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2022/04/10

大学受験自由英作文の採点が加点方式である理由ーー文と文とのつながりを評価する仕組み

大学入試等の自由英作文はどのように採点されるのでしょうか。ちょっと昔から議論されてきたのは、減点方式か加点方式かというものでした。

 

 

減点方式とは、文法や表現等に致命的ミスがあると、それを減点していく採点方法です。例えば、”discuss about the problem”と書くと、aboutが不要なのでマイナス1点とします。この採点方式が採用されていると論じる人たちは、受験生(高校生)には説得力のある英文などどうせ書けっこないのだから、加点方式は不可能であると判断し、出来るだけ文法ミスを少なくするようにとアドバイスします。

 

 

 

他方、加点方式であれば、多彩な表現を適切に用いているか、内容は整合性があっているか、論理的な文章展開かなどの項目について、得点を与える方式となるでしょう。

 

以前ネットで英語塾のウェブ・サイト等を検索してみたときは、減点方式を支持する人が多いという印象を受けました。しかし、和文英訳問題ならばいざ知らず、自由英作文の問題で減点方式だけが採用されるのは、ほとんどあり得ないと当塾は考えます。減点方式だけで自由英作文を採点してしまうならば、そもそも自由英作文を出題する意義ーー複数の英文を適切に並べていく能力を測定する試験の意義ーーが失われてしまうからです。

 

 

実際に高校生に自由英作文を指導しているとよく判るのですが、受験生が直面している問題は、説得力の有る素晴らしい文章を書けないといった高尚なことではなく、凡庸で当たり障りのないシンプルに分かりやすい英文を書けないことなのです。つまり、彼らの書く英文は、多くの場合、文と文のつながりが不明だったり、話が突然に飛躍したりしています。あるいは、設問を無視したり、非常に低レベルの根拠を提示したりします。言い換えれば、文法ミスはないかもしれないが、致命的欠陥のある文章を書いてしまいがちなのです。しかし、そういう欠陥英文を減点法では適切に対処できません。自由英作文という問題の意義は、細かい文法規則をどれだけ守るかではなく、文章全体として意味のある英文を書けるかどうかを測ることに有るのですから。

 

 

 

さてここで致命的欠陥のある英文とはどんなものなのか、説明しておく必要があるでしょう。(英作文の参考書には、稚拙な英文例が載っていることはほとんどありません。しかし、大半の受験生は稚拙な英文を書いているはずです)。箇条書きで書いてみると、次のような英文です。

 

 

 

  • 同じ表現やフレーズを繰り返し使用する英文
  • あまりにも無内容な議論を繰り広げる英文
  • 問題文の問に全然応えようとしない英文
  • 文と文とがつながっていない英文

 

を指しています。もう少し具体的に見ていきましょう。

 

 

 

「無内容な議論」とは?ーー「Aを好きだから、Aが良い」は駄目です。

 

次のような問題を想定してみましょう。

 

問 ” The seashore or the mountain? Where do you want to spend your summer vacation? Choose between the two and give a reason.” (夏休みは海で過ごしたいですか、それとも山で過ごしたいですか。2つのうちの一つを選び、その理由を一つ述べなさい)。

 

答 ” I like to go to the mountains because I like the mountains. Moreover, I do not like the seashore.” (山が好きなので山に行きたいです。それに海は好きではないからです)。

 

どうでしょうか?「Aが好きだからAをしたい」というのは、あまりに無内容な論理展開ではないでしょうか。しかし減点オンリーの採点方式では、うまく対処できません。これは困りますね。

 

ここでは、なぜ山に行きたいのかを具体的に述べておく必要があったのです。たとえば、” I like to go to the mountains because I feel happy when I am walking or climbing in the mountains”(私は山に行きたいです。というのは、山を歩いたり登ったりするのは楽しいからです)といった具合に書かなければならなかったのです。「山が好きだから」を根拠にするのではなく、山が好きな理由を具体的に提示しなくてはならないのです。

