2026年東大英語の要約問題を生成AIと解くーーフロイトの著作の魔法とは?

query_builder 2026/02/27
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2026年東大英語の要約問題を生成AIと解くーーフロイトの著作の魔法とは?

2026年度の東大入試が終わりました。今回の英語は、ネット上でも大いに議論されていますが、普通の受験生が解けるとは思えないほど、超難問かつ大量の問題が出てきました。大手予備校の模範解答も2月27日現在出揃っていないのも、超難問の所以です。


シリウス英語個別指導塾としては、取りあえずは、例の要約問題(1ー(A))だけは解いてみることとしました。精神分析の始祖のS.フロイトの文章に関する文章なのですが、異様に難しいですね。相当の難化でしょう。


なんとなれば、文章の前半部分は平易で分かりやすいのですが、後半からは抽象的な言い回しとで終始し、いったい何を言っているのか、必ずしも意味が明確ではないのです。しかも2024年と同様に、あるいはそれ以上に、英文の解釈と要約をめぐって見解が分 裂しそうな気配さえあります。



端的に述べると、後半に出てくる'understatement' という言葉について、全く異なる解釈があるようです。事実、Geminiとも見解が衝突してしまいました。Geminiの解釈は、オンライン上で見つけたいくつかの模範解答と同じ解釈でした。


そんな状況ですが、このブログでは東大入試の英文要約問題について、一石を投じるというか、一つの立場に敢えて立ってみるのも良いのかなと思い、2026年の東大入試の英語要約問題のブログを書くことといたしました。


なお今回も、積極的にGemini(思考モード)とChatGPTとの対話も取り入れていくことをお断り申し上げます。


それからもう1つ、大事なことを最初に書いておきます。それはもし貴方が受験生ならば、こういった超難問あるいは「奇問」の場合、正面から攻め手はいけないということです。分かりやすい前半部のみに焦点をあて、後半を無視すれば、要約文は簡単に作成できるはずですから、そうしてもらいたい。つまり、ここではあくまでもマニアックに、生成AIの可能性に興味を持つ個別英語塾の講師が、不可解な後半部に重点を置いた覚書を書いているわけです。


以上が前書きですが、次に2026年の東大英語の要約問題の写真画像を見てください。(色がついていたり、太文字、アンダーライン等がありますが、これはすべて私が勝手に付け加えたものにすぎません)。





Freud was a writer who has inspired passionate reading; which, of course, has continued in the resentment and enjoyment with which he is still read. Normally, when people don't like a writer, they simply stop reading him, and there is no fuss about it. When people don't like Freud, they can't stop both reading him and not reading him, and expressing an opinion about him; they can't just let him go. "Once psychoanalysis has held one in its grip,' his colleague Ludwig Binswanger wrote to Freud in 1924, "it never lets go again. It is not that psychoanalysis holds people in its grip, it is that people grip on to it (as a hate-object, as a love-object, but not usually as an irrelevant object).


 (1)What is so haunting about Freud's writing?For some people, Freud's writing was the kind of reading experience that was (and is) more akin to a conversion experience. "The psychoanalytic revelation,' Thomas Mann wrote in his speech of 1936 on Freud's eightieth birthday, is a revolutionary force. (2) With it a bright suspicion has come into the world, a mistrust that unmasks all the secrets and schemes of our own souls.Once awakened and on the alert, it cannot be put to sleep again. (3)It penetrates life, undermines its raw naiveté, takes away our passion for ignorance ... (4)educates the taste for understatement, as the English call it — for the deflated rather than for the inflated word'. It is among the paradoxes of Freud's writing that(5) he inspires us by deflating us; (6)that his bright suspicion can make our lives, in their very disillusionments, more amusing, more sexually awakened, more charged with interested and interesting meaning. (7)Understatement reminds us that there is something under our statements. Something at work, and at play. (8) In Freud's description of what we are like, it is our desire for knowledge that animates us; and it is our passion for ignorance about ourselves that is so time-consuming, so life-consuming.  (9)The psychoanalytic revelation that is a revolution suggests, at its most minimal, that there may be an infectious energy about Freud's writing. It can make people excessive in their responses.




(Adam Phillips, “Introduction,” The Penguin Freud Readerを一部改変)なお繰り返しますが、アンダーラインや色文字は、このブログの書き手である私が付け加えたものである。






何を書いているのか


第一パラグラフはフロイトの文章には、忘れがたい魅力があるのだと書いてある。非常に明快であり、議論するまでもないだろう。ここだけまとめても、ある程度の得点は期待できる。


第二パラグラフは、(1) What is so haunting about Freud's writing?(フロイトの文章はなぜそんなに忘れがたいのか)から始まる。要するに、この問いに答えることが、この文章全体の要約になるはずである。


その後の文章は、高校生の受験生には非常に難解である。しかし、幸か不幸か、高校時代の私はフロイトのファンで、英語と日本語でいくつか読んでいたので、ある程度は分かったり、想像できるように思う。(大変意地悪な入試問題だ)。


