高校1、2年生ともなると、高校初級用の辞書だけでは物足りなくってくるでしょう。単語数が多く、詳細な事項の説明が載っている高校上級者向けの辞書が欲しくなってくるはずです。
このとき、電子辞書を買うべきか、紙の辞典を買うべきかとか、迷っている方も多いでしょう。ここでは2回に渡って、高校上級向けの辞書としてまずは何を買うべきか書いてみましょう。
紙の辞書にも良さがありますが、もしすでに高校初級用の紙の辞典をお持ちであれば、次に買う辞書は電子辞書やiPad/iPhone/iPod touchのアプリ辞書で良いでしょう。
さて、世間ではまだまだ電子辞書を推す声が大きいですね。しかし結論的に言いますと、いわゆる電子辞書 よりもiPad (mini)を辞書として活用するのが最強です。
iPad またはiPad miniは決して安価ではありませんが、今後の勉強の効率から言って、「買い!」です。英語講師としては、iPhoneを売り払ってでもiPad (mini)を購入すべきだと言いたいくらいのiPad 推しです。もちろん次善策として、お手持ちのiPhoneを利用したり iPod touchを購入し、そこに辞書アプリをインストールするのもお勧めです。これらの機材は耳からの聴く教材や読書にも活用できます。
辞書アプリとしては、まずは物書堂のウィズダム英和・和英辞典(三省堂)を入れましょう。
物書堂はiPhone等の辞書アプリ等を作っている会社ですが、他社よりも圧倒的に評判が良いですね。基本的に値段も他社と同じですから、物書堂の辞書アプリを選ぶべきです。
なお『ウィズダム英和辞典』『ウィズダム和英辞典』はいわゆる高校上級以上向けの英和辞典および和英辞典ですが、評判は非常に高いです。もちろんこの辞書を使えば、高校上級レベルの英語や大学入試問題のほとんど全てに対処出来ます。(他社からは『ジーニアス英和大辞典』も出ていますが、敢えて購入する必要はない)。
なお、英作文(英語ライティング)で頑張ってみようという人もいるでしょう。
英作文は東京大学、一橋大学をはじめとする国立大学、早慶の文系上位学部(早稲田大学の政経学部と法学部、慶應大学の経済学部、医学部)の入試には不可欠です。また、英検準一級やTEAPでもその力が求められています。
もし本格的に英作文の準備をするとなれば、コロケーション辞書や類語辞書、英英辞典もある方が良いかもしれません。たとえば、『小学館 オックスフォード 英語コロケーション辞典』や『Oxford Collocations Dictionary』『オックスフォード現代英英辞典』などです。ただし高校生が慌てて購入する必要はありません。(オンラインの無料辞書を試してからでも遅くありません)。
そしてもう一つ欲しくなるのが、日本で唯一の大型和英辞典、研究社『新和英大辞典』です。
残念ながら物書堂からは出ていません。どうしても欲しいと言うのであれば、他社から出ている『新和英大辞典』(1万4000円)を買うことも出来ます。しかし当塾としては、『新和英大辞典』の入っている電子辞書を別に購入することを勧めています。
大学入学以降は大辞典等の購入を検討してください。物書堂の辞書アプリで言えば、
この中でどれか一つ選ぶとしたら、収録されている単語の数が多い『リーダーズ英和辞典+リーダーズ・プラス』でしょうか。
iPadの辞書が電子辞書と比べてて優れているのは次の点です。
(1)画面が大きくて一覧性を確保できる
(2)必要な場所へと瞬時にジャンプできる
(3)例文・成句(熟語)を探しやすい
(4)日本語から英文等を探しやすい
(5)辞書からコピー&ペーストしたり画像保存したりして、外部保存することができる。
簡単に解説しましょう。
(1)iPadは画面が広くて一覧性が確保出来ます。例としてasを調べたときのiPad Miniと電子辞書の画面を比べてみてください。一目瞭然だと思います。
この時、電子辞書とiPhone/ iPod touchであれば、たいした差異がないと思われるかもしれません。しかし、それが違うのです。
(2)必要な場所へと瞬時にジャンプできる
例えば、asという単語を調べてみるとしましょう。
as は、接続詞、前置詞、代名詞(疑似関係代名詞)、副詞と様々な品詞の場合があり、それぞれ意味や役割がかなり異なっています。その中から自分が求める語義を探し出さなければなりません。そのためには、求めているasのの品詞を想定しながら、当たりを付けていきます。(品詞の概念をよく理解できない初級者は、高校上級用の辞書を使いこなせません)。
この時、iPhone(iPad、iPod touch)用のアプリであれば、[三 ] のところをクリックし、さらに品詞を選択してクリックすればたどり着けます。場合によっては、接続詞のasように、さらにそのなかで適切そうな語義にクリックして、そこへジャンプします。
しかし電子辞書では、品詞をクリックしてジャンプ出来ません。ひたすら下方にスクロールして移動しながら求める語義を探すのです。iPadやiPodと比べてスクロールスピードは極めて遅い。
あまりに時間がかかるので、独習者の多くは必要な語義にたどり着けず頓挫してしまいます。
(3)例文・成句(熟語)を探しやすい
電子辞書の場合は、熟語で調べるか英単語で調べるか、最初から腹をくくらなければなりません。使ってみればわかりますが、かなり面倒です。
他方、iPhone(iPad、iPod touch)用のアプリの場合は、一単語でうまく調べられなかったら複数の単語を調べてみる、あるいは複数の単語でダメだったら一単語で調べてみる方法で調べられます。融通が利く検索方法なのですね。ぜひ本物を使って実感してみて欲しいです。
(4)日本語から英文等を探しやすい
本格的に英文ライティングや英作文をするようになりますと、和英辞典だけではなく、英和辞典を活用しながら日本語から適切な英文を検索したいと思うようになるはずです。残念ながら現行の電子辞書では、全然出来ない訳ではないですがちょっと厳しいです。
え、どういうことと思われる人も多いでしょう。必ずしも絶対に必要なテクニックというわけではありませんが、もし英文ライティングにご興味があればお読みください。
たとえば、「もてなし」という言葉を英語でどのように表現したら良いかと考えるとしましょう。
「もてなし」という言葉を「見出」(「見出」の部分が青くなっています)で検索すると、和英辞典で普通に検索することとなります。(画像では、『オーレックス和英辞典』と『ウィズダム和英辞典』で検索できるようになっています)。
しかし、和英辞典の検索で出てきた単語がぴったりの英単語(語句)かといえば、なかなかそう言うわけには行かないでしょう。そこで今度は「用例」(英文例のことです。「用例」が青くなっていることに注目してください)をクリックしてみます。(用例検索)
すると、『ウィズダム英和辞典』の用例が14項目も、つまり「もてなし」が、humor, care, hospitality, reception, welcome, treat like a king 等々の様々な表現で表されているのが分かるでしょう。
要するに英和辞典が一種の和英辞典としても役立っているのです。英文を書いてみると分かりますが、英単語の意味を知っただけでは大変心許ない。その単語がどのように使われているのか具体的な英文例を読んでみないと、適切な英単語の使い方をしているのかよく分からないのです。その意味でiPhone等で「用例」を検索してみることは、非常に役に立つはずです。
(5)辞書からコピー&ペーストしたり画像保存したりして、外部保存することができる。
高校生の段階ではあまり使わないかもしれせません。でも、これは非常に有り難い機能です。(以下略)。
次回は、『ウィズダム英和・和英辞典』の他にどのようなアプリを購入すべきなのか説明していきます。