 

「好きだから、好き」のような無内容な英文は、ちょっとあり得ないように見えるかもしれません。しかし英語で文を書こうとすると、日本人の多くは頭がとても悪くなり、こういう英文を平気で書いてしまいます。だからこそ、凡庸だがまともな英文を書ける受験生を評価できるような採点方式が求められているはずなのです

 

 

もう一度、2つの答案を比べてみてください。

 

問「あなたは夏休みに山に行きたいですか、それとも海に行きたいですか、理由を一つ挙げて説明してください」

 

答1「私は山が好きなので、山に行きたいです」

 

I like to go to the mountains because I like the mountains.

 

 

 

答2「私は山歩きは楽しいので、山に行きたいです」

 

 I like to go to the mountains because I feel happy when I am walking or climbing in the mountains

 

答1と答2に同じ点数をあげられるでしょうか。仮に文法や表現上のミスを減点する減点式だとすれば、上記2つの英文にさほど差はつかないでしょう。しかし、それでは「自由英作文」を試験に出す意味がありません。答1のようなクダラナイ英文には、むしろ0点くらいが相応しいのです。減点オンリー方式の採点法がありえないと考える理由がここにあります。

 

 

 

「文と文が適切につながっていない英文」とはーーー[結論⇨理由]が出来ない。

 

文と文とが分かりやすく繋がっている英文を書けない生徒は、非常に多いですね。あまり話題になることは少ないですが、自由英作文の指導者を密かに悩ませている大問題になっているはずです

 

 

例えば、英作文である事柄について自分の意見を書くよう求められたとき、最初に結論(主張)を書き、その後にbecause(・・・だから)と理由を述べる文を続けるのが定型ですが、何故か理由を書くのではなく、別の話題を唐突に持ち出してしまうことが多いのです。あるいは、for example (例えば) と書いてあるので、具体例が来るのかなと思って読み進めると、全然別の話題が出てきて、読み手(採点者、指導者)を困惑させたり、いらいらさせたりするのです。しかしほとんどの学習者は、それがどうしてヒドイ文章なのか、なかなか理解できません。次の例を見てください。

 

 

問「なぜ太陽光調理器(太陽光を銀紙で反射させ、その力で水を沸かせる装置)は便利な道具なのか、その理由を説明しなさい」” Give some reasons why solar cookers are very convenient and helpful? “

 

答「太陽光調理器はとても大事です。なぜならば途上国では沢山の子供が不衛生な水で死んでしまうからです」” Solar cookers are great because a lot of babies and children in developing countries die from drinking dirty water” 

solar-cooker

 

 

日本人受験生が書きそうな典型的な駄目英文です。唐突に子供の死の話題が出てきましたが、これが駄目なのです。太陽光調理器の優れていることと子供の死との間に、いったいどのような関係があるのか、全く意味不明です。採点者としては、解答者は文と文との繋がりの重要性を理解できていないと判断し、低い点数をつけることになるでしょう。また、こういう駄目英文で満点が取れるようであれば、わざわざ自由英作文を学ぶ意義などありません。

 

 

ではどう書けば良かったのか、念のために簡単に説明しておきますと、「太陽調理器は大事だ。なぜならば」の後に、「太陽光調理器を使えば、途上国の子供の死を減らすことができるからだ」” because solar cookers can save many children’s lives in developing countries” とか「太陽光調理器を使えば、燃料費不要で水を煮沸することによって、安全な水を大量に供給できるようになるからだ」” because solar cookers can supply a lot of drinkable water without using any fuels” などとします。そしてその上で、背景説明(途上国で不衛生な水のために乳幼児の死亡率が高いなど)を「後から」付け加えていくと良いのでしょう。(最初に背景説明を書いたら、零点です)

 

 

 

最後に

自由英作文を書くときに、文法や語法のミスを減らすのも確かに大事なことです。しかし、それ以上に求められているのは、「Aが好きだからAが好きだ」のような無内容な論述を脱し、一つひとつの英文を適切に並べていく力、全体として何を言おうとしているのかよく理解できる英文を書く力なのです。自由英作文の採点方法も、当然のことながら加点方式を重視しているはずだと繰り返し強調しておきます。

 

 

 

 

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シリウス英語個別指導塾 by 東大式個別ゼミ
中高一貫校専門 大学受験英語塾 英検
相模大野・中央林間・横浜・藤沢・町田
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2017/12/15

東大・東工大・一橋・東外大・慶應・早稲田等一流大学を本気で目指す中高生募集!

