
以前(2023年4月4日)GeePeeTeeについてのブログを書いてから、chatGPT、BARD(Google)、Bing(マイクロソフト)等の様々な対話型人工知能(AI)を試してみた。噂通りで、確かにスゴイ!
今までの常識を完全に覆すツールですね。例えば、舞台や単語などの諸設定を決め、これで物語を作ってくれと命令すると、瞬時に文章を作る。単語数や難易度を変えてくれとか、正誤問題を作ってくれと命令しても良い。
しかし、すでに頻繁に伝えられているように、とんでもない噓つき野郎でもあると実感した。ネットで調べればすぐ分かるレベルの情報でさえ、全然確かめたりせずに、いい加減な話をでっち上げる。架空の人物、決して存在しないバス路線、間違った年号などなど。
英語の文献では、対話型AIの発する嘘を、confabulation (=(精神病者の)作り話)だとか、hallucination(幻覚症状)とか呼ぶようだ。
例えば、プロ棋士で一番負け数が多い人は誰かと、iPhoneのGeePeeTeeに質問したところ(プロ棋士で負け数がずば抜けて多いのは、加藤一二三であることは、よく知られています)。
神田辰之助九段です。
と返事が返ってきました。
そんな名前の棋士は全く聞いたことが無かったので、架空の人物を創造してしまったのであろうと考え、いったい神田九段とは何者かと尋ねました。すると、
1956年生まれの棋士で、身長は170cm、血液型はAB型。得意戦法は三間飛車だが、大胆な手で敗因になってしまうことが多い。引退後は後進の指導にあたる。
と作り話を展開してきた。
なお念の為にウィキペディアで調べてみると、1957年生まれの神田辰之助は存在しないが、同姓同名の神田九段が第二次対戦前(1893ー1943年)に活躍していたと言うことがわかった。もちろん、負け数日本一の記録を樹立したわけではない。勝手に名前だけを借用したのだ。
対話型AIは、アメリカの司法試験に合格できる能力があるとも言われるが、いい加減に話をでっちあげてしまう場合も多いということなのだ。(とくに日本語で質問をすると、データ入力が英語と比べて少ないので、いい加減なことをさらに頻発しがちである)。
我々人類を騙してやろうと企んでいる訳ではないようだが、自分の作る文章について、その情報が正しいか、説得力があるか、論理的かといったポイントには、ほとんど無関心だ。だから悪気なく適当な嘘もでっち上げてしまう。
その理由は、対話型AIは、言語データベースに基づく文章生成装置なので、重要なのは言語表現としての「もっともらしさ」だかららしい。言い換えれば、表面的に道理にかなっているように見えさえすれば、それで良い。それが彼らの知能の正体だ。
そんないい加減な詐欺師のようなAIなんか、全く無意味じゃないかと思う人も沢山いるだろうが、そんなことはない。文章の「内容」の吟味についてはまるでいい加減なのは確かだが、文章の「形式」については、優れた能力があるはずだからだ。
つまり、理科や社会は全然ダメな英語や国語の先生のような存在なのだ。あるいは、百科事典的機能はいい加減だが、言語辞典(類語・反対語辞典、表現辞典、コロケーション辞典、表現言語など)の機能は満載と言ったらよいだろうか。そんなAIは、言語の教師として最高ではないのか。
このブログは英語塾のブログであるので、我々の興味は次の点にある。英語学習のためには、どのように対話型AIの力を最大限に活用出来るだろうか。
オンライン上でしばしば見かけるのは、対話型AI能を使って問題文(英語長文と正誤問題など)や暗記用単語リストを作ってもらうというものだ。そういう使い方はお勧めできない。なにしろ、問題集や単語本などは、すでに山ほどあるからだ。市販の教材優れた教材教材に任せれば良い。
同様に、模範回答を作ってもらうとか、宿題代行をしてもうらなどの使い方も感心できない。
対話型AIが優れているのは、まさにその「対話型」に意義がある。つまり、個々の学習者に寄り添ってくれるのだ。解答例をいきなり提示する能力だけではなく、一人ひとりの学習者が書いた文について、ある程度以上は元の文を尊重し、その改善案を提示してくれるのは、なんとも有り難いではないか。
英語を学習しようと思うならば、まずは自分で英語を書いてみること、そしてそれを対話型AIに添削してもらう。そしてもしその添削やアドバイスが適切だと判断できれば、それを取り入れ、自分の文章を書き改めたり、付け加えたりする。そしてさらに、書き改めた文章を再度AIにチェックし添削してもらうのだ。つまり、AIと対話を深めていくように、自分の書いた英文を何度も繰り返し修正して練り上げるのである。それが一番勉強になるのです。
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AIの提案や指摘がどうしても納得できない時にはどうするか。(2023年5月20日補筆)
さて、ここで大事なことを付け加える。AIの提案は必ずしも適切であるとは限らない。(具体的事例については、近いうちにいくつかブログで提示しておきたい)。もしその提案が不適切であるときは、どうしたらよいのか。その時は躊躇なく、別解を求めてみたり、別の対話型人工知能に同じ質問を投げかけてみよう。
