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塾ブログ 林間教育通信

2022/06/27

日本の英語教育では英話を話せるようにならない理由

日本の英語教育では英話を話せるようにならない理由

 

昔からよく議論されている話題ですが、日本人は中高大と最低8年間も英語教育を受けながら、なぜ英語を話せないのでしょうか。

 

残念ながら、間違った推論が幅を効かせてきました。

 

  • 日本人は文法ばかりやっているから話せないのだ。
  • 子供の頃から英語を勉強していないからだ。
  • 大学入試問題が奇問難問ばかりで、実用英語でないからだ。
  • 英検のような実用英語を重視していないからだ。
  • ALTの外人講師を十分に活用しないからだ。

 

私はアメリカの大学で、外国語を「話せる」ようになる講座を受講しましたので、これらはナンセンスな議論だと断言することができます。今回はなぜこれらの通俗的議論が間違っているのかを説明します。そして、次回以降に、どのような教育制度にしたら、日本人でも外国語を話せるようになるのかを述べていくつもりです。

 

 

 

 

  • 間違った推論 文法ばかりやっているから話せないのだ。≫

 

これは、間違った考え方の代表例ですね。逆です。むしろ、文法力が不足しているから話せないのです

 

もう少し詳しく説明します。

 

 

(その前に最初に申し上げておきたいことがあります。日本人は英語学習で文法ばかりやっているというイメージは、残念ながら中高年オヤジ的旧式英語教育観に過ぎません。良くも悪くも、かなり多くの中学高校の授業では、英文法はほとんど取り上げられていないからです。多くの(中)高校は英文法の問題集を生徒に丸投げするだけで、実際に英文法を教えているのは、実は塾や予備校なのです。ですから、もし文法中心の教育に不審があるのでしたら、寧ろ学校に英語教育を委ねるべきだと忠告しておきます。)

 

 

1.文法を全然知らなかったら、決まり文句と単語を出鱈目に並べることしかできなくなります

 

文法を学ばないで外国語を話そうと思ったら、同じ決まり文句をいつも繰り返し発すしか出来なくなってしまいます。”To go, please” ” I’d like coffee”だけの言語生活。。。

 

あるいは、単語を出鱈目に並べなければなりません。もちろん、そういったことも外国語のコミュニケーションでは、ちょっと便利な技能なのかもしれませんが、英語でそれだけでは残念ですね。

 

我々に必要なのは、決まり文句を100個覚えることではなく、どんな英文でもその場で作りだせる能力です。そのためには文法力がどうしても必要になるのです。

 

 

2.日本人に不足している文法力は、<話し・書くための中学英文法>です。

 

英文法というと、英文法の4択の問題集を思い浮かべる人がいるかも知れません。『Next Stage』『Up Grade』のような英文法の網羅系問題集がその典型例です。たしかに、この手の4択問題集を繰り返し読んだとしても、英語を話す能力にはつながりません。そもそもあまりにも複雑すぎます。また、所詮は4つの選択肢を選べば良い問題集にすぎないからです。

 

英語を話したい人がマスターすべきは、大学入試等で求められる難解な文法事項ではなく、もっと基礎的な英文法です。つまり中学英文法ですね。

 

中学英文法くらいならば、ある程度分かるという人もいるでしょう。あるいは、そんなものは1か月くらいで簡単にマスターできるよと考えている人もいるでしょう。しかし、本当に皆さん中学英文法をマスターしているでしょうか?

 

一流高校の生徒さんであっても、中学英文法をマスターしていると言える人は非常に少ないのが現実です。記号選択問題で正答が分かる、いちおう日本語に訳せるくらいでは、中学英文法をマスターしたとは言えないのです。少なくとも英語を話すために求められているのは、下の写真のような教科書の基本例文をよく覚え、和文英訳的に英文を自在に作り出す能力なのです。つまり、最低限、<話し・書くための中学英文法>が求められています。

 

 

 

 

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当塾の経験から言えば、教科書レベルの和文英訳が即座に出来るようにをマスターするためには、短くても3-5か月、長いと2-3年かかります。決して短くはありませんが、やる価値の非常に高い、和文英訳でもあり例文暗唱だとも言えます。

 

 

一方、従来の普通の英語学習では、どういうルートで文法力を伸ばしていったでしょうか。多くの場合、中学英文法を完全にマスターしていないのにも関わらず、難解な英文法(高校英文法・受験英文法)に突入していました。このように文法を勉強したのでは、話したり書いたりすることは出来ません。しかしながら、文法力が不要だという訳では決してないのです。