 

今年も早いものであと2週間を残すのみとなりました。

 

東大・東工大・一橋・東外大や早稲田・慶應といった一流大学を本気で目指しているけれど、肝心の成績が今一つ、といった高校生には今こそがジャンプアップの最良の時期ですね。

 

 

 

数学あるいは国語はまずまずなんだけど、肝心の英語が…と英語の成績向上に悩んでいる中3~高校生に、私たちは確実にお役に立てるとお約束します。

 

 

 

その理由は

 

 

指導歴20年の本物のプロ講師による

 

 

1:1の完全なるマンツーマン指導で、

 

 

密度と内容の濃い学習ができるからです。

 

 

 

*我々の授業の仕方は巷にある一般的な指導法とは大きく違います。

 

簡単にご説明しますと、丸暗記的な学習をなるべく排除し、理論的に文法を理解させることに主眼をおいています。丸暗記したものは一旦忘れてしまうと思い出すことはなかなか難しいですが、理論的に理解したものは、忘れてしまっても思考の道筋をたどれば思い出すことも容易なのです。ここまでで、分かる方には即お分かりいただけるかと思いますが、詳しくは面談時に具体的にご説明させていただきます。(お電話にて保護者とお話しさせていただいた時点で、本気で当塾で勉強する気があると確認できた段階で面談へと進みます。)

 

 

 

*常に自分が声を出し、自分の頭を使って学ぶスタイルを重視しています。その為、一人一部屋という、ある意味贅沢な空間をご提供しています。ですから、他人の目を気にすることなく、私たち講師とあなたが常に英語や日本語を発して、質疑応答を繰り返しながら理解を深めていきます。

 

当塾で鍛えられれば、英会話的なものや英作文等が得意になるだけではなく、思考力や言語能力そのものが向上します。これは他教科への好影響をも及ぼします。

 

 

 

*我々のマンツーマン、個別指導は指導歴20年のプロ講師が直接指導するものです。ですから、真剣に学べば急速に後れを取り戻すことが可能です。理論的に説明していきますので、今まで漠然と勉強していたあらゆることが一つ一つ明確になっていきますし、おそらくは文法の規則性の美しさに感動し、やる気がでてくることでしょう。

 

 

 

*あなたの志望大学合格までにどんな力が不足しているか。それを正確に分析できるのは見る目を持ったプロ講師がマンツーマンで指導するからです。大手予備校では進学指導をしてくれる担当と実際の指導者は異なります。従ってあなたに対する進学指導は主に模試の成績を見ながら行うことになります。しかし模試の数値(偏差値)だけでは実際のあなたの実力はわかりません。例えば、ある程度数字(偏差値)は出ていたとしても、それが実力の伴った結果なのか、たまたまなのか。実力はあるけれど今一つ結果に結びつかない何か問題があるのか、etc…。

 

 

当塾ならば、実際にマンツーマンであなたと密接に関わっている指導者が、進学指導までするわけですから、あなたの強みや弱み、模試の成績には表出していない部分までも指摘することが出来ます。それによって、志望大学合格までに必要かつ効果的な課題を、より正確に見つけることが出来ます。

 

 

 

*大学受験において最後にすべきことは何といっても過去問対策です。プロ講師によるマンツーマン指導だからこそ、あなたの受験する大学、学部に絞った過去問演習をたっぷりと行うことができます。大手予備校などでも○○大学対策コースといったようなものがあるようですが、所詮それは一般的な授業でしかありません。一つの大学でも学部によって問題の傾向は大きく異なることが多々あります。