あるいは、AIに不明点について質問をしたり、異議申し立てしてみるのも悪くない。(AI側が、自分の主張を強引に押し通そうとする場合もあれば、即座に謝罪することもある)。こちら側が積極的にレスポンスすれば、納得できる回答を引き出せる可能性があります。
いずれにせよ、黙ってAIの提案を受け入れるような姿勢だけは、絶対に避けなければいけない。AIの提言をいつも真に受けるような愚か者になってはならないのです。
ちなみに、『英語教育』という雑誌に書かれてあった大学教授の模範英文(和文英訳)についてAIに評価を任せたところ、CEFRでB1レベル(英検2級程度)という評価でした。[抗議しても変わらず]。また、英語の哲学図鑑の和辻哲郎の解説記事(英文)を評価させたら、B2レベル(英検準一級レベル)と出ました。[抗議したらC1レベル、つまり英検1級くらいに昇格しました。教養のあるネイティヴが英検1級レベルのはずがありません(苦笑)]。
どちらも、率直に言ってナンセンスです。日本人大学教授やネイティヴの哲学系ライターの英文が、僕の生徒よりも低レベルのはずがないのです。おそらく、現行のAIでは英文のレベルの評価は非常に難しいのでしょう。
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あるいは、自由英作文の課題で、何を書けば良いのか途方に暮れている時に、いくつかアイデアを出してもらう。例えば、「あなたの行きたい海外の都市を挙げ、その理由を説明しなさい」という問題が出され、困ってしまったとしよう。このとき、例えば、「タイ国のアユタヤ市に旅行する理由をリストにして教えて」(Make a list of the reasons why people go to Ayutthaya.)と質問してみたら良い。そして、そのリストを参照しながら、自分なりの英文を書いてみるのである。
実際に、AIに英文の添削をやらせてみると、実に素晴らしい働きを示すことが多い。なにしろ、いつでもほんの一瞬のうちに、添削や推敲に応じてくれるのだ。日本の英語学習者の多くは、ライティング(やスピーキング)となると、独学を強いられているだろうから、かつてない福音だ。なにしろ、自分が書いた英文をしっかりと添削してもらえるなんて、ほとんどの日本の英語学習者には、期待できない状況だったのだから。
具体事例に入る前に、長所と短所を最後に列挙してみる。
長所
短所
こう書いてみると、AIによる文章添削や採点は、結局のところ、かなりポンコツで、とうてい英語学習者が利用するに値しないのではないかと思われてしまいそうだ。しかし、そんなことを書きたいのでは断じてない。まるで逆だ。
多くの場合、充実した指摘、提案をしてくれるからである。ただ忘れてはならないのは、AIを使う学習者側がしっかりとした判断力を持って、AIのメッセージを取捨選択しなければらないということだけである。(だから英検一級程度くらいの英語力は求められるだろう)。
例えば、英語教師と対話型AI(chatGPT、BARD、BING、Perplexityなど)とがタッグを組んで、高校生や英検受験生の英文ライティングの添削指導をするならば、英文ライティングの指導は、格段に迅速で能率的になるはずだ。あるいは、英語教師が英語を研鑽したり、英検一級やTOEFLのライティングの独習する時などにも、大いに役立つだろう。
今回はこれまでとする。次回は、対話的人工知能の英文添削力について、具体的に書く。
最近、世間を大いに賑わせているお手軽な対話型AIですが、日本人の英語学習や指導、とりわけ英作文(英文ライティング)に有効に活用出来るでしょうか?英語学習者であり、英語講師である私には大いに気になるところです。皆さんも、とても興味がありますよね。
私も早速使ってみました、と言いたいところなのですが、2023年4月3日現在、すっかり例の対話型AI”ChatGPT”については出遅れてしまいました。今さら試すのは、ちょっと癪です。ところが2023年の3月末に、iPhone向けの対話型AIのアプリとして、“GeePeeTee”が新しく発表されたと伝えられました。そこで今度こそは乗り遅れないようにと、早速インストールし、その実力をチェックしてみた次第です。
という訳で、GeePeeTee先生の英語指導力の現状を紹介いたします。
2002年の大阪大学の入試問題では、次のような和文を英訳せよという問題が出されました。
私たちは、ことばを使っていると、ことばというものが色々な意味で「力」を持っているということを経験すると思います。人を喜ばせたり、悲しませたり、人の心を動かして何かをさせるーーことばには、このような力があります
私は下記のように英訳してみました。
Using language, you have experienced how powerful language is in various kinds of way; it is language that makes people happy or sad or moves them to do something. They are the power of language.