 

 

 

間違った推論  ≪子供の頃から英語を勉強しないから話せないのだ。≫

  • 幼い頃から英語を学ぶのは、必ずしも悪い考えではありません。しかし、それなりのハンディがあることを認識してください。
  • 小さな子供や小学校の低学年生は、文法から英語に入ることが出来ません。つまり、要点を能率よくかい摘んで教えてもらうような方法論、つまり文法中心的な英語教育)は不可能です。
  • 文法教育をしないとなれば、大量の英文・英単語を大量に聴かせたり・読ませたりする必要があります。そのためには、マンツーマンか少人数で、毎日何時間か英語に触れさせるのが最適でしょう。
  • 全く英語が出来ない段階ではオンライン英会話授業は使えませんから、生身の人間が教えるのが良いでしょう。ご両親の何れかが英語話者だと理想的です。

 

 

念のために付け加えておけば、文科省が進めているような中途半端な小学校英語は、ほとんど意味がないだろうと予め予想がつきます。

 

 

間違った推論 ≪ALTの外人講師を活用せよ≫

  • 彼らはプロの言語教師ではないので、ほとんど何も期待できません。私共の子どもが小学生の頃もお遊び英語の時間があり、30人から40人ほどのクラスにALTがにたった一人いたようです。日本語は出来ないし、よかれという方針でしょうが、日本語を全く介さず英語で何やらごちゃごちゃ言ってくるので、一体何をしているのかさっぱりわからない授業だったようです。むしろ英語嫌いを増やすのではというのが、我が子の感想でした。

 

  • もしALTで成果を挙げるつもりならば、子ども二人に一人のALT をつけ、毎日二時間くらい一緒に過ごさせるくらいの、思い切ったやり方をしなくてはダメでしょう。つまりALTで成果を挙げるという考えは、現実性に乏しいものです。

 

 

 

  •  間違った推論  ≪大学入試が奇問難問だからいけないのだ≫

大学入試英語が奇問難問の時代は終わりました。今なお超難問なのは、一部の一流私大のみです。具体的にいえば、早稲田(理工学部、社会科学、商学部、法学部など)、慶應(法学部、薬学部、商学部など)、上智(全学部)くらいのものでしょうか。MARCHや国立大学の入試問題は比較的良問が多いように見えます。

 

大学入試に全責任を負わす考え方は、やや不当だといえます。

 

 

間違った推論  ≪入試英語が、英検のような実用英語でないからダメなのだ。≫

英検の四技能(話す、書く、読む、聴く)重視には確かに良い面もあります。しかし、英検準一級に合格して上智・MARCHに進学した者に対して、「英語を話せる人」という認定をできるかというと、非常に厳しいと言わざるを得ません。さらに、英検は総じてどの級も、2020年以降大いに易化してしまったことを忘れてはいけません。

 

英検を評価しすぎてはいけません。

 

 

 

外国語を話すための理想の外国語教育はあるのか?  

 

Yes です。

 

なにしろアメリカの大学では、単位を取得した学生のほとんどが、その外国語を話せるようになってしまうのですから。私自身、アメリカの語学プログラムの恩恵を受けましたのて、1年でもがんばれば話せるようになるのだと実感しています。(もちろん言語の難易度によって、話せるようになるための学習時間は変わってきます)。

 

簡単に言えば、次のようなプログラムです。

 

 

少人数教室(10人未満)>

<週五回(2年目は週3回)+復習>

<ネイティヴ講師>

希望者のみ受講

 

 

また、「集中言語プログラム」も極めて有益です。(私自身は、通常の語学コースよりも、こちらでのやり方で大いに学びました)

 

 

少人数教室(10人未満)>

1日3時間・週5回・8週間 +復習

<ネイティヴ講師>

<希望者のみ受講>

 

このような理想的コースがあれば、日本人も必ず英語を話せるようになります。ただし、日本でこのような言語教育コースを作れるかと問われれば、ちょっと難しいと言わざるを得ません。費用が相当掛かってしまうからです。(ただしネイティヴ講師である必然性はありません。プロの語学講師ならば、構わないでしょう)。

 

 

余談となりますが、ひとつだけ興味深いことを書いておきます。上記のアメリカの大学の語学教育では、音読はほとんど重視されませんでした。もちろん私自身、音読はしませんでした。しかし、しっかりと話せるようになるのです。少人数教室の元では、音読は絶対に大事だとは言えないようです。

 

 

今回はこれまでと致します。次回は、もっと現実的な英語を話すための教育プログラム案について説明します。

 

 

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