 

ですから、あなたの受検する学部に絞って、かつ、得意な分野は軽く、苦手な分野(特に、英作文が課される場合など)はたっぷりと、臨機応変に細かく、かつしっかりとした対応ができるのは、当塾の個別指導だと自信を持って言えます。

 

 

 

 

とにかく何が何でも志望大学に合格したいんだ、というあなた。中3の今が最良のチャンスです。高1だったら悩んだり迷ったりする暇はもうありません。

 

 

確実に実力がつく当塾で、

 

私たちと志望大学合格の目標を確実に叶えましょう。

 

 

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2017/11/23

英語を勉強することは論理力の形成とつながっている

中高生の皆さんに教えていて気になるところは山ほどあるのですが、今日は「論理力」ということについて書いていきたいと思います。

 

(1)論理的に英文を読み解く

 

と言いますのも、どの教科においても、様々な概念や事象を「論理的に」読み解き理解していく」ということが「学問」することの意義であり使命だからです。当然英語学習においても、文法や文章を論理的に理解し読み解いていく姿勢が求められます。

 

 

しかし、現状はどうかというと、中高生の多くにはーーというか大人の多くもなのですがーー「論理力」がなさすぎです。いったい日本の教育界はどうなっているんだろうかと、私たちは大きな危機感と焦燥感を持っています。

 

例えば下記のような英文があります。

 

We should do our best to understand each other.

 

ある生徒は、「私たちは お互いに 理解しあう 努力をすべきだ。」と訳しました。しかし、なぜそういう日本語訳になるのかと問うても、説明を全くすることが出来ない。(分かり易くなるように、訳文を文節等で区切ってみました)。

 

 

この訳文は、全くダメというわけではない。英文の雰囲気をよく訳しているようにも見えます。しかし、英語の初心者はこういう訳し方を絶対にしてはいけない。場合によっては完全な誤訳となります。というのは、英文法に即して正確な訳文を作っていないからです。そして、今からそんな大雑把な読み方をしていては、この先「必ず」伸び悩むことになります。

 

この英文の正しい日本語訳は、「私たちは お互いを 理解するために 最善を尽くすべきだ」となります。

 

” to understand each other” は、

 

× 「お互い 理解する」ではなく、

○ 「お互い 理解する」にしなくてはいけないのです。

 

 

 

 

ちょっと解説しておきますね。生徒達には何度も解説したり質問して確認しているのですが、

 

 

each otherというカタマリは代名詞で、(代)名詞は他動詞(understand)の目的語になります。

 

understand     each other

 

他動詞(を理解する)  目的語(お互い)

 

 

目的語をとる他動詞(この場合understand)は「~を理解する」という意味ですから、「~」というところに代名詞のeach other=「お互い」という意味が入る。よって” understand each other” は、「お互い 理解する」と理論的になるのです。

 

 

さらに、”to understand~” は不定詞の副詞的用法なので、「~するために」とする。そしてdo our best は「最善を尽くす」という熟語なので、それをしっかりと訳出(直訳)する。

 

こういう感じで訳してもらえれば、わたしたちは「ああ、この子わかってるね」ということになる。

 

 

もちろん、英文法のポイントをしっかりと押さえた上で、直訳のちょっと不自然だったり、硬すぎる部分があれば、辞書(英語辞典、国語事典など)の助けを借りたり、自分の日本語能力を駆使したりしながら、微調整するのであればそれは問題ありません。

つまり、

 

 

「お互い 理解する」と直訳したうえで、「お互い 理解し合う」と微調整するのであれば、それは大いに結構です。しかし、英文を見て、なんとなく雰囲気で「お互い 理解し合う」という訳してしまう生徒は、大いに問題アリです。

 

 

以上たった一文の英文を論理的に理解する道筋でした。

 

 