そして、GeePeeTeeに添削をお願いしました。すると次のようなアドバイスが返ってきたのです。
There are no objectively incorrect statements in the passage, but there are couple of suggestions that could be made for improvement.
要するに、文法的ミスはないが、さらに改善出来ますよと云うのです。
Here’s a corrected version of the passage:
“You have likely experienced the power of language in various ways. Language has the ability to make people happy or sad, and it has the power to motivate people to take action. These are just some examples of how powerful language can be.” (アンダーラインを私による)
どうでしょうか。確かに良い英文になったようです。
分詞構文などを使わず、「経験すると思います」を”have likely experienced”と修正してくれました。(ただし、GeePeeTeeに和文は読ませていません)。
また、”the power of language”という表現を用い、the powerを”the ability to V” と承けました。簡潔で良い表現です。
そして、最大の改善ポイントは、”moves them to do something”という直訳的英語を”motivate people to take action”にしたところです。
最後の締めくくりの”just some examples”は、和文にはない英文ですが、適切なセンテンスでしょう。
GeePeeTeeの英作文指導(添削)について、私はかなり気に入りました。
これも2002年の大阪大学の和文英訳問題です。(一部削除してあります)。
「写真を撮るときは、ただカメラに向かうのではなく、あなたの好きな人の顔を思い浮かべて、話しかけるような気持ちになると良い」
今回は、GeePeeTee先生に直接和文を読ませ、それを英訳してくれるように要請しました。すると、次のように即座に返答してきました。
Here’s the translated sentence in English: “When taking a photo, it’s good to not just face the camera, but also imagine the face of someone you love and speak to the camera as if you’re having a conversation with them.”
かなり素晴らしい解答のように思えます。しかし、“When taking a photo“ という英訳は間違いです。というのは、ここで「写真を撮るとき」というのは、文意からすると、自分の写真を撮ること、つまり誰かに撮ってもらったり、セルフタイマーを使って自分の姿を撮影することを意味しているからです。そのことは文脈からは明らかです。
ところが、”taking a photo” と英訳してしまうと、「私が何らかのオブジェの写真を撮ろうとするとき」という意味になってしまいます。人工知能が犯しがちな誤訳だと想像できます。
話は続きます。対話型AIですので、こちらがミスを指摘すると、GeePeeTeeは修正に応じたり、謝罪してくれるのです。
I apologize for my mistake. Thank you for bringing it to my attention
と謝罪の返答がありました。さらにこちらが説明すると、
ありがとうございます。その場合、 正しい英訳は、「When taking a selfie」です。おっしゃるとおり、「写真を撮るときは」は自分の顔写真を撮るという意味合いがあります。
