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2022/07/23

英語教育はReading Or Speaking?

読む重視 vs.話す書く重視

 

前回の最後では、読み重視の教育の方が良いのか、それとも話す・書くを重視する方が良いのか、という問題提起をしました。やや極端な対比でしたが、次のような二つを対比させていました。

 

 

<英検準一級の読む力はあるが、話す力・書く力は無い>

 

vs.

 

<英検準二級の読む力しかないが、話す力・書く力はちょっと有る>

 

 

今回は、この二つの英語教育のうち、どちらを重視したら良いのかについての考察をしてみます。

 

 

 

日本の英語教育は「読み・書き」中心ではなく、「読み」中心です。

 

日本の英語教育の状況において、誤解している人が多いので、ここで注意を促してしておきます。それは、日本の英語教育は「読み・書き」中心のため、「話す・聴く」が疎かになっているという誤解です。

 

完全に間違った見解です。というのは、日本のほとんどの中高では、英語を「書く」指導など無いからです。有名私立中高一貫校の多くも、英作文の授業時間がない場合が多いようです。つまり、テストや宿題等で「書け」と命令したりするが、生徒に対して書き方や添削などの指導はしないのです。

 

 

同様に従来の大学入試でも、「書く」比重は低く、私立大学では一部の例外を別にすれば、「書く」試験は全くありません。また、社会人の間で人気のある従来型TOEICでも、「書く」は試験の対象科目ではありません。つまり、日本の英語教育は「読み・書き」中心ではなく、「読み」中心なのです。

 

もう一つ大事なことは、英語学習の初中級の段階では、「書く」と「話す」にほとんど差がないことです。つまり、「書け」れば「話せ」ますし、「話せ」れば「書け」ます。要するにこの段階では、「読む」と「書く」が未分化で、英会話=英作文なのです。

 

ときどき、英語を『書ける』けれど『話せない』」などという人が居ますが、おそらく嘘をついています。もしペンまたはキーボードを使って「書ける」のであれば、それをそのまま発声すれば良いはずです。何故そんな簡単な事が出来ないというのでしょうか。

 

という訳で、英語教育の重点内容の対立軸は、<読み><書く> vs <話す><聴く> ではなく、<読む> vs <話す><書く> です。宜しいでしょうか。(なお、<聴く>ですが、これは現在のところ授業で取り上げられるというよりは、自習中心となるのが普通のようです)。

 

 

「読む」を重視する従来の英語教育路線か、それとも、「話す」「書く」を重視する新しい風潮か、についての考察

読む力を重視する理由と、話す力・書く力を重視する理由として、一般的には次のように論じられています。

 

 

 

読む力を重視する理由

 

  • 大学で学問をするためには、英語を「読む」力が求められるから。
  • 読みの指導者・教材・テストが豊富だから
  • 大学入試は読み中心だから
  • 英語の読解力をつけることにより、海外の情報を入手することが大事だから

 

 

話す力・書く力を重視する理由

 

  • ビジネス界では話す力が求められているから。
  • 語学学習者の第一の関心は、話す力の習得であるから。
  • 日本人が何年も英語を学び、全く話せないと言うのは、バランスが著しく欠けているから。

 

 

 

どちらの側にも言い分があって、それなりに正論である。

 

 

英語を読む訓練が大事だと主張するのは、右翼文化人では英語学者の渡部昇一(元上智大学教授、故人)、左翼文化人では内田樹(元神戸女学院大学教授)あたりが有名でしょう。彼らは、英語を話せなくても良いではないかと潔い考え方をしている。

 

他方、話す力が大事だという人はビジネスマンにかなり多いそうだ。しかし、読む力を犠牲にしても良いと断じる人はあまり見かけない。その意味で、代表的な論客は不在である。

 

とはいえ、全体としての流れは、いわゆるグローバル化の中で、話す力・書く力をもっと重視すべきだという方向へと風が吹いている。

 

実際、英検やTEAPのような外部検定試験が有名私大の入試に採用されるようになったのは、その潮流があるからである。しかし、それにも拘らず、話す力・書く力を強化する授業が前よりもずっと重視されるようになったとは言えない。それは何故か。

 