簡単な例でご説明しましたが、どのように考えてその日本語訳ができるのかを自分で説明できないような人が、この先、複雑な英文を正しく読めるようになると思いますか?複雑になればなるほど、より論理的に緻密に英文を分析していかなければならないのです。

 

 

我々は、非常に基礎的なことを地道にやっているわけです。ただ、誤解しないでください。ここで言う「基礎的なこと」というのは「本質的なこと」という意味であって、決して「簡単なこと」という意味ではありません。(もちろん一旦わかってしまえば非常に簡単なことではあるのですが、殆どすべての生徒たちにとっては一番難しいところです。)

 

 

その基礎的=本質的なこととは、英文を分子原子レベルまで分解し、分析してみながら、論理的な理解を深めていく作業です。この「分子原子レベルにまで分解する」という作業がどうも苦手だったり楽しめない子が多いのですよね。しかし、最も根源的なことですから、ここが抜け落ちてしまっては、以後何を学んでも何も学んでいないに等しいということになります。

 

 

この作業が楽しいと思える人にとっては英語の勉強というのは快楽につながるし、グングン伸びます!面倒だなあと思う人にとっては苦痛でしかないですからね、こちらもどこまで突っ込むべきか常に悩みます。( ;∀;)

 

 

ここでちょうどよい記事を見つけましたのでご紹介しましょう。

 

 

(2)杉田敏と論理的思考の重要性

PRESIDENT Onlineに掲載された記事です。イーオン社長の三宅義和さんと杉田敏さんとの対話形式で進められているものです。ご興味がありましたら以下をご覧ください。

 

英語の達人が社内公用語に賛成しないワケープレジデントオンライン ←クリック

 

 

杉田敏さんというのはNHKラジオ「実践ビジネス英語」の講師も務められている非常に有名な英語の講師の方です。お二人の対話の要点のみを列挙しておきます。

 

三宅さん: いくつもの日本企業が英語を社内公用語にし、英語資格試験を昇格・昇給の条件にしていますがこうした動向をどう見ていますか?

 

杉田さん: 私はあまり賛成しません。中国に進出している日本企業にも英語を「公用語」にしているところがありますが、どれだけコミュニケーションが達成できているかとなると疑問です。

 

 

拙い英語に日本語と中国語が混じりあってかえって意思の疎通を阻害している。一番の弊害は英語の不得意な人は全く蚊帳の外に置かれてしまうこと。人材を活用するという観点から非常に残念。

 

 

母語としての言葉がビジネス上で戦略的思考をするための重要な武器です。日本語できちんと考え、正確な文章を組み立てるということがまずは大事ではないでしょうか。

 

 

三宅さん:アメリカでは高校や大学でディベートやネゴシエーションなどを通してロジカルシンキングについて学ぶわけです。日本では論理よりも情緒という風潮があります。が、論理も身につけないと世界には太刀打ちできません。

 

 

杉田さん:日本人はロジックの大切さを学校で学んできません。親しくなった外国人ビジネスマンと話をしているとそう感じている人が多く、「日本人は本当にロジカルにものを考えられない国民なんだね」と残念そうに話します。

 

以上要約終わり。

 

 

いかがでしょうか?ロジカルシンキング、つまり「論理的な思考」というのがいかに大切であるかお分かりいただけたでしょうか?

 

 

 

いくら英語を必死で勉強しても「論理的思考力」が欠落していては実質的な意味はあまりないということ、せいぜい稚拙な英語をしゃべって海外旅行で困らないとか低レベルなことで満足する程度の人にしかなれないのだということを肝に銘じてほしい。

 

 

一方、私たちが知る限り今の日本の教育界ではロジカルシンキングを真に養っていく教育は(一部を除いて)ほとんどなされていないように思います。だから、「出来ない」のはある意味仕方がないことでもあるのですね。

 

 

ですから、私たちの質問に論理的に理路整然とした言葉で答えていくということがみなさんにとっていかに大変なことかはよくわかります。が、それなくして勉強することにどんな意味があるのだろうか?と私たちは強い疑念を抱いています。