と返答してきました。
煩雑になるので、それ以上の修正は求めませんでした。しかし、「写真を撮る」が何故この場合には自分の顔写真を撮るという意味になるのか、そこまではGeePeeTeeは分からなかったようです。
また、自分の顔写真を撮るのだとしても、「taking a selfie」はちょっと不適切でしょう。これだと、2010年代以降ののスマホによる「自撮り」写真になってしまいますから。この和文はおそらくは第三者に撮影してもらう時を想定しているはずです。やはり”taking”(撮る) ではなく、”taken”(撮られる)を使い、”When you have your picture taken” としてもらいたかったところです。
いかがでしょうか。完璧とは言えないにせよ、Gee Pee Teeには相当の英語力が備わっていることが分かりますね。ある程度以上、たとえば英検準一級以上の英語力のある高校生でしたら、英作文の勉強の相棒にふさわしいようにさえ思えます。いや、それ以上に、英語の先生にとって、頼りになる相談相手と言って過言ではないでしょう。ただし、やはり普通の日本の中高生には、まだ使いこなせないかな。
世間では、対話型人工AIがあれば、英語の先生は不要だという意見まで出ているようですが、それは過大評価でしょうね。
今回は、取り急ぎ上記の報告まで。
(2023年4月5日修正)
春がやってきました。その度に英語学習者に告知したいことがあります。それは、一番使い勝手の良い英語の辞典を、最もリーズナブルな価格で入手する時が来ましたよと言うお知らせです。
英語学習者、あるいは英語を日頃使っている人の大半が、最も使いやすいと思っている辞書は何でしょうか。すでに答えは出ています。
紙の辞典や、いわゆる電子辞書ではありません。ズバリ、iPhone用のアプリで、物書堂から出ている英語辞典と広く合意ができています。
そして、物書堂のセール価格は、毎年4月に実施されるようです。iPhoneを持っている人ならば、ぜひともこの機会に購入しましょう。(追加のお知らせ。2023年の春の「物書堂 新学期・新生活応援セール」は4月3日(月)から4月24日(月)(←クリックしてください) となりました)。
ほとんどの英語学習者の場合、物書堂のアプリの中でまずは一番リーズナブルな価格の『ウィズダム英和・和英辞典』から始めると良いでしょう。(2023年3月20日記す)
中高一貫校の中学生のお子さんが、学校の英語の授業についていけなくなりそうな時、あるいは、すでに授業が分からなくなってしまった場合、どのような手を打てば良いでしょうか。
現実的に考えると、家庭教師または個別指導塾に通わせるしか選択肢がありません。
とはいえ、どの家庭教師・個別指導塾でも良いという訳ではありません。いくつかの条件を挙げてみましょう。
落ちこぼれでしまった生徒を救済するために、絶対に欠かせないのは、家庭教師であれ個別指導であれ、週2回以上の授業を受けることです。たとえどのような事情かあるとしても、絶対に守ってください。
◉塾関係者や語学教育関係者の共通の経験からすると、英語は週一回の授業では成果がほとんど上がらないからです。
◉ある程度の学習密度がないと、前回習ったことをすっかり全部忘れてしまうので、何もかも最初からやり直さなくてはならないからです。これでは英語力を積み上げる事が出来ません。
ちなみにロンブ・ カトー著 米原万里訳『 わたしの外国語学習法 』(ちくま学芸文庫)によると、外国語を学習するならば、週に最低10−12時間必要だという説が提示されています。
◉週一回だけの授業では、大半の学習者が挫折してしまうからです。
私自身、大学生時代にドイツ語等いくつかの外国語(第三外国語)に挑戦しましたが、週一回の授業しかない場合は、毎回の如く挫折してきました。今考えると、週一回しか授業がない場合、挫折してしまうのは、やむを得ないことなのでした。
◉落ちこぼれ君は学校の英語の授業がちんぷんかんぷん状態なので、塾や家庭教師の授業だけが英語の勉強時間となっているからです。
学校に追いついていれば、塾の授業と学校の授業がかみ合い、週一回でも成果が上がります。しかし、落ちこぼれ君の場合は、週2回以上通塾しましょう。