私に言わせれば、その理由は簡単である。現行の中〜大教室の中で一人の先生が指導する授業形態では、英語の読み方を訓練する方が、はるかに効率よく教えられるからである。しかも、教師も教材もリーディング(読み)を教えるように作られているのだ。だから、そう簡単に能率が悪くて退屈な、話す・書くの訓練へと転換出来ないのである

 

 

また、話す力・書く力を重視して読む力の育成を軽視すれば、得るものよりも失うものがあまりに大きいのである。高校生がよく話す・書く人になるために、英文と語彙を(旧課程の)中学レベルに抑えるとしよう。すると、ちょっと難しい大人の文章、たとえば、 The New York TimesThe Japan Timesーー大学入試によく使われる新聞でもあるーーを全く読めなくなってしまうではないか。

 

しかも、読む力を犠牲にして得られる書く力とは、せいぜいネイティヴの小学校1年生くらいの実力だろう。仮に、学校の授業に加え、自主的に外人とのオンライン英会話や海外から短期留学を繰り返したとしても、せいぜいは小学校2ー3年生くらいの稚拙な英語を書けるか否かのレベルであろう。

 

 

日本で英語を話す・書くの教育をしても、そんなにレベルが低いのかと驚く人もいるかもしれない。しかし、大人数教室の英語教育では、話す・書く教育は大きな成果は上がらないのはやむを得ないのだ。何しろ、生徒がどんなに一生懸命になって英語を話したとしても、それを聴くのは「ペアワーク」の相手、つまり、同級生の生徒に語りかけるのである。同級生に英語で話して立派な英会話力が身につくなどということは、期待出来ないのは当然ではないか。

 

 

学習者の話す力・書く力が向上するのは、先生が生徒の発言や書いたものを聴いたり、読んだりし、それに適切なリアクションを返してくれる時である。あるいは、添削したりしてくれる時なのである。他者に語りかけようと願う時に始めて、本当のコミュニケーションとしての話す力・書く力の回路が開発される

 

しかしながら、本当に語りかけたい他者が不在の時には、丸暗記したフレーズを「そのまま吐き出す」ような、感動に乏しい発話行為しかできないのだ。これでは効果的な学習は出来ない。

 

したがって、少人数教育が出来ないのであれば、読み中心の英語教育が、全体として揺るぎないのは、むしろ当然の帰結であろう。中から大の教室であっても、読む力を効率的に養成することは可能だからだ。

 

しかし、私はここで、日本では読み中心の英語教育しかあり得ないと主張しているのではない。以上のような問題点があるにも関わらず、英語を話す・書くの教育にも、いくらかの可能性があると考えている。

 

まず、プロ講師の個別指導を受けることができる学習者の場合である。この場合には、話す力・書く力を効率的に養成することが可能になるので、読む力の養成を犠牲にしなくても良いだろう。

 

というのは、プロ講師の個別指導を受けることができれば、退屈極まる基礎例文の暗唱が容易に出来るようになるだろう。プロ個別指導講師に暗唱と瞬間和文英訳力の成果を聴いてもらう方法は、実に効果的である。

 

もちろん、英語を発話したり書いたりする時には、的確な応答をしてもらったり、過ちを添削してもらえるので、励みになるし、自分勝手な思い込みを訂正できるというものだ。

 

要するに、シリウス英語個別指導塾のような、プロ講師の英語個別指導を受ければ、英語を読むことと、英語を話す・書くこととが両立できるという事だ。実際、当塾の塾生の書く・読むの成績は相対的にも絶対的にも優れている。他塾の生徒のように、全然書けない・話せないという生徒は皆無である。

 

次に、考えてもらいたいのは、誰もが高度な英文を読む訓練は必要はないという、ごく当たり前の現実である。誰もが難しい英文を読む必要がないのだとしたら、従来の読み重視の教育観は、大きく改める必要があることになるだろう

 

前述の「読む」重視派の内田樹教授は、英語を読む力が大事で、もし日本人が The New York Times を読めれば、素晴らしいと書いたことがある。

 

だが、現実には、日本語で書かれた朝日新聞や読売新聞を読めない・読まない高校生が多いのである。日本語で新聞を読まない生徒に、英語の新聞を読むことを期待するのは無理筋である。

 