 

 

次回は、じゃあその「論理的思考力」とやらをどうやったら習得できるんだ、ということについて書いていこうと思います。

 

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2017/11/02

大学入試と映画の関係

すみません、私たちも少しは検索ワードのことなんかも気にして「大学入試」なーんて言葉をタイトルに持ってきたのですが、何のことはない最近観た映画の話をまた書きたいわけです。(といって、全く大学入試と無関係かというと、実は大アリなんですがね。)ともかく本題に入りましょう。

 

 

 

つい数日前かな、わが子と一緒に見たのは『切腹』という古い映画。(1962年公開、小林正樹監督。)

seppukusaseru seppuku

 

 

ものすごく簡単にあらすじを紹介しておきますと、

 

時は江戸時代。関ヶ原の合戦以降、元豊臣方の武士たちは行き場を失い浪人として困窮した生活を送っていた。そんな頃、江戸の大名屋敷には、「このまま惨めな生き恥をさらすよりはいっそ武士として潔く切腹したい。そのために庭先を貸してくれ。」という浪人が現れ、その心意気が買われて士官として雇い入れられたという噂が広まり、そういう動きが広まっていた。かといって全ての浪人を雇入れることなど出来ないため、武士の情けで金銭を渡して引き取ってもらうというやり方で対処していた。すると、はなから切腹などするつもりもない浪人たちが金をたかるために大名屋敷を訪れるという流れが出来てしまった。

 

 

 

それに手を焼いていた井伊家では、切腹したいから庭先を借りたいといってきたある浪人に対して「やりたいならやってみろ」と本当に切腹をさせてしまった。実は、その浪人(千々岩求女ーちぢいわもとめ)には今にも息絶えそうになっている赤ん坊と結核で寝込む妻がいた。しかし医者を呼ぶ金もなく万策尽き果ててとうとうこの「たかり」の戦術に出たのだ。一方井伊家では、そのような者に全て金銭を渡していてはきりがないということで、「切腹するならするがよい」となってしまった。この浪人、貧窮し武士の魂ともいえる刀は既に売り払っており、脇に差していたのはただの竹光。井伊家の家老はそのことを知っていながらあえて竹光で切腹をさせたのだ。(竹光で腹を刺せるかどうか想像してみてください。)

 

 

 

その後、事情を知った求女の義父(求女の妻の実父)ー仲代達也扮する津雲半四郎ーもまた井伊家を訪れ、最終的にはそこで切腹をする。

 

 

 

この最終場面が圧巻です。言わば、幕府側の権力に対して、みすぼらしい姿の一介の老浪人が真正面から闘いを挑むという光景です。戦国の世を生き抜いてきた半四郎は剣の達人。井伊家を訪れる前に実は、あくどいやり方で娘婿の切腹の介錯をした井伊家の家臣ども三名の髷を切り落としていた。それは武士にとって切腹に値するほどの恥さらしなことであった。そして最後は何十人という井伊家家臣を相手にたった一人刀を振り回し、次々と切り落としていくのだが、最後は追い詰められ切腹をする。

 

 

 

一方、井伊家では一介の浪人に重臣達の髷を切り取られ、多くの死人まで出たなどということが世間に知られるようなことがあっては絶対にならない、ということで、死者は皆病死、津雲半四郎は無事切腹という虚偽で体裁を取り繕う。当然井伊家の名誉は守られお家は存続する。とこんなストーリーです。(全く腐りきった姑息な輩。武士の風上にもおけないような輩が武士で居続けられるという皮肉。あれ?どこかにもそんな人が!)

 

 

古い映画ですし江戸時代を舞台にしていますから、言葉遣いだとか武士道というものを知らないとなかなか難しいと思いますので、中高生にはちょっと無理かな?親御さんが時々解説してあげながら観ればなんとかなるか?