週2回を勧めると、やはり週一回で良いと希望される方が非常にたくさんいらっしゃいます。予算が足りないか、クラブ等で忙しいからといった理由があるようです。その場合にはどうしたら良いのか。いくつかのヒントを出しておきます。
◉期間限定で週二回の通塾をしましょう。
たとえば、4〜6か月限定で週二回の通塾はどうでしょうか。その後は家庭教師や塾を止めれば良いのです。ただし、予め家庭教師や塾の先生に、その旨、申し出ておくこと。
当塾でも、お医者さんの家庭のご兄弟が、8か月間限定の集中授業を受講されました。お兄さんは、その後、首都圏の国立大学医学部に現役進学されたそうです。
◉一回の授業時間を少し短くしましょう。
例えば、80分×2 → 60分×2 はどうでしょうか。
1時間あたりの料金は、多少割高になることが多いでしょうが、授業回数だけは2回以上を確保してください。
◉高校生になるまで待つ。
実際、高校生になってから、集中して勉強すれば、一気に遅れを取り戻すことは、不可能ではありません。高校生になると、少し大人になってきますから、自覚をもって勉強に取り組むことができます。また、大学受験が目の前に迫っていますから、やらなくては不味いと理解できるからです。そういう訳で、高校生で始めれば、成果が上がりやすくなります。つまり、コスパが良くなるのです。(ただし、いつまで経っても、やる気の出ない高校生も沢山います、念のため)。
◉ 学生講師や素人講師などに教えてもらう。
当塾としては、あまりお勧めしたくはないのですが、料金的に安くなるのであれば、そういう手もアリかとは思います。ただし、お子さんと一緒に遊んでしまう先生だけは、ご注意ください。
◉クラブ等で忙しいのであれば、オンライン授業(スカイプ授業)と対面授業を組み合わせましょう。
オンライン授業は通塾時間がかかりませんし、夜遅くの授業でも負担は減ります。
たとえば、
80分 ×1 対面授業
60分×1 オンライン授業
とするのはどうでしょうか。
当塾(シリウス英語個別指導塾)のようなプロの個別指導講師の経験から申し上げますと、真面目に宿題をこなしている生徒さんであれば、週二回(一回80分または60分)の授業で学校に追いつき、追い越すことが可能です。
しかし、どの生徒さんも必ずしも成績が上昇するとは保証できません。というのは、学校の英語の授業についていけなくなった生徒さんの多くは、なまけ者君だからです。
怠け者君は、ご家庭で宿題をしっかりと、毎日、やりません。完全にサボったりはしないとしても、授業前日の一夜漬けかもしれません。いわゆる「やっつけ仕事」ですね。その場合、週2回ではちょっと厳しいかもしれませんね。お金はかかってしまいますが、週3−4回くらいの授業を受けるのが良いということになります。
◉真面目な性格の生徒さん—-宿題を真面目にこなす生徒さんであれば、週2回でOKでOKでしょう。
◉毎日の宿題をサボりがちな生徒さん—-プロ家庭教師・個別指導塾講師の一対一個別指導で、週3−4回以上が必要です。
◉学生講師等の家庭教師や個別指導塾の場合—-中下位の中高一貫校で一流大学を目指していない場合は、必ずしもプロ講師(家庭教師)でなくても良いかもしれません。しかし、その場合、週4ー5回の授業を受けさせると良いでしょう。
個別指導塾の場合は、必ず1対1の個別指導で、しっかりと丁寧なレクチャーがあるところを選んでください。
個別指導塾と銘打っている塾の多くは、実は先生1人 対 生徒2~3人の指導だったりします。これでは、英文法を丁寧に体系的に説明することは出来ません。授業というのは、問題演習と答え合わせでしかなかったりする訳です。落ちこぼれ君は、これでは英語が分かるようにはなりません。
中学英文法は、易しいようでいて、実は大変難しいです。というのは、色々な単元を全部覚えていなくてはならないからです。
中学生で習う英文法には、例えば、一般動詞とbe動詞の区別、他動詞と自動詞、疑問詞、進行形、受動態、現在完了、助動詞、接続詞、前置詞などといった非常に多くの単元があります。定期試験であれば、それらを一つか二つマスターしていれば良いかもしれません。
しかし、将来一流大学に進学する中学生の場合、最終的には、全部の単元を完全理解をしていなければなりません。これが難しい。