それならば、難しい英文を高校生に読ませる訓練は不要であろう。高校生用の英語の教科書をのぞいてみると、難しいテーマの英文(エネルギー問題、生態系、世界平和等々)で溢れている。いや、そういう類の文章ばかりなのだ。日本語で読書しない生徒には、ちっとも面白い話題ではないのは明白だ。これらを英語で読ませるために費やされたエネルギーは、多くの場合は少々無駄だったのだ。

 

もっと彼らに身近で分かりやすい話題を取り上げ、それらについて、英語で話す力・書く力に注ぐのが良いだろう。つまり、まずは海外でハンバーガーやコーヒーを英語で注文出来るようにすることから始まる英語教育が、日本語の読書習慣のない生徒には、求められているだろう。彼らにとって抽象的な話題ではなく、むしろ海外旅行や海外での生活、つまり、食文化、音楽、アルバイト、学校生活等々についてもっと多く扱うことも大事だろう。このとき、平易な英語で読む・書く訓練も、以前よりは楽しく充実したものになるだろう。

 

 

まとめ

 

  • ★ 現状では、読む力を重視する英語教育は当然の結果だと言える。
  • ★ プロ講師の個別指導あるいは少人数クラスを活用できるのであれば、話す・書くの効率的な訓練は可能である。
  • ★ 日本語を読まない人に抽象的なテーマの英文を読ませることは止め、もっと身近なテーマをとりあげる、そしてそのことについて話す力・書く力を養成したらどうだろうか。

 

 

 

 

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シリウス英語個別指導塾 by 東大式個別ゼミ 
 中高一貫校専門 大学受験英語塾 英検 TEAP オンライン
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2022/07/03

夏期講習 体験授業と学習相談 ~模試の成績が上がらない、いつまでたっても偏差値40~50台というあなたへ~

 

予備校にも通っているし、勉強もそれなりにやっているつもりなのに、いつまでたっても模試の成績が上がらないとお困りの方、英語にしても数学にしても模試の成績が50台で予備校や普通の塾などに通っても成績急上昇は望めません。特に河合塾全統記述模試の成績が50台から伸ばせない人は抜本的に勉強方法を見直す必要があります。今のままでは伸びることはありません。

 

 

ちなみに河合塾の偏差値が50くらいだと、どのあたりの大学で合格可能性があるのか見ておきましょう。

 

 

河合塾 入試難易予想ランキング ←こちらをクリックすれば見られます。

 

 

これは河合塾が現時点で出している2023年の入試難易予想ランキング表です。偏差値はボーダーライン合否の可能性が50%に分かれるライン(合格する人と不合格になる人がちょうど半々くらいになるライン)―の偏差値となっています。ですから、この偏差値があれば大いに合格可能性がある、という数字ではなく、あくまでも半分くらいの人は合格できる、という数字にすぎませんのでご注意ください。また、偏差値といっても、その大学の学部、学科の受験科目数や問題の難易度などによって個々人の合格可能性は大きく変わりますので、あくまでも大体の目安としてお考え下さい。

 

 

 

例えばですが、

経済経営商学系(私大)ですと、

偏差値50 専修大学、東洋大学、日本大学、etc

偏差値55 成蹊大学、成城大学、明治学院大学,etc

偏差値60~65 青山学院、学習院、法政、立教、上智、etc

偏差値67.5 慶應、早稲田

といったような大学が並んでいます。

 

 

現在の自分の偏差値と上記ボーダー偏差値が大体一致している人は、今のままコツコツと勉強を続けていけばよいかもしれません。(油断は禁物です。)一方で、いや全然足りてない、というのであればやはり焦る必要があります。

 

 

例えば、現在偏差値が40~50台の方でも、‘’最低MARCH‘’というご希望をお持ちの方は多いようですが、であれば高2の春、遅くとも秋には河合塾全統記述模試で偏差値60には到達しておきたい。なぜなら高2の模試と高3の模試では受験者層に違いがあるからです。

 

 

即ち、高3になると浪人生が模試に加わってきます。よって高2でやっと偏差値60とれていたくらいですと、高3の春に突然偏差値が下がってしまうということはよくあることです。だからこそ、MARCH死守したいという方は特に、最低でも、高2のうちに総合偏差値60には到達しておきたい。(もちろん、個人差があり、個々人の持つ能力や状況によって様々な闘い方がありますので、必ずしも偏差値だけで判断する必要はありません。)

 

 

 