 

 

 

別にこの映画でなくてもよいのですが、映画というのは単なるエンターテインメントではないのです。もちろんそういったものもありますが、よい映画というのは、歴史認識だとか社会的認識だとか、様々な世界観を知ることができるのです。また、私たちが生きている「今」にそのまんま当てはめて考えることもできます。

 

 

 

(例えばですが、上記のあらすじはかなり雑であまり上手くないので分かりにくいかもしれませんが、この映画のストーリーって古いと思いますか?現代には全く関係ない話だと思いますか?いえいえそんなことないですよね、現代に、特に今の日本にはこれと全く重なり合う構図というのがそこかしこにありますよねー。)

 

 

 

タイトルに関連付けて書いておきますと、映画のストーリーがそのまんま入試問題に取り上げられることもありますよ、上智とかね。また、いい映画をたくさん見ておけばそれだけ世界観が広がることになる、即ち余白が大きくなる。とにかく余白が大きくないと一流大学は厳しいのです。もちろん、余白なんて何かをしたからってすぐに広がるものではないですので、誤解なきようお願いいたします。

 

 

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2017/06/01

偏差値の見方――慶應大学文学部は狙い目か?

2018年度受験用の河合塾の入試ランキング表(2017/05/24更新)偏差値表)(←クリックしてください) が発表されました。 そこで、私大文系(社会科学系と文学系)の上位をまとめてみました。

 

ここでは、早稲田・慶應の看板上位学部(早稲田の政経学部、法学部と、慶應の経済、法学部)を赤字早慶下位学部(残りの文系学部)を青字にしました。そして上智大学と中央大学の看板学部である法学部法律学科には、アンダーラインをつけてみました。以下の通りです。

 

===============================================

偏差値70

慶應(法)、慶應 (経済B)慶應(商B) 早大 (政経―政・経)

偏差値67.5

慶應 (経済A)、早大(法)早大(政経-国際)早大(文)、早大(文構)、早大(社科)、早大(商)上智 (総)

偏差値65

慶應 (商A)、慶應(文)、早大 (教育文系)、早大(国養)、早大(人科)、上智 (法)上智(外)上智(文)上智(総人)上智(総グロ)上智(経済)中央(法-法)、立教(経営、全学科)、立教 (社会)、立教(異文化)、青学 (国際), 明治 (政経、全学科)、法政 (グロ)、法政(心理)

=============================================

(注)一科目受験の青山学院と慶應大学の学部、およびICUは除きました。なお、慶應大学のAは数学受験で、Bは非数学受験です。

 

さあ、ちょっと面白い結果がでました。つまり、こんな事が言えそうです。

 

  • 早慶の上位学部と下位学部の難易度の差は、偏差値上には表れていない
  • 偏差値65では、早慶、上智、MARCH看板学部が並列している(早慶に合格する人でも明治や立教は落ちるかもしれないし、MARCH上位の人ならば早慶に合格できるかもしれない)
  • 慶應大学も、数学受験(経済、商)だと合格偏差値は低くなる

 

 

慶應の商学部や文学部は狙い目か?

 

偏差値65上にある大学学部が面白いですね。早慶から上智、さらにはMARCH(明治、青学、立教、法政、中央)までもが同居しています。しかし、「慶應の商学部や文学部は狙い目だぞ」となるとは限りません。偏差値表を安易に鵜呑みにしないで欲しいところです。

 

慶應の商学部( A)は偏差値65と低めに出ていますが、勘違いしてはなりません。これは数学受験ですから、文系科目が得意で、さらに数学も出来る生徒であれば、慶應大学の商学部は比較的容易であるという訳で、数学が苦手な文系の生徒には、全然関係のない話なのです。

 

要するに、偏差値に表れる難易度もあれば、偏差値には顕在しない難易度もあるということなのです。ですから、偏差値表はあくまで難易度の目安に過ぎないと心得てください。

 