新しい単元に取り組もうとすると、既習事項を完全に忘れていることを発見する。その繰り返しです。どうやって忘却の連続から抜け出したら良いのか。
巷の本屋さんでは、『中1ワーク』『中1ドリル』『中学英語を一つひとつ○○○』等々、沢山の問題集が売られています。どれも悪い教材ではありません。しかし、これらの問題集を、一通り完成させたとしても、中学英文法は習得できません。というのは、一度やっても、やった端から忘れてしまうのが普通だからです。
もちろん、中学英語のアプリ教材(iPad教材など)も、似たり寄ったりです。中学生は、最初に習ったことを、折り返し地点にたどり着いた時には、すっかり全部忘れてしまっているのです。
英語学習は、忘却との戦いです。忘却を克服する実績やノウハウがあるのかが問われています。
繰り返しになりますが、ポイントをまとめます。
中学生は次からつぎへとすぐに忘れてしまいます。生徒さんが、忘れても、忘れても、何度でも繰り返し学び直させること、そして、それを定着させるようなノウハウや実績があることが求められています。落ちこぼれ君を、最初の第一歩から訓練し、基礎を習得させる経験を積んだ講師(個別指導塾・家庭教師)がいるのかどうかが問われています。
オンライン授業はとても良いのですが、それでもやはり中学生には、対面授業の機会あることが望ましいですね。
対面授業が良い理由の一つは、生徒さんのテキストやノートをチェックしやすいことが挙げられます。
よろしければ、お子さんの単語本(帳)をチェックしてください。何も書き込みがない、きれいな単語本であれば、全然勉強をしていないか、あるいは、勉強法がわかっていない証拠です。きれい過ぎるノートも、感心できません。要するに、中高校生のほとんどは、ノートやテキストの使い方を知らないのです。
対面授業でないと、勉強状況や勉強法の指導を適切に出来ないのです。
(ただし、怠け者クンの場合は週3~4回の授業が必要)
★★★ ほとんど必須要件
(b)プロ講師(家庭教師・個別指導塾講師)による1対1の個別指導であること
(c)中学英文法養成のノウハウと実績があること。
★★強く望まれる
(d)対面授業があること (中学生の場合、オンラインだけでは厳しい)
以上、ぜひ参考にしてください。
後記 中高一貫校の英語落ちこぼれからの脱出のテーマについて、以下のブログを書きました。
中高一貫校の中学生、英語で落ちこぼれた時の対策(その手は悪手!)(←クリック)
英語の落ちこぼれ中高一貫校中学生のための処方箋 (←このブログ記事です)。
中高一貫校高校生の英語落ちこぼれへ組への処方箋(前編)(←クリック)
中高一貫校の英語の落ちこぼれ高校生への処方箋(後編) (←クリック)
前回(一流私立中高一貫校に合格しても伸び悩む、その原因は知的好奇心の欠如 ←クリック)の続きで、O君と魚関係の写真を掲載し、後半で一応のまとめを書き、まずは一区切りとします。お楽しみください。
この人↑は誰だかお分かりになりますか?漁師さんじゃないですよ(笑)。前回ご紹介したO君のお兄さんで、当塾の卒業生でもあります。現在北海道大学水産学部で学んでおられます。
さすが水産学部の学生!って感じですよね。
ここからはお兄ちゃんの方がとった魚達をご紹介しますね。しばしお楽しみください。
これはアカハタという魚だそうです。アカハタというのは根魚(ネザカナとかネウオなど読み方は諸説ある模様)といって、岩がたくさんあるところの下の方に生息しているらしいです。調べてみると英語ではrockfishというそうで、確かにそのまんまですね。
一番上の魚は真鯛(まだい)だそうです。ちょっと桜色っぽいので「桜鯛?」と質問すると、桜鯛というのは春、桜の咲くころにとれる真鯛のことだそうです。ただ、サクラダイという別の種類の魚がいるそうで、それはスズキ目ハタ科の魚。調べてみると、鮮やかな赤色の体に白い斑点が散っているようです。(因みに真鯛はスズキ目のタイ科。)
真鯛の隣がヒラスズキだそうです。波がたつ‘’さらし‘’というところによく生息しているそうです。
これはブリでしょうか?
これはサクラマスでしょうか?
これがカラフトマスでしょうか?