この文の難しさは、一つひとつの言葉が何をさしているのか、分かり難いということだ。つまり、フロイトや精神分析医の言葉なのか、私たちの言葉なのかが、混乱してしまうのだ。(最初に述べたunderstatementについての模範解答の分裂は、これをフロイトの言葉(=フロイトの著作)と解釈するのか、それとも私たちの言葉(=私たちの見る夢や強迫観念、あるいは自由連想法で出てくるような言葉の断片)なのかで、見解が割れてしまっているのだ)。


(2) With it a bright suspicion has come into the world, a mistrust that unmasks all the secrets and schemes of our own souls


a bright suspicion (= a mistrust)  とはフロイトあるいは精神分析的な思考や診断力をさす。あるいは、フロイトの読書体験で得られる考え方である。「精神分析的な鮮やかな分析力」によって、「我々の心にあるあらゆる秘密や企みを暴露してしまう」のだ。(青文字はフロイト先生や精神分析医の思考を、赤文字は我々の心を示す)。


(3) It....takes away our passion for ignorance 


我々が(自分の心の奥底を)知りたくないと願っても、精神分析は(心の秘密を)容赦なく暴いてしまう」。


「無知への情熱(our passion for ignorance)」というのは、普通に考えると不可解な概念であるが、精神分析における「無意識」の概念を指すものである。つまり、我々が意識したくない事について、我々はそれを抑圧し「無意識」にしてしまうのである。


フロイトの著作を読むと、我々が抑圧してきた「無意識」の秘密が暴露され、意識化されるのである


(4)educates the taste for understatement(中略)— for the deflated rather than for the inflated word'.


さて、educate the taste forであるが「(趣味や技能を)養成する」「訓練する」という意味だ。新英和大辞典では、「educate one's taste in literature」 で「文学趣味を養う」となっている。


ところで、for の目的語であるunderstatement とは何なのか。このセンテンスを読むと、understatement = the deflated wordらしいが、「控えめな言葉」を「収縮された言葉」と言い換えられても、理解しにくいではないか。しかし、前にある動詞が「技能を訓練する」だとしたら、どのような技能の訓練なのか?と問わねばならない。そうすれば、控えめで収縮している言葉の正体もわかるだろう。


もちろんフロイト大先生は、英文解釈の技術を鍛えたりはしない。彼が伝授するのは、知っている人は誰でも知っているが、「夢」の解釈法だ。つまり、「夢などを適切に解釈をする訓練をする」ことであろう。


なお、フロイトは『精神分析入門』において、一見すると不可解な漢字の羅列である中国語の文献も、中国語に精通したものならば正しく解釈できる、同じように、夢解釈も正しく出来るようになるのだと豪語している。実はこれは中学三年生のときの私のフロイト『精神分析入門』の読書体験で、いまだに覚えているし、妙に感動的だった。


だが「夢」が「控えめ」とか「収縮している言葉」とはどういう意味なのか?予備知識なしに読むと意味不明であるが、フロイト的に考えると容易だ。我々の夢や、精神分析療法で出てくる言葉や症状は、饒舌にその意味を説明してくれたりはしない。それらの表象は、いつも断片的であり、省略的であり、歪曲化しているからだ。'deflated word' を私は「収縮している言葉」と訳してみた。しかし、「断片的になったり、省略化されたり、圧縮・歪曲化されてしまった言葉」と訳した方が、より分かりやすいだろう。(inflated words であれば、饒舌に語るということであろう。夢や症状などが、べらべら語ってくれるならば、わざわざ解釈する必要も苦労もないというものだ)


要するに、educates the taste for understatementとは、「夢判断等ができるようになるように訓練してくれる」と解釈するとよいと思う。(フロイトは「英文解釈」の先生ではなく、「夢解釈」の先生なのだ)。



(5) he inspires us by deflating us


これは、どういう意味なのか。「フロイトは我々を鼓舞すると同時に我々を傷つける」と訳せるが意味不明かもしれない。そこで次のもう少しだけ具体的事例の説明を読む。



(6) his bright suspicion can make our lives, in their very disillusionments, more amusing, more sexually awakened, more charged with interested and interesting meaning.


deflate us <==>inspire us という二項対立が


disillusionment (幻滅)<==> amusing, more sexually awakened, more charged with interested and interesting meaning 


という二項対立に継承されているのを読み取れる。この二項対立は、(8)の二項対立にも継承されている。すなわち、


our passion for ignorance about ourselves <==> our desire for knowledge( that animates us)


である。並べてみると、一方には、我々を貶め(deflate)、幻滅させ(disillusionment)、自分について絶対に知りたくないと願う激情がある。他方には、我々を鼓舞し(inspire)、楽しく(amusing)、性的に興味津々で(more sexually awakened)、面白い意味がありにさせ(more interested and interesting)、知りたくてたまらない欲情(our desire for knowledge)がある。