受験期の成績というものは、各自にあった正しい方法での学習法を継続的に行うことが必須条件です。もし予備校やどこかの塾に通っているがいつまでも模試の偏差値が50台から脱せないという状態であるならば、今すぐ勉強法を見直し、変える必要があります。

 

 

勉強法が間違っているかもしれない、というのは薄々気付いているのだけれども、どうしてよいか自分では判断できないし、誰に相談したらよいのかもわからない、というお悩みをお持ちの方も多いかと思います。昨今はネットを検索すれば大量の情報があふれていますが、あまりに多すぎて読んでいるうちに一体どれが正しいのか、どれを選んでよいのかわからなくなるのではないでしょうか。また、安易に情報を信じて間違った方法を選んでしまってはせっかくの努力と時間が水の泡です。

 

 

そういう場合は、迷うことなくシリウス英語個別指導塾by 東大式個別ゼミにご相談ください。

 

 

我々は、相模原市南区の地で20年以上にわたって、当初から全く変わらずたった二人の講師で個人塾を営んでいます。また、入塾当初は成績不振で悩んでいた生徒さんを多く一流大学或いは、ご本人希望の大学合格へと導いてまいりました。

 

合格実績 ←クリック     塾生、生徒達の声 ←クリック

 

 

今までどこで何をしていたか真偽のほどが定かではないような、つかみどころのない塾や指導者、建前ではいいことを言っていても実際教える人物はどこの誰かわからない、とか、誇大広告を平気でやっている、といったような組織とは全く違います。

 

 

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2022/07/10

話すための英語教育ーー現実的な代替案

日本で話すための語学教育を実現できないのか。

 

前回(←クリック)、「日本の英語教育では英話を話せるようにならない理由」で、アメリカの大学の言語コースの単位を履修すれば、外国語を話せるようになると紹介しました。

 

繰り返すことになりますが、アメリカの大学では2年くらい以上、語学コースの単位を取ると、ある程度の会話が出来るようになるのです。私自身は、8週間の夏季集中言語コースを2回(2年分)履修することにより、多くを学び、インタビュー出来るくらいに話せるようになりました。

 

本当は、日本においても、海外赴任予定者や留学予定者などの語学が必要な人に対し、そのような語学教育のサービスがあれば良いですね。しかし、残念ながらそのような語学講座の存在はあまり聞きません。ネックになるのは、少人数指導(10人未満)で、一週間に3−5回の授業を実施するという点でしょう。やる気のある生徒の募集や、優秀な講師の募集も、かなり厄介でしょうし、お金もかかるでしょう。

 

しかし、日本の条件に合う、もう少し現実的な代替案はないのか。つまり、日本人がもう少し英語を話せるようになるための、実行可能な英語講座はあり得ないのでしょうか。英語を話すための言語プログラムも、不可能ではないと考えます。それも、高校英語の授業内容を少し変えるだけで、ある程度実行可能なはずです。

 

英語を話すための現実的教育案(=高校で中学英語の特訓をする)

結論を先取りします。英語をある程度話せるようにするためには、高校の英語の授業で、従来の高校英語の内容を取りやめ、代わりに中学英語の徹底的な復習をするれば良いのです。具体的にいえば、次の課題を中心にこなします。

 

①中学英文法の例文暗唱とその瞬間英作文
②中学教科書の音読
③中学レベルの英語長文の多読・多聴

なぜ中学英語を徹底的復習する必要があるのか。

これも前回と重複する点がありますが、簡単に説明させてください。

 

一流高校に合格した生徒さんであれば、中学英語を正確に英文を読めるようになっているはずです。しかし、そんな優秀な生徒たちであっても、彼らが出来るのは、実は「読む」ことだけです。優等生であっても、中学英語を「話す」「書く」ことはほとんど出来ないはずです。つまり、現行の英語教育では、最優秀の生徒さんでも、中学英語を完全に習得できていないのです。それなのに、高校生という理由だけで、中学英語よりもさらに難しい高校英語に突入させているのです

 

中学英語ですら話せない、書けないのに、さらに難しい英文法・語彙を勉強させているのです。これでは、「読む」能力は向上しても、「話す」「書く」能力はほとんど伸びないでしょう。だからこそ、私の提案があります。日本人の英会話能力を高くするのであれば、高校で無理な高校英語に取り組むのではなく、中学英語を完全にマスターするように努めれば良いのではないでしょうか。「読む」能力を向上させる代わりに、「話す」「書く」英語の基礎を養うことに全力を注ぐのです