これは鮭でしょうか?大漁ですね(@_@)
≪ひとまずのまとめ≫
以前こんな記事を書きました。
将来伸びる子にするための子育てをしよう←クリック
将来グングンと柔軟に伸びる子に育てるためには、「大きな余白=見えない学力=栄養たっぷりの土壌」を育んであげることが不可欠だ、という内容です。
皆さん、我が子を少しでもよい大学に通わせたい、優秀にしたいという強い思いを抱きながら、日々子育てに奮闘されているのだと思いますが、なぜかなかなかうまくいかない、という方も多いのではないでしょうか?その原因は実は、知的好奇心が欠如している状態で、必死に成績ばかりを追い求めているからというケースが多いように感じています。小さいうちにしっかりと土壌を耕してあげ、知的好奇心を育んであげる。まず何よりもそこがスタートラインです。
このコンセプトを丸々自然体で実践なさっているご家族、それがO君ご一家なのです。何かを成さねばならない、とか、子を何者かにしなければならない、といった呪縛に全くとらわれることなく、ナチュラルに生活なさっている、私からはそんな風に見えます。
一つの模範とすべきご家族だと思いますので、是非参考になさってください。
例えば、ご兄弟二人とも、中学受験を経験されましたが、親御様が率先してリードしたわけではなく、お子さんが小5か小6の時に自分から受験したい、と言い出したので、それならばと応援しただけのようです。
世間では、眉間に皺を寄せた教育熱心なママたちが、やれ「サ〇ックスだ」「四〇大〇だ」「さらに個別だ」と小さい子どもの手を引っ張ってあちこちの塾に連れまわしている方がいらっしゃいますが、そういう世界からはおよそ無縁な世界で、世間の風潮に踊らされることなく、のんびりとマイペースで、しかも涼しい顔して受験を走り抜けたなんて、カッコイイと思いませんか?
お兄ちゃんの方は、いざ大学受験突入!という時も、高校2年生あたりから本気モードを出し、(かといってそれほどガリ勉しているようには見えませんでしたが(笑))またもや北海道大学水産学部に颯爽と合格を果たしてしまいました。
当塾に通い始めた当初は他の多くの入塾生同様、英文法の基礎からやり直しをするレベルでした。しかし、やればやるだけどんどん伸びていき、わずか2年で基礎から北海道大学合格レベルまで英語力を順調に伸ばすことができました。まさに乾いたスポンジが水を吸い込むかのごとくです。
「見えない学力」=「余白」=「よく耕された栄養たっぷりの土壌」が育まれている子は本当に順調に、やればやっただけの成果が得られます。
前回の記事と当記事に掲載した魚についていろいろと教えてくれたのが中2のO君、上の写真の弟君です。前回の記事にも書きましたが、物心ついたころには家に「図鑑」があっていつもそれを見ていたとのことです。そして「図鑑」を見れば自分が調べたいこととは別に、更に関連した内容も載っているので、どんどん知識が広がっていくのだ、と嬉しそうに話してくれました。
確かに、釣りを趣味とし釣りに没頭しているわけですから、魚の種類だけではなく、この季節にはどんな魚がとれるのだろうか、どんな場所に行けば釣れるのだろうか?エサは何がよいだろうか?etc…知りたいことは無限に表れますが、調べればわかる、ということが体験上わかっているので、主体的積極的にどんどん調べていくのでしょうね。そういえば、O君と話していると、「この写真はお兄ちゃんが五島列島に行った時のもの」とか「〇〇の魚はオホーツク海にたくさん生息している。」といったように、魚の説明の時に地名もよく出てきます。これ、速攻学校の地理の勉強にも役立ちます。
最初は、釣った魚の種類を知りたい、という素朴な好奇心から始まっただけなのに、それが生物の体の仕組みだけでなく、生態系だとか地理的学びへとつながっているわけです。このような生きた学びが、「知らないことを知りたい!」という内発的動機付けに突き動かされ、主体的かつ自然体でできているなんて、なんと素晴らしいことでしょうか!本当に素晴らしいです。
こういうお子さんは、何か教科の学習をしていても、自然と気づきが多くなるはずです。「これはどういうことだろうか?」「どうしてこうなるんだろうか?」この「疑問」がないと勉強は自分の肥やしにならないんです。
O君ご一家のありようは、教育学的に見て、子どもの能力を柔軟に伸ばすための沢山のポイントがあります。本当は、一つ一つ、「こういうところは、勉強面のこういうところにつながっている」といったことを細かくご説明したいところですが、多すぎて、そう簡単にはまとめられませんので、折に触れて引用させていただきたいと思います。
皆様、特にまだ未就学のお子さんをお持ちの親御様方は、とにかくお子さんと自然の中でたっぷりと遊び自然に親しむことをお勧めします。そこには、子どもの好奇心を育む栄養素があちらこちらに溢れています。