偏差値上の差異はないけれど、実際には難易度で差違が有る場合があるのです。たとえば、慶應の看板学部である経済学部や法学部と、商学部とではどれも偏差値70です。しかし、入試問題の質が相当異なっています。慶應の法学部に合格するためには、高度な論述力(小論文)が求められます。また、経済学部に合格するには、日本一難しい英語の自由英作文を突破しなければなりません。慶應(経)の自由英作文は、単に英語を書く能力があるだけでは合格答案は書けません。というのは、日頃から新聞や新書本を読み、現代の様々な問題への関心を養っていないと、まったく歯が立たないような入試問題になっているからです。これに対して、慶應の商学部では論述力や自由英作文はほとんど求められていません。

 

ところが、河合塾の全統記述模試では、自由英作文の問題が課されません。ですから、受験生の自由英作文の実力は、河合の模試では分からないのです。自由英作文(あるいは小論文)というのは、書ける生徒はある程度以上書けます。しかし、書けない生徒は、いくら英語の偏差値が高くても、ほとんど全然書けません。(経験的に言うと、早慶の商学部までが限度の生徒と、早慶上位や難関国立文系(東大、一橋、京大)を目指せる生徒とに分かれてきます。(中学3年~高校1年くらいまでにはある程度はっきりとわかります…)。

 

 

そんな訳ですから、小論文や自由英作文をある程度以上できる受験生であれば、法学部、経済学部と商学部は同じ程度の難易度でしょう。しかし、小論文や自由英作文はほとんど全く書けないという受験生であれば、法学部や経済学部は無理ということなります。

 

慶應の商学部(数学選択)や文学部の相対的な偏差値の低さについても、同様なことを指摘できます。

 

文学部の場合ならば、受験勉強を真面目にやっておらず、国語や英語の成績があんまり良くない生徒だとしても、純文学や哲学的文章に読み慣れているような文学オタクであれば、慶應大学文学部には合格しやすい。(そういう昔ながらの生徒は、現代では少なくなってきましたが)。逆にいえば、文学や評論はほとんど読んだことのない「ガリ勉君」には、慶應大学文学部はそもそも向いていないし、難しすぎる。慶應の文学部の入試問題からは、そういうことが読み取れます。

 

 

本当の穴場はどこか

ところで、この表から我々はどのようなことを読み取れるのか?

 

私は、早稲田の人間科学部(人科)の偏差値がちょっと高めに出ていることが気になります。人間科学部は所沢キャンパス、つまり、所沢市の小手指駅からバスで15分という少々残念すぎる場所にある。早稲田の最大の魅力は、なんといってもそのロケーションで、我が国最高の雰囲気の街中にあることです。もちろんサークル活動も、早稲田キャンパスがその中心です。ところが人間科学部の学生は、そういうロケーションから無縁のところで学生生活を送らなければならない、それなのになぜ早稲田の他の学部と同じ偏差値なのか。非常に不可解です。理屈に合わないではないですか。

 

推測に過ぎませんが、来年度には反動で易化するのではないか。もしかしたら、――全然確約できませんがーー狙い目です。所沢バス15分でも、早稲田大学ですからね。なお、神奈川県からでも自動車通学ならば思ったほど遠いわけではなく、Google Mapによれば1時間20分で着くと出てきました。

 

とはいえ、普通に考えるならば、早稲田キャンパスにある早稲田大学の学部の方がずっと良い。とすれば、教育学部、それも初等教育学専攻が一番のオススメでしょう。なんとかして早慶に滑り込みたいという生徒には、私はいつもこの学部を強く推しています。「初等教育なんて専攻して、将来小学校の先生になるの?」などと言わないで、受けてみてもらいたい。

 

あ、慶応志望者のことを忘れていました。慶應志望の人は、やっぱり湘南藤沢キャンパスの総合政策と環境情報が狙い目です。偏差値72.5と高めですが、やはりここが一番合格しやすいようです。偏差値を見ただけではなかなか分かりませんね。もちろん英語が出来るだけでなく、小論文を書けることが前提となります、念のため。

 

 

 

 

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