大学受験**参考書ルート**の落とし穴!---中高一貫校生の盲点

query_builder 2025/06/19
中高一貫校 大学受験 英語教材の検証
大学受験**参考書ルート**の落とし穴!---中高一貫校生の盲点


**参考書ルート**とは


大学受験の勉強で、志望大学への勉強の道筋を示す**参考書ルート**という言葉を、皆さんは一度は耳にしたことがあるかもしれません。志望大学に合格するに、どのような参考書を、どのような順番で、いつ頃使えばよいのか。多くの受験生にとって頼りになる指針となっています。


たとえば数学では、次のような参考書ルートがあります。


①基礎固め・・・ 『青チャート』や『Focus Gold』などの網羅系参考書と呼ばれるもので、教科書レベルから応用的問題まで、幅広い解法パターンを学びます。

②応用力養成・・・『一対一対応の演習』などで入試頻出の標準的な問題に取り組む

③実践演習・・・『赤本』『青本』などで、志望大学の過去問演習に望む。

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上記のように、基礎から応用へ、そして入試問題へと、段階的に難易度を上げていくのが参考書のセオリーです。したがって、「①基礎固め」の段階では、無理に「②応用力養成」のための問題集に取り組むのは時間の無駄です。背伸びせずに、「①基礎固め」に徹しましょう、ということになります。あるいは、「①基礎固め」を完了しているならば、いつまでも「①基礎固め」レベルの問題集ばかりやっていてはいけません。

以前は、問題集の難易度について適切な情報があまり出回っておらず、『やさしい』というタイトルに釣られて参考書を購入してしまうことがよくありました。そうすると、多くの場合、難しすぎて挫折してしまいます。

あるいは英語の場合では、自分のレベルに合っていない参考書を無理に最後までやってみても、実力養成にはつながらないことが多いです。

しかし今では、参考書ルートが提供する情報のおかげで、教材がどのレベルにあるのか、調べれば分かるようになりました。ですから、適切な教材を選択してルート通りに頑張っていけば、希望する大学に届くと、ひとまず安心している受験生も多いかもしれません。

しかしながら、特に中高一貫校にお通いの皆さん、そして保護者の皆様には、この参考書ルートに対して過度な期待を抱かず、むしろ大きな**盲点**が潜んでいることを知っていただきたいのです。


**参考書ルートの落とし穴**とは?


では、参考書ルートに潜む盲点とは、一体何でしょうか。それは一言でいえば、多くのルートが、実は**県立トップ進学校**に合格するレベルの学力を、その出発点として前提としている、という事実です。

神奈川県で具体例を挙げれば、県立厚木高校、県立横浜緑ヶ丘高校、県立相模原高校といった、公立難関校に合格できる基礎学力があることが、そのスタートラインになっているのです。

裏返して言えば、高校受験偏差値で偏差値60未満の県立高校生、つまり、公立の中堅進学校(あるいは自称進学校)や非進学校の生徒たちにとっては、参考書ルートの最初の一歩であるはずの参考書ですら、あまりに難しすぎる、ということなのです。彼らにとっては、参考書ルートのほとんどは、いきなり崖登りから始めよと命じているようなアドバイスなのです。


中高一貫校生は参考書ルートに乗れるか?


それでは参考書ルートは、私立や公立の中高一貫校生にとってはどういう意味があるのでしょうか。単刀直入に言えば、参考書ルートはかなり多くの中高一貫校生には役立ちません。残念ながら、中高一貫校の生徒さんは、県立進学校の学力レベルに到達していない場合が非常に多いからです。特に英語の学力において、中高一貫校生は県立高校生よりも遅れが目立っているのです


二つの場合に分けて考えてみましょう。一つは、中高一貫校の多くは進学校ではなく、むしろ自称進学校(=中堅進学校)にすぎないという場合です。もう一つは、一流の中高一貫進学校に合格したとしても、その中で勉強を積み重ねてこなかった生徒さんは、進学校の生徒さん・とは言い難いという場合です。

