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塾ブログ 林間教育通信

2016/06/11

大学受験ー早慶の看板学部の合否は自由英作文で決まる

早稲田・慶應の文系看板学部、つまり早稲田大学の政治経済学部と慶応大学の経済学部は、英語長文はあまり難しくありません。しかし、もちろんのことですが、だからといって合格答案を仕上げるのが簡単だという意味では決してありません。両大学とも私学では一番難しいと思われる、本格的な自由英作文が課されるからです。

 

自由英作文というのは、与えられたテーマ、たとえば、「大都市に自家用車の乗り入れを禁止する法案についての是非を論じなさい」に対して、自分の意見表明をしたりするような英作文のことです。最近の発信型英語(話す、書く)を反映していて、大変好ましい傾向です。さて、ここで気になるのは、どのような対策を取れば早稲田の政経学部や慶應の経済学部といった看板学部の自由英作文の合格答案を書けるようになるのか、ですね。

 

自由英作文は三つの要素からなっています。①英語を一文一文正確に書く②一文と一文とを英語の論理にしたがって正しく組み合わせ、一貫性のある文章を仕上げる③書くべきことを思いつく、です。

 

以前、某私立上位高校の三年生の東大志望の生徒さんが、受験前の秋に来塾されたことがあります。東大英作文対策を希望ということでしたので体験授業をしてみたのですが、一つひとつの英文さえ全然出てこないのでビックリしました。受験が目の前に迫っていて、一つひとつの英文が瞬時に出てこないようでは、東大の英作文の指導はしようがありません。当英語塾で育て上げた塾生では考えられないことでした。(一つ一つの英文を秋の段階で書けない生徒さんは、東大の場合は英作文を捨てるしかないでしょう)。

 

当英語塾で英語の基礎訓練を受けた中高校生ならば、与えられた和文を一文ずつ英訳していくことはほぼ全員可能です。文法的語法的にも正確な英語を書けますか?と問われれば、もちろん100%正確ではありません。しかし、一般の中高生と比べたら、かなり出来ます。これは自信をもって断言できます。

 

 

次いで英語の論理に従って一文一文を正しく組み立てられるかという課題ですが、受験目的に応じた課題をこなすことは当英語塾の訓練で可能です。受験生に課せられているのは、本格的な大人の英文ライティングではなく、あくまでも早慶の看板学部に合格できるくらいの力です。字数も現段階ではせいぜい150字-200字です。早稲田の政経学部ならば、そこで出される課題に即した文の並べ方を勉強すればよいだけなのです。例えば、早稲田の法学部、政経学部受験生は、<譲歩→逆接→主張>というロジックを練習する必要はありません。

 

しかし、問題は3番目のポイントです。出された課題に対して、何を書くべきか思いつくか否かですね。結論的に述べれば、早慶の自由英作文に応答する内容を書く力は、各生徒の資質と家庭環境に左右されますから、純粋な英語力という問題ではなくなってしまうのです。

 

自由英作文関連のHPの文章を見ますと、「「例文暗唱をしなさい」とか、「自由英作文は自由に書く文章ではない、『型』にはめて書かなくてはいけません」といったアドバイスが載っています。それは間違いではありません。しかし、そういったトレーニングをいくらしても、書くべき内容やアイデアが瞬時に浮かんできたりはしないのです。なぜならば、英語力の問題ではないからです。

 

他方、小中学生のころから、親子で世の中の諸問題について話し合ったり、新聞・雑誌・新書本・テレビ・映画を見たり読んだりしながら考える習慣を養っていれば、早稲田の政経の問題などは決して難しくありません。慶應の経済の問題も、中学高校で新書本を読む習慣さえ身につけていれば、至極容易のはずです。

 

どんな問題が出るのでしょうか。最近4年間の早慶の自由英作文の問題を見てみましょう。日本語で自分なりに構想をまとめてください。独創的なアイデアは不要です。凡庸だが、適切な内容であればよいのです。中学2年生以上ならば、出来る子は出来るはずです。ただし、いずれも2-3分以内に仕上げてください。

 

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慶應大学経済学部 

「以下の二つの問いのうち一つの問いを選び、YesまたはNoのいずれかの立場に立って論じなさい。このとき、問題文(英語)の文章を必ず一つ2014年のみ二つ)引用すること」

 

2013

「日本の動物園は廃止されるべきか」

「生物資源に所有権を認められるか」

 

2014年 (この年のみ二つ文章を引用する。他の年は一つのみ)。

「日本政府は社会の不平等を減らすための努力をすべきか」

「日本政府は若者の失業問題解決のために何らかの方策を取るべきか」

 

2015

「日本政府は公共および民間セクターの女性雇用者の数を確保するために割当制を導入すべきか」

「日本政府は外国人が日本に定住するように促すべきか」

 

2016

「日本政府は同性同士の結婚を合法化すべきか」

「日本政府は国民に選挙の投票を義務づけるべきか」

 

 

早稲田大学政経学部

「以下の命題について二つ以上の理由をあげて賛成か反対か論じなさい」。

 

2013年「自動車は近代でもっとも重要な発明である」

 

2014年「もし永遠に生きることができるならば、人類はより幸福になることができる」

 

2015年「選挙できる年齢は18才に引き下げるべきである」

 

2016年「喫煙は我が国では非合法化すべきである」

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如何でしょうか。語るべき内容はまとまりましたか?

 

慶應の場合は、このブログ記事からは分かりにくいですが、問題本文(英文)からの適切な引用をするのが難しいですね。早稲田の場合は、理由を二つ思いつくのが大変です。いずれにせよ、わずか2-3分以内で構想をまとめ上げるというのが、一番シビアーな点です。なにしろ、自由英作文の問題に与えられた時間は全部で15分ほどですから、構想にかけられる時間は最大限見積もって3分くらいまでなのです。

 

早稲田慶應の文系の最高峰を本気で目指す人ならば、対策はもちろん有ります。中学生であれば、たとえば、中高生新聞(『朝日中高生新聞』『読売中高生新聞』など)を購読してみましょう。この記事(←クリック)は参考になりますよ。中高生新聞は、大人が読んでも面白い内容です。池上彰のTV番組や新書本なども、薦めています。受験で忙しいかもしれませんが、小学生のころから見ていると良さそうですね。

 

高校生であれば、やはり新書本から政治経済や国際関係のものを毎月何冊か読むようにするのが良いでしょう。一例をあげれば、多少頁数が多いですが、加藤典洋『戦後入門』はどうでしょうか。もちろん、雑誌やテレビでもOKです。『ニューズウィーク(日本語版)』や、新聞の政治面、社会面、国際面、社説などを読むのも良いのです。

 

大事な事は、時事問題や政治経済について、自分から興味を持って情報入手する姿勢を養うことです。義務だとか勉強だとかと思っているようでは、楽しんで学んでいる小中高生には太刀打ちできません。早稲田や慶應の文系看板学部は、そういう人、つまり、勉強すること、本を読むこと、社会についてあれこれと考えあぐねること、が楽しくてしょうがないという学生を求めているのですよね。

 

(なお、念のために付け加えておきますが、全ての大学の自由英作文で時事問題とスピードが重視されている訳ではありません。たとえば、国立の電気通信大学は、かなり長文の自由英作文が要求されますが、時間はたっぷりあります。また、時事問題に詳しい必要はありません。理系大学なのですから、当然のことでしょう)。

 

 

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