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塾ブログ 林間教育通信

2016/06/09

大学受験の英語長文―早慶の英語長文の難易度

大学受験の英語長文―早稲田・慶應の英語長文の難易度について

 

英語長文は、原則的に東海・大東亜帝国=>日東駒専=>成蹊・成城・明学=>GMARCH=>早稲田・慶應 と難しくなるのだと前回説明いたしました。しかし、詳細にチェックしてみると、GMARCH・早慶においては、必ずしも大学のランクと英語長文の難易度が一致しているとは限らないのだ、とも説明いたしました。今回は、早稲田や慶應の学部間格差が、大学入試の英語長文の難易度にどのように反映しているのかを説明していきます。

 

すでに皆さんご承知のことと思いますが、早稲田・慶應といっても、看板学部(上位学部)非看板学部(中位学部)、さらには都心から遠いキャンパス(早稲田大学所沢キャンパス、慶應大学湘南藤沢キャンパス(SFC))、国際系あるいは英語重視学部部など分れていおり、当然大学入試問題にも反映しています。さて、ここで重要なことは、英語長文の難易度に着目する限り、看板学部の方が非看板学部よりも英語の長文読解が難しいとは限らないのだということです。また、難しい長文を課すからといって純粋に高い英語力を求めているとも限りません。(たとえば、よくわからなくても力仕事で最後までやりとげる「根性」や「執念」を測っているのかもしれません)。

 

年によって異なるのですが、早稲田・慶應(*)の長文問題の難易度をだいたいの感覚で大雑把に順番を付けてみると、次のようになりました。(異論はあるでしょう)。

 

早大・所沢(スポ、人間科学)<<<早大(教、政経)、慶應(経済)<早稲田(文学、社学、商、理工)、慶應(商、医学部、理工)<早大(法)<慶應(薬、法)

 

*)英語重視の早稲田大学国際教養と慶應大学SFCの学部(環境情報学部、総合政策学部)、および慶應大学看護医療学部と文学部は除きます

 

 

早稲田の所沢キャンパスの2学部(スポーツ科学部、人間科学部)は、試験問題もはっきり言って易しい。とくに人間科学部は、英語長文問題が抜群に短いことで際立っています。両学部は偏差値も低いのですが、それがそのまま反映しているようです(残念ながら、神奈川県からは2時間以上通学時間がかかりそうなので薦めにくい学部です。それをのぞけば、早慶の中でも最も入りやすい学部なので、注目なのですが)。

 

早稲田・慶應の本キャンパスの諸学部は、いずれも英語長文はかなり難しいです。早稲田の教育学部の英語長文は、その中では相対的には易しめだとは思います。(が、決して易しいという訳ではありません。)

 

早慶の看板学部である早稲田の政経、慶應の経済も、実は英語長文は、易しめです。私学の最難関である慶應の医学部も、それほど難しいわけではありません。

 

他方、びっくりするほど難しいのは、慶應の薬学部です。私大理系大学では一番難しい英語長文を出すかもしれません。私大文系で一番難しい英語長文?と問われれば、早稲田の法学部も難しいですが、やはり慶應の法学部だといえましょう。超長文(とくに早大法学部)が出題され、難易度の高い語彙が問われ、紛らわしい選択肢を選ばなければなりません。正直に言って、慶應の法学部は受験生だけでなく教える側にとっても苦行です。悪い意味での「受験英語」の頂点を極めているのが慶應大学の薬学部であり、法学部なのです。(なお、慶應法学部に合格するための英語の勉強をしたからといって、英語の本を読めるようになるとか、ましてや英語を話したり、書けたりするようになるわけではありません。慶應大学法学部または薬学部に入学するたの英語修業と割り切る必要があります)。

 

ここで早慶の英語長文の難易度をざっくりと説明します。一言でいえば、主要国立大学や旧帝大(東北大、名古屋大、大阪大など)の英語長文よりははるかに難しい。ですから、たとえば横浜国大と早稲田とを併願してもうまくいかないのです。東工大・一橋大あるいは東大受験生でも、早慶の英語はかなり難しく、なかなか両立できません。東大受験生ならば早慶の経済学部や理工学部は併願できるでしょうが、慶應大学の法学部だと厳しい。また、東大理三受験生ならば、慶応大学医学部を併願することは可能でしょう。慶應大学医学部は私大の最難関学部ですが、英語長文は難しすぎないので、東大第一志望の受験生でも対応できます。要するに、早慶の英語長文のほうが、東大の英語長文よりも、語彙数も内容もはるかに難解なのです。私立志望なのか国立志望なのか、高校三年生のときには決断が求められるのは、そのためなのです。

 

東大よりも早慶の英語長文の方が難しい。ではどこが?ということになりますと、まずは求められる語彙力の違いです。早慶のほうが英単語を沢山知っていなければならないのです。また、読みこなすべき英文の内容も異なります。東大の英語長文は、基本的に高校教科書レベル、あるいは、高校生として求められる一般教養をしっかりと理解できていれば読み解ける文章です。しかし、早稲田となると、大学・大学院生レベルの内容が英文で出てきます。

 

たとえば、理工学部では「全体論(ホーリズム)と要素還元主義」「進化論と老化」を知っていれば即座に解ける問題、文学部では「『カースト』概念と植民地官僚」というテーマ。つまり、インドの「カースト制度やヒンドゥーイズム」は、インド社会を論じた客観的な概念ではなく、大英帝国の植民地行政の必要上から構築された概念にすぎないと論じる文章が取り上げられました。要するに、大学または大学院の英語論文読解演習レベル以上の文章が平気で出ます。(ただし、英文の意味はよく分からなくても、試験問題は解けるようには出来ています)。

 

慶應大学の場合も、ほぼ事情は同様です。英語長文の語彙は、最難関の法学部の場合、英検一級以上レベルです。(ただし、かならずしもそのレベルを知っている必要はありません。テクニックで乗り切るのが普通です)。英語長文のテーマも当然、大学生ないしは社会人レベルに及びます。しかし早稲田と比べると、慶應の文系学部はテーマが限定されていますので、「ある意味」では対処しやすい英語長文です。つまり、日頃から新書本や『ニューズウィーク』に親しみ、新聞の政治、経済、国際面あるいは社説をよく読んでいる高校生ならば、理解しやすい英語長文(たとえば、The Wall Street Journalの記事――受験生はこういった英字紙を読む必要はありません、念のため) が出題されます。言い換えれば、高校生レベルというよりは、一流インテリ・ビジネスマンの教養力レベルの英語長文が出されるというわけです。ただし、受験生が完璧にわかる必要はありません。

 

まとめましょう。

 

早稲田・慶應の英語長文は、東大等の国立大学よりも、内容的にも語彙的にも難解です。しかし、看板学部(早稲田の政経学部、慶應の経済学部、医学部)の難易度は、ある程度抑えられていて、東大受験生の併願受験校とすることができます。他方、早慶の法学部、とくに慶應大学法学部は、看板学部ではありますが、かなり難しくなっています。

 

なお、早慶とも英語長文は難しいですが、内容をよく理解し咀嚼する必要は必ずしもありません。内容はよく分からないけれども、記号選択が合っていたらOKなのです(笑)。つまり、勘がよくて記号選択が得意という人向きです。このあたりが、がっつりと真正面から取り組む必要のある東大や国立大学の英語長文とは、対処方法が異なっています。

 

長くなりましたので、ここでいったん切ります。次回は、早慶看板学部の英語長文がなぜ相対的に易しいのかについて、もう少し詳しく説明します。

 

 

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