自分の通っている中高一貫校が「本物の進学校」であるのか、客観的に自覚する


多くの中高一貫校生やその保護者は、「自分たちは少し頑張れば医学部に合格できる」とか「最低でもMARCHには行こう」と安易かつ漠然と、考えてしまいがちです。しかし、「進学校」と一口に言っても、その実態は多種多様です。毎年、難関国立大学や医学部に多数の合格者を輩出する「本物の進学校」はごく一部で、大半の中高一貫校は「自称進学校(中堅進学校)」です。また残念ながら、「非進学校」という位置づけになっている場合もあります。


実際、「自称進学校」や「非進学校」と分類される学校の生徒さんの多くは、たとえ学校の定期テストで良い成績をとっていたとしても、あるいは英検2級に合格していたとしても、大学受験で求められる**英語の基礎力**が決定的に欠如しているケースが非常に多いのです。


ご本人には申し訳ないのですが、具体例を挙げましょう。ある自称進学校の高校2年生で、英検2級合格済みの生徒さんと面談したことがあります。本人はそれなりに自信を持っていたのでしょうが、「誰が窓を壊しましたか」を英訳できませんでした。”Who did broke the window? “ になってしまったのです。また、別の非進学校(大学付属校)の高校2年生は、学校の成績は大変良く私立大学医学部志望でしたが、中2レベルの英文法(不定詞の副詞的用法)を全く訳せませんでした。要するに、自称進学校の「ぬるま湯」的環境に安住していたために、自分の実力が本当はどのレベルにあるのか自覚できていなかった生徒さんたちなのです。


これらの生徒さんが、「よし、大学受験の勉強を始めよう!」と思い立ち、『The Rules』シリーズで一番やさしい『The Rules 英語長文問題集1入試基礎』から始めようとしても、到底太刀打ちできないことになる訳です。(残念ながら、そういう高校生は多数いると思われます)。


まずは、自分の所属する学校が「本物の進学校」であるかを客観的に問い、もしそうでないのであれば、自分に英語の基礎力が備わっているのか、見つめなおしてもらうことが求められます。



中高一貫の一流進学校の生徒さんであっても、中学英語を怠れば参考書ルートには乗れない


栄光や浅野といった、神奈川県内では誰もが認める本物の進学校である中高一貫校に所属している生徒さんであっても、その何割(1-3割程度でしょうか?)かは、高校受験がないのが災いしたのでしょうか、英語の勉強を丸っきりサボってきてしまう生徒さんたちがいるようです。これらの生徒さんたちも、現実は厳しいことを自覚してください。彼らの中には、成績が劣悪なのに「東大に行きます」と言ってしまう生徒さんがいますが、これは**悲しい妄想**にすぎません。むしろ、MARCHはおろか日東駒専レベルすら進学できないかもしれないのです。


特に英語という科目は、地頭の良し悪しだけではどうにもなりません。じっくりと時間をかけて単語、文法、構文といった基礎を積み重ねていく必要があります。特に中学英語が非常に重要です。何年間も、場合によっては5年間も英語学習をサボってきたのに、高校3年生になって急に大学受験に間に合うなどという魔法のような話は、残念ながら存在しません。




参考書ルートの無慈悲なアドバイス



参考書ルートにアドバイスを求めても、中高一貫校でサボり続けてしまった生徒さんへの有益な情報を提供してはいません。いわゆる参考書ルートによると、『大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】』や『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく』が中学英語の学習には良いことになっています。しかし、これらの薄っぺらな参考書を2-3周するくらいで英語の基礎力が身に付くはずがありません。なにしろそれらの本は、高校受験で英語を相当頑張った人たちを念頭においた復習用教材なのですから。高校受験を経験しないでサボってしまった中高一貫校の生徒さんのための参考書ではないのです。


実際のところ、中学英語が不十分だった受験生が、『大岩本』『中学英語をもう一度』などを一応終えると、ただちに『入門英文解釈の技術70』を仕上げなさいと提案されるかもしれません。しかし、難易度のあまりに大きなギャップに目がくらむはずです。大多数の生徒さんは、よくわからないまま、丸暗記で対処するしかないでしょう。そうなると、英語力が向上するはずがないのです。



中学英語的基礎力の充実を


今回のブログの論点は、中学英語の圧倒的な基礎力がないと、参考書ルートに乗ることはできないということに尽きます。このとき、「中学英語の基礎」とはいったい何かとか、どうやって習得したらよいのかといった疑問が出てくるでしょう。しかし、これは次回以降のテーマとさせてください。




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