
せっかく名門の中高一貫校に合格出来たのに、英語で伸び悩んでしまう生徒さんというのは、残念ながら非常に多いですね。しかし、英語が出来ないと言っても、幾つかのタイプに分かれているように見えます。ここでは、そのうちの主要タイプである(1)怠け者タイプ、(2)言語への無関心タイプの二つに分けて、感想を述べておきたい。
名門一貫校の英語落ちこぼれタイプの圧倒的多数派は、怠け者タイプでしょう。要するに、英語は退屈で覚えなくてはいけないし、面倒臭いので、やりたくないのでしょう。
私見では、どうもこのタイプのお子さんの場合、お父さんにその原因の一つがあるような気がします。つまり、例えば、子供に対して非常に甘いとか、あるいは、子供の教育に無関心でお母様に丸投げしているのではないでしょうか。このことについて、責任をもって断定はできません。あくまで、単なる個人の一つの感想に過ぎません。
名門校の生徒さんで、それなりに英文法を学んだのに、そして英単語の意味も説明しているのに、まとまった意味のある英文をさっぱり読めなかったり、頭に入ってこないというタイプの生徒さんがいます。
もちろんそういうタイプの人は、英語力向上で伸び悩むことになります。
ちょっと不思議な症候群です。英文の意味を文法的に解読できないとか、和訳できないとかいうのとは、少々異なります。日本語であれ、英語であれ、文章をよく読めない。あるいは文章に限らず、映画や漫画などの作品をあまり読めないタイプがいるのです。
この生徒たちの特徴を列挙すると、次のようになります。
これらの生徒さんたちも、試験というゲームとして文を読むならば、答えを探す事はある程度は出来るようです。しかし、本当に文を理解していると言えるのかどうか不明です。
こういうタイプの生徒さんについて、断定的な事は書けないのですが、それでも推論を小中学生時代に大きな原因があるように思われて仕方ありません。つまり、読書習慣を持たないうちに、中学受験勉強の特訓を始めたために、文章や物語を読む喜び楽しみを知らないし、興味も持てなくなってしまったのではないか。
ところで、ある塾の先生の説(水島 醉『「受験国語」害悪論』)によるならば、中学受験国語の勉強の中には、文章読解の習慣を身に着けるのに悪影響を与える性質のものがあるのだそうです。つまり、与えられた問題(「それ」はなにを指すか抜き出しなさい)に答えるために、本文中から答えの箇所を探し出すゲームに熱中してしまうと、文章読解から得られる本来の楽しさを、子供たちが見失ってしまうようになるのだそうです。私は中学受験国語に詳しくはありませんが、十分に有りうることでしょう。
まとめましょう。中学受験のための国語(日本語)の勉強をした子供たちの中には、おそらくその受験勉強のために、本来の人間の生活様式を著しく痛めてしまい、本来の文化的遺産の享受をできないようになっている人たちがいると、水島さんは言いたいし、告発したいのでしょう。そして、我々が直面している、英語の文章が読めなくなっている生徒さんと、かなり共通点があるように思われるのです。
どのようにすれば、彼ら・彼女らを救済できるのか。このテーマについては、改めて論じる予定です。