この二項対立はこの英文要約の鍵となるはずだ。しかし、いったいどのように理解したら良いのか。残念ながら私には、両者の関係が本文で説明されているようには思えない。だから、どうしても飛躍した想像で補うことになる。


ところでフロイトの著作から次のように「論破」されたとしよう。


「お前のことは、全部お見通しだ! お前はいかにも高尚ぶっているが、単なる性欲の奴隷にすぎない」


とすると、そういう洞察は、誠実に高尚に生きてきたつもりの我々を貶め、幻滅させる。(deflate には「(誇張された)自己幻想を傷つけ、へこませる」という意味もある)。 そして、そんなことは絶対に認知したくない。


同時に、他人事として捉えたときには、実に「愉快、愉快!」な解釈であり、「なんだ、あいつも結局は性欲に動かされているだけじゃないのか」と嬉しくなるませんか。また、一般的に、何気ない振る舞いには、隠された性欲的意味があるのだとしたら、誰もがそれを知りたいと思いますよね?


あまり根拠のある議論には見えないかもしれませんが、私はそういうことが書かれているのだろうと考えました。


次に以下のようなセンテンスが出てくる。


(7)Understatement reminds us that there is something under our statements. Something at work, and at play.


一部の人は、"Understatement reminds us that" を「控えめな表現で書かれたフロイトの著作が、私たち読者に語る」と解釈しました。つまり、Understatement がフロイトの著作だと理解したようですが、これは間違いです。understatementは、私たちの言葉(夢など)を指しているのでしょう。


そして、ここで述べられているのは、understatementという言葉それ自体の解釈でしょう。つまり、「Understatement (という言葉)が私たちに思い出させてくれるのは、私たちの(夢などの)供述の下に隠れて(=under our statements)何かが在るのだ」と理解すべきでないだろうか。


もちろんのことだが、私たちの供述(our statements)の下に隠れている、控えめな、或いは舌足らずな発言(understatement) は、私たちのものであろう。


そしてSomething at work, and at play とは、無意識の世界で蠢いている性欲的な力動的何かのことでしょう。



(8) In Freud's description of what we are like, it is our desire for knowledge that animates us; and it is our passion for ignorance about ourselves


すでに述べたように、our desire for knowledge(知りたいという我々の欲情)とour passion for ignorance about ourselves (自分自身のことについて知りたくないという我々の欲情)は二項対立的な概念である。そして、その相対立する二つの欲情が、我々の心の中にあるとフロイトは述べているのであろう。(ただし、our desire for knowledge の正体、および「知りたい」と「知りたくない」が共存している状況についても、今一つ曖昧である)。



(9)The psychoanalytic revelation suggests that there may be an infectious energy about Freud's writing.  It can make people excessive in their responses.(←不要箇所を削除した)


「精神分析の啓示が示唆しているのは、フロイトの著作には読者を感化せずにはおかない伝染的なエネルギーが宿っているようだということだ。それが、人々の反応を極端なものにさせかねないのだ」


(9)の訳文は出来ました。しかし、(8)から(9)への論理の道筋がよく見えてきません。おそらくは、知りたくもあり、知りたくもなしという矛盾した欲望を持っている我々に対し、フロイトの著作が触媒的に働きかけるということなのでしょう。



要約文をどう作るか。


 (1)What is so haunting about Freud's writing?という問いに答える形で要約文としたい。このとき、相対立する二つの概念、つまり、'our passion for ignorance' と 'our desire for knowledge' のようなものを重視しながら、フロイトの著作または 'his bright suspicion' を組み込む形にすればよいのだろう。


ということで、要約文を作ってみた。以下は、私自身によるもの、およびGemini(思考モード)やChatGPTとの共作である。



要約文


「フロイトの著作は、己の些細な言動の背後に秘密の力が働いており、それを我々は知りたいが同時に絶対に知りたくないとことを明らかにし、読者は嫌でも引き込まれてしまう。」(80語、私) (やや修正)


「フロイトの著作は、控えめな表現の裏の秘密や、知への欲望と無知への執着の矛盾を鮮やかな疑念で暴く。その革命的力は読者を貫き、無視できない強烈な愛憎の反応を強いる。」(80語 gemini思考モード+私)


「フロイトの著作は、自己を知りたい欲望と知らずにいたい情熱の矛盾を鋭い疑いで暴き、読者をゆさぶる力を持つ。」(52語、ChatGPT+私)


「フロイトの著作は、己の些細な言動の背後には秘密の働きが作用している事、自己を知りたい欲望と知らずにいたい情熱の矛盾があることを鋭い疑いで暴き、読者を揺さぶる」(79語、ChatGPT+私)



如何であろうか。文章は、再び修正することはあるかもしれないが、現時点の解釈としてアップしておきます。機会があれば、生成AIとの対話についてもアップしてみたいですね。



シリウス英語個別指導塾


2026年3月1日(00:08) に若干の修正。




問題再掲 (画像版)





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