のテーマは、もし仮に我々が、ホブズボームの概念等を知らずに、現代アフリカ映画論のような文章を読まさせられるとしたら、どういった方法論で対処すれば良いのかです。


私の結論を先取りすれば、主に2つの方法論です。1つ目は、ナイジェリア映画論のような、馴染みのないテーマの文章を読む際、固有名詞(地名、民族名、時代、登場人物など)から決して目を背けないこと。むしろ、それらの言葉を丁寧に調べ、整理し、表や地図に落とし込んでみることです。まさに、これが今回のブログのメインテーマです。



もう一つは、次回のテーマとなりますが、オンライン検索だとか、生成AIの力をうまく利用して疑問点の解消に努めてみよ、となります。


具体的な話になりますが、「あれ、この文章のこの箇所って、一体どういう意味だろう?」と感じる部分がきっと出てくるはずです。そんな時こそ、生成AIの出番です。例えば、本文中に登場する“traditional rulers”(114頁)という言葉。なぜ二重引用符(””)がついているのか?と、該当箇所を提示しながらAIに質問してみるのです。(このAI活用術は、次回のブログで詳しく掘り下げていきますのでお楽しみに!)


『東大英語リーディング』では、「しっかりした大辞典クラスの辞書に親しんでほしい」という田尻芳樹先生のアドバイスがあるのですが、シェークスピアならばいざ知らず、現代アフリカに関する文章となると、大辞典よりも現代的な武器の方が頼りになるはずです。



戦略1 固有名詞をしっかりと下調べてして整理せよ


Nollywoodに関する文章が読みにくいと感じるのは、ごく自然なことです。日本人の大学1年生にとって、現代ナイジェリアの映画はほとんど馴染みがありませんよね。特に、頻繁に出てくる重要そうな固有名詞が「七面倒くさい!」と感じるかもしれません。でも、ここで諦めてはいけません。まずは、民族と言語名を調べて整理するところから始めましょう。


まず、できればで構いませんが(ただし、もし貴方が東大で英語を教えている立場ならば、ぜったいに読んでいただきたいのですが!)、アフリカ全体の概要を掴んでおくことをお勧めします。私は旧版を読みましたが、宮本正興+松田素二『改訂新版、新書アフリカ史』が非常にお勧めです。もし「それはちょっと大変そう…」と感じるなら、ひとまずナイジェリアに関するWikipediaの記事に目を通してみましょう。(「Wikipediaなんてダメだ!」と言う先生もいるかもしれませんが、私はこういった場面での活用は大いにアリだと思いますよ!)


次に、テキスト109ページにあるナイジェリアの言語の記述を、単なる「チラ見」ではなく、じっくりと丁寧に見つめてください。可能であれば、自分で地図に言語分布を書き写してみるのも非常に有効です。そうすることで、主要言語の分布が視覚的に頭に入ってくるはずです。特に、Igbo、Yoruba、Hausaの三大民族(言語)がナイジェリア理解には不可欠です。






そして、出来たら英語で、大変ならば日本語で良いですから、「イボ人」「イボ語」「ヨルバ人」「ヨルバ語」「ハウサ人」を読んでください。もしそれでもピンと来なかったら、Youtube等で 興味深い情報に親しんでください。


どうでしょうか。ナイジェリアの諸民族に少しは馴染んで来たでしょうか。そうしたら、ついでにナイジェリアの超重要文化人の二人の作家について、Wikipediaで良いですから目を通しておいてください。


一人は、Session14でも取り上げられる、イボ人の作家Chinua Achebe(チアヌ・アチェべ)とその作品です。Nollywoodの論文で取り上げられている小説は、崩れゆく絆』(光文社古典新訳文庫)(⇐クリック)として翻訳・出版されています。この本を読めないとしても、図書館で探し出して訳者の解説を読んでおくのは、悪くないアイデアですね。あるいは、Wikipediaの英語版でThings Fall Apart  の記事(⇐クリック)を読むことを強く勧めておきます。(残念ながら、日本語版のWikipedia記事はありません)






もう一人調べてみると良い文化人は、ヨルバ人の作家Amos Tutuola(エイモス・チュツオーラ)です。彼の作品は近年では岩波文庫『やし酒飲み』で読むことができます。私的な感想となりますが、日本の古典落語で、三遊亭圓朝が創作したと言われる「死神」と似たような雰囲気の不思議な作品です。



さあ、このくらいで準備完了です。英文の意味が立体的に浮かび上がってくるはずです。もちろんIgboもYorubaもどちらもアフリカの黒人だろ、なんていう粗雑な意識はもうなくなっているはずです。(残念ながら、日本の英和辞典は、例えば、Igboはイボ「族」、Yorubaはヨルバ「族」と表記しています。三千万人以上を抱える大民族を「族」と呼ぶのは、非常に違和感があります。おそらく英和辞典の編纂者は、アフリカ人を見下しているので「族」という言葉を使ってしまうのでしょう)。



まずは、ヨルバ人についての次の文はどうでしょうか。



Yoruba and Hausa both evolved strong central standard dialects out of many local variations, in a process resembling the formation of the major European languages. These standard dialects became the bases for literary languages and for substantial literary output, journalism, drama, and broadcasting. (108頁)



ヨルバ人の伝統社会は様々な都市国家群から成り立っていたと、我々はもう馴染んでいるはずです。ですから、ヨルバ語の標準化した地方語が成立していること、そして標準化した言語を元に読み書き文化も発展したのだという、この文の趣旨をよく理解できるはずです。


次は、イボ人の方を読んでみましょう。


A standard Igbo dialect was created by never too strong hold.  Little is written in Igbo. The scenarios and scripts for all the Igbo films were in English because neither the writers nor the actors were used to written Igbo. (108頁)


イボ人の伝統社会は、王や首長を持たなかったと分かっています。その結果、標準的イボ語も定着せず、結果、イボ語の読み書きも発達しなかった。ヨルバ語とは異なり、イボ語はあくまでも会話のための言語であり、読み書き語にはならなかった。したがって、イボ人が読み書きするとなると、英語が重要になったのだ、なるほど、と分かりますね。


また、ちょっと話が飛んでしまいますが、伝統的イボ人は王制ではなく、民主制・共和制だと言われるとちょっとピンとこなかったかもしれません。しかし、国家成立以前的な社会における、原初的な民主主義の社会なのだと言われてみると、判りやすくありませんか。



長くなりましたので、今回はこれまでとします。次回は、生成AIを利用して、読解していく方法について書きます。


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