 

以上が、私の提案の骨子です。何を学ぶべきなのかも説明します。

 

高校で学ぶ中学英語の学習課題

 

「話す・書く」英語を学ぶ際にもっとも大事なことは、まずは、中学英文法の基本例文をしっかりと覚え「瞬間英作文」(=和訳文を瞬時に英語にする)を出来るようにすることです。『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』(←別にこの本である必要はありませんが)はロングセラーであることはよく知られています。

 

ついで、完全に理解できる中学レベルの教科書を、何回も音読しよく聴くことです。易し目の英文だからこそ、音読の成果が上がることは、一般によく知られていることです。また実際に、中学の英語教科書が英会話に役に立つということで、『英会話・ぜったい音読』もロングセラーです。

 

この二つをしっかりと訓練すれば、英会話の基礎は出来上がると言って良いでしょう。

 

直接には英会話力の向上にどの程度寄与するのか分かりませんが、易しい英文の多読・多聴も加えたいところです。

 

小さな問題点

 

ただし、以上の訓練だけで英語を話せる・書けるようにはなるかといえば、ちょっと厳しいでしょう。というのは、 現行の高校の授業では、少人数指導は無理ですから、教室内で英語を「話す・書く」練習がほとんど出来ないからです

 

また、学習者が話したり、書いたりしても、聴き手や読み手の反応(リアクション)が期待できません。生徒は沢山いるのに先生は一人だけですから、どうしようもありません。生徒同士がペアになって作業することは出来ますが、はっきり言って、同級生と英語でやり取りしてもちっとも面白くはないでしょう。

 

つまり、授業はどうしても単調退屈になりがちになります。

 

したがって、本当は日本語の分かる先生に個別指導してもらいたいところです。

 

またインターネットを用いるオンライン英会話ですが、ある程度基本例文を覚えていないと、何も話せないで終わってしまうでしょう。現実的に言うと、「話す・書く」ための中学英文法を修了した段階で活用すると良いでしょう。それならば、日本語を話せない外国人の英語の先生であっても、オンライン英会話でぐんぐん実力をつけることができるようになるでしょう。最初は片言でしょうが、慣れればかなり話せるようになるはずです。英検準1級やTEAPのでスピーキングやライティングならば、9割以上の得点を取れることは、当塾としても保証して良いくらいです。

 

大きな問題点(=ちょっと難しい英語になると読めない)

 

私の出した案は、中学英語を復習することによって、「話す・書く」素地を養うという方法論です。しかし、代償なしという訳にはいきません。いわゆる高校英語と、その「読む」訓練時間を削減」するのですから、当然のことですね。要するに、難しい英文を読めなくなってしまうのです。

 

実を言うと、アメリカの語学教育の場合も、初級・中級では会話的な側面が重視され、読解は上級者になってから取り組むことが多いようです。(私自身、話せるけれど、あまり読めませんでした)。

 

つまり、「話す・書く」重視の方法論を採用すると、カタコト英語ならば話せる・書けるようになるが、英文読解はあまり出来なくなる訳ですね。

 

話せるが読めないというのは、難しい知らない単語ばかりなので、英語の記事には手も足も出ない感じです。単語や文法は中学英語止まりですから、仕方ありません。難しい単語を覚えない代わりに、易しい単語を積極的に活用する訓練をしてきたのですから。

 

ちょうど、日本語は話せるが、漢字を読めないので日本語 は読めない外国人と似たような状況だと考えてもらってもよろしいです。

 

となると、従来の「読み」重視路線を放棄し、「話す・書く」重視路線に本当に変更して良いのか、疑問に思えてくるでしょう。相当大きな問題であり、簡単に結論は出ないでしょう。ぜひとも皆さんも考えてもらいたいです。

 

たとえば、次のどちらが良いですか?

 

「英検準2級ー3級レベルの英文読解力だが英語をどんどんと話せる人」

vs.

「英検準一級レベルの英語長文は読めるが、話したり書いたりするのは苦手な人」

 

 

今回はこれまでとしますが、次回はさらにこのテーマについて考察を進めます。

 

 

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